ショートショートの不思議な味わい 阿刀田高

Amazonの電子書籍版で、ショートショート集を読みました。ショートショートの定義を私は知りませんが、短編小説より短い小説というのは確かです。

これについて書かれたネットの事典ウィキペディアにある記述で確認しますと、作品の長さは、400字詰め原稿用紙にして20枚以下、短いものであれば5枚から7枚とするコンテストの規定があるそうです。

この分野の日本の先駆けは星新一のようです。星の亡きあと、この分野で日本の第一人者となった阿刀田高の作品集『箱の中』を読みました。この作品集は数カ月前、村上春樹の作品と一緒に購入し、今まで読まずにあったものです。

江戸川乱歩と村上の作品を交互に読むようなことをし、いずれも読み終わり、ようやく読む順番が回ってきたといったところです。

『箱の中』は1994年に出版されています。今から26年前です。その頃のことを思い出しますと、個人的な話では、母が亡くなって2年後です。社会的なことでは、オウム真理教による松本サリン事件が6月27日に発生しています。

自分に正直な乱歩と覗き眼鏡

Amazonの電子書籍版で、江戸川乱歩村上春樹の短編を交互に読んでいます。

前回の本コーナーでは、村上の短編集から『シェエラザード』を取り上げました。

そのあとまた乱歩に戻り、全集に収められた『湖畔亭事件』を読みました。乱歩が本作を『サンデー毎日』に連載したのは1926(大正15|昭和元)年の1月から5月です。

時代が違っても、発表された作品は作者の気風と共に、同じ遡上に載せることができます。村上の短編のあとに本作を読みますと、今更ながらに、乱歩が自分の偏った性的傾向も隠さずに書いていたことが確認できます。

片想いに狂う村上春樹版シェエラザード

前回は、Amazonの電子書籍版で村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録されている6篇のうち、前半の3篇を読み、その感想めいたことを書きました。

その後、村上の短編集はそこで一旦離れ、江戸川乱歩全集の続きである『パノラマ島奇談』『新青年』1926〔大正15、昭和元〕年10月号から1927〔昭和2〕年月号まで、 途中、26年12月号と27年3月号の休載を挟み、5回連載)を読んだりしていました。そしてまた、気分転換を兼ね、昨夜、眠る前に村上の短編集の続きを読みました。

4篇目は『シェエラザード』です。

作品の中途、シェエラザードが何者で、主人公の羽原(はばら)(31)とどんな関係かを次のように書きます。

日本文学の伝統を避ける(?)村上春樹の短編作品

村上春樹の短編集『女のいない男たち』2014)を、Amazonの電子書籍版で読んでいます。全部で6作品が収録されているうち、前半の3作品を読み終えました。

村上は「まえがき」というものに否定的な考えを持つそうですが、本短編集には、「(本短編集の)成立の過程に関していくらか説明を加えておいた方がいいような気がする」として、「まえがき」を添えています。

村上にとっては、『東京奇譚集』を出した2005年以来9年ぶりの短編集になります。『東京奇譚集』は、「都市生活者を巡る怪奇譚」がモチーフだそうで、興味を持ちましたので、機会があれば読んでみたいです。

本短編集は、最後に収録されています表題の『女のいない男たち』をモチーフとしていますが、1作目の『ドライブ・マイ・カー』を書き終えたとき、モチーフの言葉が頭に引っかかり、“連作”を書けそうに考えたようです。

灰神楽と新コロの悪巧み

江戸川乱歩の短編『灰神楽』を、Amazonの電子書籍で読みました。

題名の灰神楽ですが、今はを入れる火鉢というものも日常で目にすることがなく、熱湯が入った鉄瓶と火鉢といった図柄も縁遠い生活となり、馴染がなくなりました。

それらが日常にあった時代に書かれた作品です。乱歩がこの短編を『大衆文芸』3月号に発表したのは、1926年です。

本作は趣向が変っており、殺人事件が起きた直後から話が始まります。ですから、被害者と犯人が冒頭から登場し、読者が犯人を推理する楽しみは用意されていません。

犯行が行われた場所は、田園地帯に建つ一軒家の二階です。そこは奥村一郎という男の家で、犯人となった庄太郎が、拳銃で一郎の額の真ん中を打ち抜き、命を奪ったのでした。

穴倉のような書斎を志向した乱歩

人それぞれで、百人いれば百通りの生き方があります。

住まいひとつとっても、同じ家に住み続ける人がいるかと思えば、次々と住む家を替える人がいます。私は自分が生まれた家に住み続け、一度も住宅環境が替わったことがありません。

人生の折り返し点はとうに過ぎていますが、この先、もしも住む家が替わることがあるとすれば、それは、可能性が極めて低い、結婚を機に新居に移ることぐらいです。

今回は、私のような人間の対極となる人物の話をします。本コーナーにはすでに何度か登場している江戸川乱歩です。

私のように住居を一度も替えない人の割合がどの程度かわかりませんが、乱歩ほどの引っ越し魔も割合は極めて少ないと思われます。生涯に47度引っ越しをした乱歩です。

2000/07/18 ワープロ

現在のようなワードプロセッサー(ワープロ)ができる以前、日本人にとってアメリカ人などが使うタイプライターは憧れの的でした。私個人にとっても憧れで、あのようにパチパチと打つことで文章を書けたら、と思ったものです。

しかし、アルファベットと違って日本語はカナや漢字が入り交じっていることもあり、容易にタイプライターを作ることはできませんでした。それだから、日本人は、欧米人のタイピングを指をくわえて見ていることしかできなかったのでした。

しかし、ワープロの登場により、長年の夢が実現しました。これで日本人も、欧米人のように、タイピングで文字を入力できるようになったのです。それでも日本語自体が複雑であることには変わりなく、アルファベットで直接打ち込むわけにはいかず、ローマ字入力かな入力したのち変換しなければなりませんが。そうではあっても、とても大きな進歩です。

乱歩の短編作品を読む

江戸川乱歩の短編小説『日記帳』を読みました。乱歩のことは知っていても、この短編を読んだ人はあまり多くない(?)かもしれません。私は初めて読んだような気がします。

乱歩については、Amazonの電子書籍版で、筆まめな乱歩が書き残した随筆や評論などをまとめた第5集からなる全集を手に入れ、読み始めています。しかし、その分量が半端でなく、休み休み読んでいこうと考えています。

随筆を読むうちに作品そのものを読みたくなりました。

昨年3月に購入しながら、読んでいなかった乱歩の全集を電子書籍に入れてありますので、気になった作品を拾い読みし始めました。

乱歩のあの作品の逸話

職業作家で、新聞や雑誌に連載を持つ人は、締め切りに追われ、気の休まることがないでしょう。

それは昔の作家も同じです。

江戸川乱歩18941965)は多くの作品を残していますが、それらをすらすらと書けたわけではないのでした。

横溝正史19021981)の随筆集を読んだあと、先輩格の乱歩に興味を持ち、『江戸川乱歩 電子全集17 随筆・評論 Kindle版』を手に入れました。全部で5巻あり、全て購入しました。

昭和2年から20年に乱歩が書き残した随筆を中心として第2集から読み始めました。

乱歩との交流の跡が残る横溝正史の随筆集

Amazonの電子書籍版で、横溝正史の随筆を集めた『探偵小説五十年』を読みました。

これまでに、横溝が人生の時々に書き残した随筆を読んでいますので、横溝がどんな人生を歩んだかはだいたい頭に入っています。

生まれたのは、神戸の発展する前の新開地です。両親は岡山の出身で、父方の家があった岡山の柳井原(現在の倉敷市内)は、川の近くに家があり、川が氾濫するなどして、水害に見舞われたこともあったようです。

その後、人造湖が造られ、横溝家の家も湖に水没することになり、横溝の父の代に、神戸へ移り住むようになったようです。