知らなかった作家のアムステルダム・ミステリー

前回の更新では、半世紀以上前、日本から遠く離れた異国で起きた日本人が被害者となる現実の事件を基に書かれた小説を取り上げました。松本清張19091992)の中編小説『アムステルダム運が殺人事件』1970)です。

その作品で清張は、未解決に終わった事件を自分なりに推理し、清張なりの犯人を読者に提示しています。現実に起きた事件を取り扱ってはいるものの、小説として書いたわけですから、清張の推理が真実と違っていても責任を問われることはありません。

未解決のままですから、真実と比較のしようがないですが。

この事件は、推理小説を書く作家の創作意欲を刺激したのでしょう。清張のほかにもこの事件を題材にした作品があることを知り、昨日、更新を終わったあと、ある作家の短編を読みました。菊村到19251999)という作家が書いた『運河が死を運ぶ』(1978)という作品です。

私は菊村をこれまで知りませんでした。ですから、この作家の作品に触れるのは今回が初めてです。