2006/06/24 野十郎とマチエール

本日は、一週間前に見て感銘を受けた展覧会「没後30年 高島野十郎展」について書きます。本展については、鑑賞してきた翌日の18日、興奮が残る中で書きました。

今回はその続編で、高島野十郎(たかしまやじゅうろう)油彩技術に焦点を絞って書きます。

私が展覧会場へ足を運んだとき、必然的に注意が向かうのはマチエール(matiere〔フランス語〕:美術作品における材質的効果=広辞苑 絵肌)です。極論すれば、私は、「何が描いてあるのか」ではなく、「どのように描いてあるのか」にばかり注目してしまうのです。

2006/06/18 「高島野十郎展」(その一)

本日は、昨日鑑賞してきたばかりの展覧会「没後30年 高島野十郎展」について、興奮冷めやらぬうちに書いておくことにします。同展が開かれているのは東京の三鷹市美術ギャラリーで、会期は来月17日(2006年7月17日)までです。

会場内には102点の油彩画をはじめとして、野十郎が生前に愛用したスケッチ用の絵具箱やイーゼルなどの画材一式、東京帝国大学在学中に描かれた魚の克明な観察図なども展示されており、いくら見ても見飽きることのない充実した内容となっています。

西洋絵画の展覧会の場合、作品の間近で鑑賞することはまず許されませんが、本展覧会はそれが適度に許され、気の済むまで鑑賞できる環境が何よりといえましょう。実際、私もそのひとりでしたが、作品に顔を近づけて舐めるが如くに鑑賞している人の姿を見かけました。

高島野十郎(たかしま・やじゅうろう)。おそらくは、よほど美術に関心をお持ちの方でもなければ、この画家のことはご存じないのではないかと思います。かくいう私も、野十郎という偉大な存在に気づいたのは自慢できるほど早くはありません。