投資というのは、自分が捻出した金額の何倍にもなることがある一方で、ゼロになってしまうこともある行為のことです。
それに対し、融資というのは、融資を依頼された人や企業などに、融資した金額は必ず返してもらうことを条件に、その人や組織にお金を融通する行為です。
社会通念上、お金を融資してもらった人は、融資してもらっている期間、融資してくれた人に利息を払います。
投資と融資の違いを書いたあと、長年に渡って行われていたという事案に注目することにします。
それが発覚したのは昨年11月です。私は毎日、家で取っている新聞4紙(朝日・日経・産経・地方紙)に目を通すので、それが報じられたとき、記事の見出しが目に入らなかったはずはありません。
しかし、そのときは、それほど大きく報じられなかったか、ある程度のスペースで報じられたものの、私が特別関心を持てなかったからか、それが報じられたという記憶がありません。
その事案が起きたのは、福島県にある「いわき信用組合」という地方の金融機関です。
いわき信組で発覚した事件性が濃厚な事案に、悪い意味での進展が最近になってありました。
それが報じた新聞をとっておけばよかったのですが、それを読んだとき、内容がよく理解できなかったので、蔑(ないがし)ろにしてしまいました。
その続報が、昨日の朝日新聞の一面と29面に載りました。一面の記事の見出しは次のようなものです。
私の記憶が確かでないのですが、少し前に読んだ記事では、復興支援金を有用した話に絡めては報じていなかったように記憶します。
そのときの記事では、いわき信組の上司の指示で、職員に不正なことをさせたというようなものでした。それを指示された職員は、明らかな不正行為だと考えたものの、上司からの指示なので断れなかった、というようなことが記事にありました。
基になる記事が手元にないので、記憶だけで書いています。
その記事を読んでいて個人的によくわからなかったのは、当信組の預金者名義を勝手に使い、別口座を作り、その口座へ融資を不正にしたということです。
融資というのは、冒頭で書いたように、平たくいえばお金を貸す行為です。
どうして、金融機関が、当人の与り知らないところで口座を作り、そこへ、本人には知らせないで、融資をしたのかがわかりませんでした。そんなことをする意味はないからです。
昨日の朝日一面の記事によれば、この「架空融資」は信組内で「B融資」と呼ばれ、2024年秋の時点で、同様の口座が約90口座あり、融資と称して流出した金額は、計17憶円超とあります。
記事にざっと目を通したときはよくわからく感じましたが、自分なりに考え、当信組のおそらくは上層部の人間が、自分の金融機関に預けられているお金を、架空に作った口座に、融資の名目で移動した窃盗事件なのではという、自分なりの結論のようなものを持ちました。
これは、経済活動には疎い私が出した結論です。実態とは違い、私の考え違いかもしれません。
本出来事を扱った他の社の記事にも、Yahoo!ニュースに上がっていたものを中心に目を通しました。それらの記事を読むことで、昨年11月に融資の問題が発覚し、そのときに開いた記者会見で信組側が述べた内容を知りました。
同信組は、大口の融資先を持ち、その融資先の業績が悪化したため、個人への融資を装ったといった説明をしていたようです。
これもおかしな説明に感じます。融資元は同信組です。大口融資先というのがどういうところかわかりませんが、仮に中小企業のようなものであれば、その企業が名義の口座は、同信組が融資すればいいだけではありませんか?
そして驚くのは、大口の融資先のほか、信組の役員やその家族、親族らへも、融資を装って信組のお金を移動していた、と昨年11月の記者会見で述べていたことです。
金融機関としては許されることではありません。この場合の融資は、返済してもらうことは念頭になく、信組の預金者の預金を、それらの人々に分け与えていたとしか思えません。
同信組で不正な詐欺行為を働いた者には、2011年に起きた東日本大震災後に国から届けられた公的資金は、救いの神のように思われたでしょう。
震災後、国は被災地の金融機関に公的資金を入れやすくするため、金融機能強化法(金融機能の強化のための特別措置に関する法律)を改正しています。それにより、該当する銀行や信用組合には、国が計2310憶円与えています。
同信組にもその公的資金として、2013年1月、200億円の公的資金が入ります。
それを受けた同信組は、融資を装ってお金を不正に流出させた口座からの「回収が不能になった」ことにして、有耶無耶にしてしまったそうです。
当時を知る職員によると、架空融資の手続きは毎月3、4件あり、半年で20から25件になったということです。
それらの架空口座の本来の持ち主は、同信組から得たお金を、返済することなく、自分の物にしてしまえたというわけです。その原資が国からの公的資金なのですから、国民から徴収した税金をそれらの人間に分け与えたのと同じです。
国からの公的資金の使い道については、金融庁と信組の上部機関にあたる全国信用協同組合連合会に監督責任があります。しかし、実際のところは、使い道を個々にチェックするのは現実的でないとして、それを受けた各金融機関のガバナンスに期待するというのが実情のようです。
当の金融機関のガバナンスが「ガバガバ」であれば、期待するのが無理というものです。
今回は、いわき信組で行われた不正が明らかになりました。同様のことが、ほかの金融機関にないとはいえません。
震災などが起きたあと、被災地の金融機関に公的資金を与えることに反対できる人はあまりいません。しかし、善意が悪事に使われることがあることを、同信組が証明する形となりました。
同信組は、今回の問題の責任をどのように果たすのでしょう。また、同信組を信じて200憶円もの公的資金を流出させた国は、今回の出来事を受け、どのような考えを持ったでしょうか。
本事案は大問題だと思います。しかし、マスメディアも一般国民も、あまり関心がないのでしょうか。騒ぎになっていません。
さまざまな話題を集めているはずのYahoo!トップページに、本事案がひとつも上がっていません。
