自分の適性を知るのは乱歩にも難しかった

『屋根裏の散歩者』1925)といえば江戸川乱歩18941965)の代表作の一つになりましょう。

乱歩は今でいう推理作家、乱歩が執筆していた頃は探偵小説作家といわれます。私もぼんやりとそんなイメージを長いこと持っていました。が、実は、乱歩自身は事件の謎を探偵が解いてみせるような作品を得意としていなかったのであろうことを知りました。

そうしたイメージを持つようになったのはつい最近のことです。昔にも乱歩作品は読み、乱歩を研究した類の本も読んでいます。それらを読むことで、変人の部分を持ち、自分にも似たところがあるため、勝手に親近感を持ったりもしましたが、創作にどのような苦しみを持っていたかというようなことは深く考えたことがありませんでした。

それを知るきっかけとなったのは、小学館から出ている『江戸川乱歩 電子全集 随筆・評論集』を読んだことによってです。これはAmazonの電子書籍版で出ていますが、定価に50%のポイントがつくキャンペーンがあったとき、全5集をまとめて購入しています。