鉄道事故に導かれて読んだ小池真理子の作品

小池さんが書いた本を読んでいます。といっても、悪名高い東京都知事の小池百合子氏(1952~)の本ではありません。そんなものは、頼まれても読む気になれません。私が読んでいるのは、小説家の小池真理子(1952~)が書いた小説です。

正直にいいまして、私はこれまで、小池真理子の作品を読んだことがありません。彼女の作品を読み始めることになったきっかけは、毎週土曜日に配達される、朝日新聞土曜版のあるコラムを読んだことです。その土曜版には、政治学者の原武史氏(1962~)が受け持つ「歴史のダイヤグラム」のコーナーがあり、私はそれが好きで、欠かさず読んでいます。

原氏は子供の頃から(?)鉄道に興味を持っておられるそうで、主に昔の鉄道に関する話題を毎回書いています。

先週の土曜日(16日)の分には、「鶴見(つるみ)事故が左右する運命」と見出しがつきました。鶴見事故と聞いて、すぐにその事故を思い出す人は高齢の人か、鉄道に関心を持つ人に限られましょうか。私はその事故について、ほとんど知りませんでした。

長大な個人身勝手日記のような村上作品

『ノルウェイの森』1987)が村上春樹1949~)の代表作であることは説明するまでもないでしょう。村上の5作目の長編小説で、1987年に出版されています。その電子書籍版を読みました。1987年には単行本で読んでいますので、34年ぶりになります。

村上は否定しているそうですが、主人公の「僕」は村上自身と重なる部分が多く、一浪の末、早稲田大学の文学部に入学した19歳の村上を重ねて読みました。

本作を読むきっかけは、前回、本コーナーで村上作品を取り上げたときに書いています。Amazonの電子書籍部門でポイントが多くつくのと、キヤノンのカメラをキャッシュバックキャンペーンで得た15000円分のキャッシュバックを消化する理由で、村上の作品で、まだ読んでいたなかった作品を中心に12作品(のちに3作品プラス)を電子書籍版で手に入れ、発表順に読んでいるのです。

一杯食わされた気分になった村上作品

読むのを先延ばししていた村上春樹1949~)の長編第3作目の『羊をめぐる冒険』1982)をやった読み終わりました。

本作を含む村上作品を、今年の7月15日と16日にAmazonの電子書籍版で手に入れました。そのときに購入した作品を出版順に並べると次の通りです。

作品名出版社      出版年月日
風の歌を聴け講談社1979年7月23日
1973年のピンボール講談社1980年6月17日
羊をめぐる冒険講談社1982年10月13日
カンガルー日和平凡社1983年9月9日
ノルウェイの森講談社1987年9月4日
ダンス・ダンス・ダンス講談社1988年10月13日
遠い太鼓講談社1990年6月25日
国境の南、太陽の西講談社1992年10月5日
やがて哀しき外国語 講談社1994年2月18日
アンダーグラウンド講談社1997年3月20日
スプートニクの恋人講談社1999年4月20日
アフターダーク講談社2004年9月7日

〇〇の樹をご存知ですか?

あなたは「オムの樹」を知っていますか? 知らなくて当然です。そんな樹は存在しないからです。私はてっきり本当にある樹かと勘違いし、ネットで検索しました。

この樹は、阿刀田高氏(1935~)のショートショート作品『あやかしの樹』の中にだけ存在します。

Amazonの電子書籍は今月22日までの期間、該当する書籍の定価30%分のポイントが還元されるキャンペーンを展開しています。私はそのことに先週気がつき、電子書籍をまとめ買いしました。

誰のどの作品が該当するのか調べるのを面倒に感じ、とりあえずといった感じで、村上春樹1949~)の作品を調べると、講談社から出ている彼の作品の多くがそれに該当することがわかりました。

そこで、まだ読んでいなかった作品を中心に、彼の作品を12冊購入しました。

読み始めたら止められない綺堂の『半七』物

食べ始めたら止められないというスナック菓子のコマーシャルがありました。小説にも同じように、読み始めたらやめられないシリーズ物があります。

私が今ハマっているのは、岡本綺堂18721939)が残した『半七捕物帳』シリーズです。

元来、私は時代物は苦手としていました。テレビや映画の時代劇も、見ることはほとんどありません。ですから長いこと、時代小説には縁を持たずに過ごしてまいりました。

転機は、2年ほど前だったと思いますが、何の気なしに、無料で読める綺堂の時代物に接したことです。そのとき読んだのは、『半七_』と同じ作りの『三浦老人昔話』シリーズです。

一話完結の謎解き物の時代小説で、すこぶる面白さに取りつかれた私は、綺堂の他の作品も読んでみたいと考え、綺堂作品242作品をひとまとめにした電子書籍版の全集を手に入れました。

昔々のインフルエンザ

昨日の本コーナーでは、お染(そめ)という名の娘が登場する悲恋話について書きました。

同じ名の「お染」が出てくる話を書きます。こちらも、岡本綺堂(1872~1939)の本にあった話で、短い随筆に出てきます。

今は、新コロの茶番劇が繰り広げられていますが、131年前の明治23年(1890)の冬に日本である病が流行り出した、と綺堂は書いています。

性にこだわりを持つ村上の短編集

ポイントが125(定価の20%)つくことに惹かれ、村上春樹1949~)の短編集『回転木馬のデッド・ヒート』1985)をAmazonの電子書籍版で読みました。文学作品を読む動機としては不純でしょう(?)か。

どんな短編集かは、読み始めるまで知りませんでした。

村上は、1979年に文芸雑誌の『群像』に応募した『風の歌を聴け』(1979)が群像新人文学賞を受賞し、それがきっかけで、作家デビューしています。

たしか、その年だったか、神宮球場の芝生の外野に寝転んで野球観戦しているとき、ふと、小説を書いてみようかと思い立った、と当時を振り返って書いたエッセイで読んだ記憶があります。

誰にとっても人生は成行です。そのときに村上が応募した作品が選ばれず、彼が別の人生を歩むことになっても、それが彼の人生です。小説を書くことばかりが人生ではありません。

子供の心のままに生きることの大切さ

義兄(2000年にくも膜下出血で亡くなった姉の夫)に以前から勧められている本があります。中勘助18851965)が書いた『銀の匙』(前編:1910|後編:1915)です。

義兄は、中勘助が自身の幼年と思春期の頃を思い出して書いた自伝小説のような作品で、そこで勘助が自分を「私」として書いた「私」が、私(本文章を書いている私です)と重なるところがある、と事あるごとに匂わします。

私もその小説があることは知っており、電子書籍版をAmazonの端末Kindleにダウンロードしてはあります。が、未だに腰を上げずにいました。

この、勘助の『銀の匙』を取り上げた本で、間接的に作品世界に触れました。

死因判定は厳密に

読み終えたばかりの小説に「偽石灰」という用語が出てきます。私は初めて目にした用語です。

その用語が出てくるのは、松本清張19091992)が月刊雑誌『文藝春秋』1970年1月号から翌1971年の3月号にかけて連載した長編小説『強き蟻』(1971)です。

例によってAmazon Kindleの電子書籍版で読みました。たまには清張の小説を読んでみようと思い、Amazonであたると、たまたま40%のポイントが還元されることを知り、早速読みました。

ほかに、清張の作品で、まだ読んだことがなかった『不安な演奏』(1972)も同様のポイントが還元されていたため購入し、今読んでいるところです。

ネットの事典ウィキペディアで『強き蟻』を引いてみると、ピカレスク小説に分類しています。悪者を主人公にした小説です。

宵の五つは今の何時?

「宵の五つ」。これは時刻のことですが、今の何時かわかりますか? 私はわかりませんでしたが、わかった今は「午後8時」と自信を持って答えられます。

これを教えてくれたのは、阿刀田高1935~)の本です。

阿刀田の『谷崎潤一郎を知っていますか 愛と美の巨人を読む』という本のサンプルを、Amazonの電子書籍版で読みました。サンプルですから、全部で13章あるうちの第1章「妖艶なデビュー」を読んだだけです。

本日の豆おまけ話
Amazonの電子書籍で、使っていなかったKindleの旧モデルを追加で使い出しました。遊ばせておくのがもったいなくなったもので。この端末の再利用開始後に初めて読んだのが阿刀田のサンプル本になります。

ここで取り上げられている作品は、谷崎潤一郎18861965)のデビュー作である『刺青』1910)と『お艶殺し』1915)です。