新型コロナウイルス(COVID-19)に直撃された世界の株式市場が、大荒れとなっています。
先週末の金曜日、米国のダウ平均株価は過去最大の上昇をしました。それが、週はじめの月曜は、過去最大の下落です。
ここ数年に、積立投資を始めた人は、急激な下落に巻き込まれ、身動きが取れなくなっている人もいるかもしれません。
不安になっているのは個人ばかりではありません。
日経新聞は、株価暴落で苦境に立たされた著名な投資家レイ・ダリオ氏について伝えています。 「ブリッジウォーター・アソシエーツ」を創業した彼は、世界最大のヘッジファンドで、18兆円もの預かり資産を運用するマネージャーをしていますす。
ダリオ氏は、投資先を株式と債券、商品に均等に分散することで、市場にショックが起きても、別々の値動きをする資産によって値崩れを相殺する投資手法を採るそうです。
この戦略はこれまで功を奏し、2008年に起きた「リーマン・ショック」のときも、ダリオ氏のファンドは損失を膨らませなかったどころか、逆に9.4%もの収益を上げたそうです。
ダリオ氏が主宰するファンドは、30年近い運用で、年間の収益がマイナスになったのは3年だけで、それもわずかなマイナスだったということです。
この驚異的な実績により、人々からは絶大な信用を得ていたでしょう。私もダリオ氏のファンドを利用できるなら、全資産を預けたい気分になります。もっとも、富豪しか相手にされないのであれば、私などは門前払いされて終わりですが。
このように、どんな荒波でも安心して資産を任せることができたダリオ氏のファンドが、コロナショックには大いに苦戦し、運用成績が急速に悪化している、と記事は伝えています。
原因は、本コーナーの前回更新分にも書きましたが、どの市場からも運用マネーが逃げ出している状況にあることです。
これまでの常識では、株式市場に暴落が起きた場合、投資マネーは債券や商品に避難するか、はじめからそれらの市場にも投資マネーを回しておくことで、全体の投資マネーの下落ショックを和らげると信じられてきました。
それが今回は、お金に換えることができる債券や商品も同じように売られてしまったため、投資マネーを分散する意味が失われています。
前回分で、私が1カ月前に、相場環境が急速に悪化しているため、今が投資するには良いタイミングなのではと考え、ある投資信託(投信)を始めたことを書きました。それが、ダリオ氏が推奨するような、株式と債券、REITにそれぞれ分散するバランスファンドなのでした。
私は1カ月約1万円の設定で、1カ月が経ったところでまだ約1万円の投資額にしかなっていません。ということで、金額はまだわずかですが、早くも含み損が約20%に膨らんでいます。
この投信を始めるにあたり、3分野に分散することで、分野が異なる資産の値動きによって損益のバランスが保たれるだろうとイメージしていました。ところが、すべての分野で売りの状況が起こったため、予想外の結果になってしまいました。
ダリオ氏は、自分が設計したファンドに絶対の自信を持っていたのでしょう。暴落が始まる前の1月、米国のCNBCの番組に出演した際、「Cash is Trash(現金はくず)」と挑発的ともとれる発言をしています。
このように自信満々だったダリオ氏でしたが、年初来のファンド成績はマイナス20%だそうです。
2月前半の時点でも、「新型肺炎の市場の警戒は過剰で、株価は反反発する」と語っていそうですが、今月になって株価の下落は勢いを増しています。今、ダリオ氏のファンドの成績はどの程度まで下がっているでしょうか。
私は昨日、日経のこの記事を読み、1カ月前に始めたバランスファンドに不安を覚え、すぐに解約手続きをしました。分散投資だから安心、とは思えなくなったからです。
積立投資を勧める人の話を見聞きしますと、必ずといって出てくる話が分散投資です。投資先を分散し、毎月決まった金額を投資するなど、時間も分散することで、投資リスクが軽減できるという内容です。
しかし、今起きている状況を見ますと、その「方程式」が通用しなくなっているように思います。現に、分散投資のファンドを30年近く続けてきたダリオ氏のファンドが、利益を上げられない状況に直面しているわけですから。
今の相場がいつまで続くかを正確に見通せる人はいないでしょう。もうじき下落相場は終わり、案外急速に値を戻すのではと見るエコノミストがいる一方、下落は始まったばかりと見る市場関係者もいます。
バランスファンドに信用を置けなくなった私は、昨日、別の面白そうなファンドを見つけ、このファンドに1カ月程度期待をかけて投資資金を預けることにしました。といっても少額で、1カ月の投資額は2万円強です。
パフォーマンスが良ければ、そのままそのファンドを続けようと考えています。
投資センスのある人なら、今の荒れまくった相場の海を上手に泳ぎ、大きな獲物(利益)を得ることができるでしょう。しかし、私にはそんな芸当はできません。ですので、良い成績を上げてくれそうな投信に、恐々と投資し、少しでも利益が得られたら嬉しいな、と期待しているところです。
しばらく続けてみて、悪くなさそうなことがわかったら、昨日設定したばかりの投信を案内することも考えています。