2003/11/06 写真家・中平卓馬の存在

芸術の秋だからというわけでもありませんが、ふとした時に、アウトサイダー・アートともいえるような作品を生み出しているアーティストに心を惹かれることがあります。

ロベール・クートラスという画家にも心を惹かれました。彼については、数日の内に書きたいと思いますが、今日は、先日(11月2日)の日経新聞に載っていた中平卓馬(なかひら・たくま:1938年東京生まれ。1963年、東京外語大卒業後、現代評論社に入社し、森山大道東松照明らと出会い、写真を学ぶ。1965年に退社、作品や批評を発表する。写真集に「来るべき言葉のために」〔1970年〕「新たなる凝視」〔1983年〕など=2003年11月2日付日経新聞記事より)という一人の写真家について書いてみます。

記事の見出しは、「中平卓馬 病後の挑戦 純粋写真、無心を写す 意図は排して撮影の日々」です。

2003/06/19 牛腸茂雄展

昨日は梅雨空の下、展覧会を一つ見てきました。

今回私が見た展覧会は、現在、東京・北の丸公園東京国立近代美術館で開催中の「地平線の夢・昭和10年代の幻想絵画」(2003年6月3日~7月21日)であり、同時開催中の「牛腸茂雄展」です。これに当館の所蔵作品を展示した「近代日本の美術」も合わせて630円で見覧できます。美術団体の団体展の見覧料がだいたい700円前後ですから、とてもお得であると思います。

それにしても、昨日は梅雨空という天気のせいもあったのか、館内はとても空いており、展示室によっては観覧する私と監視員の女性二人しかいない状況でした。そうなりますと、作品を鑑賞する私が監視員の女性に“鑑賞”されているようで、妙に落ち着かない気分になってしまいます。

ともかくも、私は何の予備知識もないままに目的の展覧会を見たわけですが、展示室には奇妙に一致した内容の作品ばかりが展示されています。会場内に置かれた見本のカタログをパラパラとめくって納得しましたが、いずれもが有名な画家・サルバドール・ダリの影響を受けた一種幻想性を感じさせる作品群です。

2004/04/23 フェルメール作『画家のアトリエ』のある企画展

昨日は、夏到来を思わせるような暑い陽気の中、東京・上野にあります東京都美術館へ足を運んできました。現在、同美術館で開催中の企画展「フェルメール『画家のアトリエ』栄光のオランダ・フランドル絵画展」(2004年4月15日~7月4日)を見るためです。

それにしても、秋は「芸術の秋」あるいは「美術の秋」ともいわれるほど展覧会が目白押しですが、春の今頃というのも「美術の春」といってもいいほど、企画展や美術団体展が数多く開かれます。これは、寒い冬が終わり、人々が活動的になる季節に合わせてのことでしょうか。

今回の企画展での目玉は何といってもフェルメール“WebMuseum: Vermeer, Jan”)の超有名な作品『画家のアトリエ』の展示でしょう。

2004/03/04 妖しい魅力の「球体関節人形展」

昨日、ちょっと刺激的で魅力的な展覧会を見てきました。

現在、東京・江東区東京都現代美術館で開催中の「球体関節人形展」(2004年2月7日~3月21日)です。

「球体関節人形」というのはあまり馴染みのない言葉ですが、意味はそのままで、「関節の部分に球体を入れることで自由なポーズを取れる人形」を総称するようです。

同展のチラシ(表)

2004/02/16 画家・熊谷守一の生き方に学ぶ

昨日放送された「新日曜美術館」(日曜美術館)(NHK教育/日曜09:00~10:00 再放送20:00~21:00)は、いろいろな意味で興味深い内容でした。

今回、その番組が取り上げたのは熊谷守一という画家です。

私に強い印象を残したのは、彼が70歳近くなるまで、画家という肩書を持ちながら、絵を全く描けずに過ごしたことです。

守一は、明治33(1900)年東京美術学校(に入学し、主席で卒業します。同窓生には、夭折の天才 青木繁がいました。

青木は、自分が早死にすることを悟っていたように、話題作、問題作を次々発表し、自らの作品世界の確立を確認したのち、死んでいきました。彼と同窓で学んだ守一は、青木の生き方や創作活動、名声をどう受け止めたでしょうか。

2003/07/21 光と陰の画家レンブラント

今回は絵画の話を書きます。それも、私が最も敬愛するレンブラントについてです。

で、レンブラントといえばつい最近、あるニュースが話題となりました。それは彼が描いた『自画像』が新たに発見されたというものです。

今私の手元には、それを伝える新聞の切り抜き記事がありますが、ロンドンの競売大手のサザビーズで競売にかけられ、レンブラントの『自画像』としては史上最高額の約6百95万ポンド(約13億3千万円)で落札されたそうです。ついでまでに落札に成功したのは、アメリカでカジノを経営するスティーブ・ウィン(ウィン・ラスベガス)という人物だそうです。

一般庶民にとっては全く縁のない金額で、私のもっぱらの関心も、どういう経緯でその作品が世に出てきたのか、という一点にのみあります。

2003/03/27 特異なアーティスト・ヘンリー・ダーガー

秋は「美術の秋」ともいわれ、数多くの展覧会が開かれる季節に当たりますが、春も「美術の春」とでもいいたくなるほど展覧会が開かれます。暖かくなることで人々が外を出歩くようになり、美術館にも足を運ぶようになるせいかもしれません。

日本国内の各主要美術団体も展覧会の時期を迎え、私は昨日から東京都美術館で始まった団体展の一つ「第79回・白日展」(東京展3月26日~4月4日)(「白日会」)に出かけてきました。

この団体の特徴は写実性にあり、写真と見紛うほど精緻に描かれた作品が所狭しと展示されています。それらの作品は近づいて視ても絵筆の跡が感じられないほど丁寧に絵具が塗られています。

それらの作家は、技術的にはほとんど完成の域にまで達しているものと思われます。が、その技術を持って何を表現するべきかという最大の問題に直面しているように感じられました。

今日の朝日新聞文化面には、そんな彼らとは対極に位置する一人のアーティストを紹介する記事が載っています。1973年に81歳で世を去ったヘンリー・ダーガー(Henry Darger/1892~1973)というアーティストです。

2003/02/16 「新日曜美術館」有元利夫特集

今日の「新日曜美術館」(日曜美術館)(NHK教育/日曜09:00~10:00 再放送20:00~21:00)は、私が個人的に好きな画家・有元利夫を取り上げており、その放送をしっかりと見ました。

実は今回の番組放送の情報は、2月7日の産経新聞の記事で事前にキャッチしていました。で、その記事には番組で取り上げるまでのちょっとした裏話のようなことが書かれています。

普通はどのような段取りを経て一つの番組が作られるのかは知りませんが、今回の場合は、昨年11月から今年の1月にかけて東京・丸の内にあります東京ステーションギャラリーで開催されていた「有元利夫展 花降る時の彼方に」で彼の人気ぶりを目の当たりにした当番組のディレクターが企画を立案されたそうです。

2002/11/30 有元利夫展

ここ2日ほどかかりっきりになっていた新しいOS(基本ソフト)Windows XP導入に伴う作業が落ち着いてきたため(といいつつまだ終わってはいませんが)、これまで書けずにいた話題を書くことにします。先日(11月27日)見てきた展覧会の話です。

今年は寒くなるのが例年になく早く、汗ばむような陽気から肌寒い毎日へと一変してしまいました。そのため、本来であれば一年の中でも最も過ごしやすいはずである秋がどこかへ行ってしまいました。

ですので、「芸術の秋」といったいい方もどこかいいにくい面がありました。そんな季節の締めくくりの時期に行った展覧会は、私が大好きな画家・有元利夫の展覧会『有元利夫展』です。

2000/11/24 天才びと・有元利夫

有元利夫という画家がいます。ご存じでしょうか。

彼は15年ほど前(1985年)に38歳の若さでこの世を去ってしまっている画家です。ある人は彼を天才といいます。よく「売れる絵と本当にいい絵とは別」というようないい方がされたりしますが、彼の場合はそれが奇跡的に両立しています。そうしたことから“天才的であった人なのかもしれません。

私が有元さんを知ったのは、数年前に見た「日曜美術館」(NHK教育/日曜9:00~10:00)でした。