円がリスク通貨に その原因は?

今月20日の早朝、首都圏を走る京浜東北根岸線が、鉄道人身傷害事故(人身事故)で運行が滞っていることに気がつきました。鉄道の人身事故は、具体的には走行中の電車に人間が飛び込んで起きる事故のことです。

電車を利用した自殺行為で、人が自殺するのには様々な理由があるでしょう。

まったく関係がないでしょうが、私は、日本時間の早朝にかけて大きく動いた米ドル/円レートがひとりの人間の自殺につながったのでは、と想像しました。

SBI証券:ドル円チャート 直近10日間(2020.2.22)
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私は外国為替証拠金取引(FX)は知識がなく、自分でやったことはありません。見聞きする話では、自分の投資資金より遥かに大きなレバレッジをかけて取引をする人が少なくないようです。

FXは上がるか、下がるかに掛ける賭博のようなもので、自分の思惑とは逆に大きく動けば、お金を借りて賭博をするようなものですから、短時間に自分の手には負えないような借金を背負うことが起こります。

このところは膠着相場が続きました。そうしたこともあり、個人がFX取引から離れているという報道も目にしました。

FX取引を主にしていた個人は、値動きの激しい暗号資産(仮想通貨)のFX取引に移った者も多いという報道もありました。

そうした人たちが取引に参加してきたからでしょう。昨年末にかけて値を下げていた仮想通貨が、今年になって息を吹き返しました。

その仮想通貨の値動きが、19日になって大きく値を下げました。私の勝手な想像ですが、FXに急激な値動きが起こったのを知った個人が、資金を仮想通貨からFXに移動したため(?)なのかも、と考えたりしました。

ともあれ、直前まで膠着状態だったFXに資金を投入していた個人が、急激な値動きに身動きが採れず、あっという間に膨らんでしまった損に失望し、電車に飛び込む自殺を選んでしまったのでは、と根拠のない想像をしてみました。

こんなことを書こうと思ったのは、日経新聞のサイトで、豊島逸夫氏のコラムを読んだからです。20日の午前8時18分に更新した分の見出しは「円安の変質、安全通貨からリスク通貨へ」です。

専門家の豊島氏によれば、日本の円の立場が、急激に変わりつつあるようです。

最近まで、円はに安全通貨とされ、世界的な金融不安が起きて大きな株安などの事態になりますと、日本の円が買われ、その結果として、円高になる流れがありました。

日本に住んでいる者としては、日本の経済は世界の人々に信じられているほど堅調ではないのに、どうしていつも円ばかりが買われるのか、と不思議に感じたことは一度や二度ではありません。

ともあれ、金融の世界の人には円は安全通貨ということになっていたわけですが、豊島さんによれば、逆に円が「リスク通貨」にされつつあるということです。

それで、19日の欧米市場はドル高が進行したのだそうです。これまでは、ドルが買われるときは、ユーロが反対売買で売られるのが通例だったようです。それが今回は、19日はユーロが対ドルで僅かながら反発したそうです。

そんな中、これまで安全通貨だった円が、売りの標的にされたようです。

その背景には、日本に対する欧米の見方が厳しくなっていることがある、と豊島さんは分析されています。

米紙の『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、社説で日本の「消費増税、大失敗」と断じ、英紙の『フィナンシャル・タイムズ』も「アベノミクス結果出せず、次期首相に難題残す」と論じたそうです。

安倍晋三首相にはすでに見切りをつけ、次の首相にまもなく変わることを想定し、その首相も対応には苦慮するに違いないと分析しているわけです。

安倍首相が日銀黒田東彦(くろだ・はるひこ)総裁とタッグを組み、異次元の金融緩和策(量的金融緩和政策)を採りましたが、米欧の一流紙でも指摘されたように、アベノミクスは失敗に終わり、愚かな金融政策によって日銀が大量の上場投資信託(ETF)を狂ったように買いまくりました。

日経平均株価に連動するETFに投資しているのだといいますが、指数を動かすのは個別株です。指数に比率の高い、たとえばユニクロ(ファーストリテイリング)の場合を見ると、日銀が主要株主です。

欧米紙は、「ユニクロの主要株主が日銀というエキゾチックな国」などと書き、日本を奇異の目で見るようになっているそうです。

日本でFX取引をする個人を、欧米の関係者は揶揄の意味を込めて「ミセスワタナベ」と呼ぶそうです。ミセスワタナベは逆張りが基本戦略で、下がったら買い増しをし、上がったら売ることが一般的のようです。

ということは、米ドルが下がることに掛けていた個人投資家は、思いがけずに損を膨らませ、この状況では、株でいえば、難平買いをするのでしょう。

下がるたびに難平を繰り返し、しまいにはそれに耐えられなくなり、損を大きく膨らませたところで勝負から降りるのが個人にはありがちなことです。

相場の世界は皮肉にできており、勝負を諦めて売った直後に、反対に値が動いたりします。

FX取引をする個人は、95%が勝てないといわれます。残りの5%もとんとんの個人がほとんどで、大きな利益が上げられる人は、ごくごくわずかとなります。

金融関係の人に限らず、日本政府に不信感を持つ人は増えているでしょう。

新型コロナウイルスCOVID-19)の感染者を大量に出す結果となったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応は、下手な個人投資家の失敗例のように、難平をしまくった挙句に、お手上げ状態となり、安全が保障されない乗客を昨日までの3日間に大量に下船させるという、これ以上ないほどの悪手を打ちました。

3日間に下船したのは970人です(※23日に969人に訂正されました)。同船に乗っていた外国人のうち、米国とカナダ、韓国、オーストラリア、イスラエルは、今日の日経新聞の記事では次のような対応を採ると伝えています。

  • 【米国】米軍施設で14日間隔離
  • 【カナダ】カナダ軍施設で14日間隔離
  • 【韓国】仁川にある施設で14日間隔離
  • 【オーストラリア】ダーウィン郊外の施設で14日間隔離
  • 【イスラエル】テルアビブ近郊の医療施設で14日間隔離

一方、日本政府は、下船した日本人を、乗用車などで迎えに来た人以外は、バスで横浜などの主要駅まで送り、そこで下車した乗客は、電車などを利用して自宅へ戻ることを認めました。

地方へ帰る人は、羽田空港から飛行機に乗ったり、東京駅から新幹線を利用したりしたでしょう。同じ飛行機や新幹線に運悪く乗り合わせてしまった人もいたはずです。それと気がつかずに。

3日間の1日目にこの判断を知った国民の多くは驚き、ネットでは懸念する声が挙がりました。それでも日本政府は方針を変えず、2日目も3日目も同じ方法で下船させています。

日本政府は、クルーズ船の中で14日間隔離したのだから問題ないだろうと考えているでしょう。しかし、これは大きな誤りです。

実体は隔離の反対で、感染を拡大していただけです。逃げ場を失った乗客は、感染度合いが濃縮される船内に留め置かれ、中国の都市・武漢よりも過酷な状態に置かれたとえいましょう。

武漢にいた日本人を、日本政府はチャーター機で帰国させました。その場合は、検査で陽性になった人は医療機関に入院させ、陰性だった人も、施設で14日間隔離することを決めて実行しています。

クルーズ船に乗船したいた人は、武漢と同等かそれ以上の環境にいたわけですから、下船させるにしても、他の国と同じように、14日間は隔離しなければならないことになります。

ところが、日本政府は何をとち狂ったのか、日本人の下船者に限り、家に戻ることを認めました。

今日の日経新聞の記事によれば、当初、厚生労働省は「下船後の行動制限は必要ない」としていたそうです。それが、国内から不安の声が挙がったことや、各国の対応との違いを指摘されたことなどで不安になったようで、下船の2日目からは、「健康カード」を配り、14日間は体温を測定することや、不要不急の外出を控えるよう求める方針に変えたそうです。

それ以前に、下船を許された乗客の中に、「下船時に陰性でも後に発症する可能性がある」と大東文化大の中島一敏教授が日経の記事で指摘されているように、感染のリスクのある人を一定期間の隔離をしないまま、人々の生活空間に戻してしまったのは大失態といわざるを得ません。

昨日の産経新聞には、「SARSより感染しやすい構造」と題する共同通信の記事を載せています。

記事よれば、19日、米国のテキサス大オースティン校などのチームが、米科学誌サイエンス電子版で、そうした解析結果を発表したそうです。

同チームの分析によれば、ウイルスの立体構造を極低温電子顕微鏡(低温電子顕微鏡法)で詳しく観察したことで、体内で感染の標的となる分子に、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスより、10倍から20倍くっつきやすいことがわかった、としているようです。

COVID-19感染を巡っては、毎日信じられないような報道が相次いでいます。本日も、次のようなニュースが上がっています。

COVID-19の感染者が日に日に増えていたクルーズ船内で、業務にあたっていた厚労省の職員の多くが、症状の出ない限り、検査も受けずに職場に戻っていたことが今になって確認されたそうです。同じことは、同船内で活動したDMAT(災害派遣医療チーム)の隊員にも当てはまるようです。

しかも驚くのが、今になって検査の必要性を感じて検査をするのかと思いきや、今後も「検査を受けさせない方向」であるらしいことです。

こうした措置を採る裏を勘繰れば、そうした職員から万が一感染者が出た場合、政府の対応を批判されることを恐れるからではないでしょうか。

もしかしたら、検査を受けていない職員や隊員の一部に、COVID-19に感染した人がいた場合、当人はもちろんのこと、他者への感染を広げてしまう可能性が否定できません。

その危険性を知りながらどうしても検査を実施しないのであれば、政府はCOVID-19の蔓延を許す判断をしたと指摘せざるを得ません。

COVID-19は、エアロゾル感染の可能性や、一度感染から回復した人が再び感染した中国での恐ろしい例が明らかになっています。

COVID-19の対応を巡っても日本政府は失態を続けており、それを見る欧米の目はいよいよ厳しくなり、それが円の「安全通貨」から「リスク通貨」への転換を生んでいるといえましょう。

これまでは、円安は日本の輸出産業には追い風と見られ、20日の日本の株式市場は値を上げ、一時は前日比400円以上となりました。しかし、それはつかの間で、プラス70円台まで下げて終わっています。

SBI証券:日経平均株価チャート 直近2日間(2020.2.21)
SBI証券:日経平均株価チャート 直近2日間(2020.2.21)

日本政府と日銀への不信感が薄まらない限り、今後も円安基調となり、日本の株価も上値を抑えられる展開が続くのでしょうか。

それより何より、気になるのはCOVID-19への日本政府の対応です。

日本人の感染者数を表に出さないような措置が採られ、抵抗できない日本人は、感染が蔓延する中での生活を余儀なくされつつあります。

このウイルスが騒がれ出した頃、発症元の中国は、実際より遥かに少ない数の発表しかしていないと日本国内からは声が挙がりました。今は日本に対する同じ声が、諸外国から挙がっている状況です。

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