あらゆることをデジタル技術で処理しようという今、物質性の強い油絵具を使って絵を描く人は多くないかもしれません。
そういうわけで、多くの人の関心を集めないかもしれないことで、私がある気づきを得たので、それについて書きます。
現在進行形で生み出されている油彩作品を私はよく知りません。どうしても関心は、過去の偉大な画家によって描かれた作品に向かわざるを得ません。
中でも私が最も敬愛するのが17世紀のオランダの画家レンブラント(1606~1669)です。
それよりも前の時代に活躍し、若くして世を去った天才画家にカラヴァッジォ(1571~ 1610)がいます。
カラヴァッジォが世を去ったのが1610年でレンブラントが誕生したのが1606年です。
YouTubeには、それぞれの人のアカウントに、その人が「高く評価した動画」を登録できるようになっています。
あなたがYouTubeアカウントを持っているとしたら、どんな動画をそこに登録してありますか?
今確認してみたら、私は21本の動画を登録してあります。そして、一番初めに選んだのが次の動画です。ほかに、同じ配信者によるレンブラントの動画が2本あります。
本動画は本サイトや本コーナーで何度も紹介しています。それほど私が本動画を気に入っているのは、レンブラントの絵画技法の凄さが動画でよく表現されているからです。
カラヴァッジォは強烈な明暗表現の道を開いた先駆者です。レンブラントも、カラヴァッジォの影響を受けています。そんなカラヴァッジォですが、油絵具の表現としては、私は断然、レンブラントに軍配を上げます。
両者の違いは、作品に近づいて見ると、気がつく人は気がつきます。
上の動画では、両者によって描かれた人物画を比較しています。
そして、本動画で、レンブラントとカラヴァッジォの技法の違いを説明しています。その部分から再生されるように設定しました。
見比べて、どちらの画家の作品が、人物を生き生きと描いたか気がつきますか? レンブラントです。
その生き生きとしたように描くために、レンブラントはカラヴァッジォとは違った油彩技法を駆使したのです。
個人的な話になりますが、昨日、私は描きかけだった『自画像』もどきに絵具をつけました。しかし、絵具をつけていて、つまらなくなりました。
時間をかけても、良くなるとは思えなかったからです。
そして、あることを始めたところ、俄然おもしろくなりました。そして気づいたのです。そうか。こうやってレンブラントは人物画を描いていたのだ、と。
絵画を鑑賞する人が、どんなことに重点を置いて鑑賞するのかはわかりません。人それぞれに違うでしょう。違って当たり前です。
私は自分でも絵を描くので、どうしても、絵の技法に目が行きます。
これは以前の本コーナーで書きましたが、YouTubeで”oil painting”を検索すると、海外の配信者で該当する動画が表示されます。
それにある傾向は日本でも同じかもしれません。
写真のように描かれた絵は人々に感心されます。写真のように描くため、細い筆を使い、筆あとを残さないように描きます。それを描く様子を動画にし、描き方を指導する人の動画もあります。
私はそれらを見るたび、写真のように描く意味はあるのかと考えてしまいます。手間暇かけず、写真に撮ったらいいのでは、と。
レンブラントもカラヴァッジォも写実的に描きました。レンブラントの作品を離れたところから見れば、写真のように見えることがあるかもしれません。
しかし、近づいて見れば、写真とはまったく違うことに気がつきます。
レンブラントは使った色数が少ないです。その少ない色の絵具を、非常に巧妙にコントロールしています。
魅力的な油彩画は、色に変化を持たしています。
人間の肌を描くのだからといって、肌色を作り、ベターッと塗るのは愚かなことです。レンブラントは、肌に様々な色を置き、結果的に肌の色に見えるように表現しています。
印象派の画家といえばモネ(1840~ 1926)です。モネの作品に、雪景色のアクセントのように一羽の黒い鳥、カササギを描いた『かささぎ』という作品があります。日本にその作品が来たとき、点連会で実物を見ました。
白い雪を描くのだからといって、白い絵具だけを使えば、描けるというわけではありません。白い絵具だけで、光を浴びて輝く雪景色は描けません。
では、どうやって、モネは輝く雪を表現したのでしょうか。
答えは、自分で作品を注意深く観察するよりほかありません。そして、観察して秘密がわかっても、それを自分の表現にできるかどうかは別の問題です。
昨日、その「秘密」を自分のものにできそうに感じ、嬉しい気持ちになりました。

