私は、この火曜日から三日間かけ、Amazon Prime Videoで、『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』を見、本コーナーで取り上げました。
見始めたその日は、YouTubeに見たい動画がなかったので、Prime Videoへ行き、たまたま見つけた動画が『ジ・オファー』でした。
全10話で、1話が1時間ほどあり、全部で10時間ほどになります。
製作の舞台裏を知ったことで、本編が見たくなりました。かつて、NHK BSで放送されたものを録画して残してあるはずです。しかし、Prime Videoにあったので、それで見ました。
Prime Videoには『ゴッドファーザー』の三部作、あるいは二部作と後日譚ともされる三作品があります。ただ、Prime Videoで見られる期間が区切られているようで、今回は、8月いっぱいでそれが切れるようです。
本作はこれまでに何度も見ています。しかし、前回に見たのが前になるので、詳細は忘れていました。
描かれているのは、本作を監督したフランシス・フォード・コッポラが目指したように、米国に暮らすイタリア系移民のコルリオーネ一家と、一家に連なる人々の姿です。
しかし、コルリオーネ一家は、ニューヨークに五つあるマフィア組織の一つです。だから、普通の家族とは大きく異なります。
日本人からすると、米国人なら誰も同じような人々と見てしまいます。しかし、米国は、あとから移住した様々な民族の集合体です。それを知ったうえで見れば、同じ米国人でも、ルーツの違いが風貌から窺われるのがわかります。
それにしても、『ゴッドファーザー』を製作するにあたり、よくもここまで、イタリア系米国人を、映画製作のために集めたものだと感心させられます。
画面に登場してくる人間は、どれも、イタリアの血を濃く引くことを感じさせる顔ばかりです。髪が金髪であることはありません。黒い髪です。瞳が青い人もいません。肌の色も、純白ではありません。
コルリオーネ一家は、マフィア一家ですが、団結力は、一般家庭よりもむしろ強いといえましょう。しかし、家族思いであるがゆえに、それが悲劇へとつながってしまいます。
コルリオーネ家の家長の長男、ソニーは、短気な武闘派です。彼は妹思いです。その妹が結婚した夫から暴力を振るわれ、顔に殴られた跡があるのを知り、義弟に暴力を振るいます。
その暴力のシーンは壮絶です。手加減することなく、四の一歩手前ぐらいまで、思い切り殴り、容赦なく蹴り上げ、突き倒します。ソニーに暴力を振るわれた義弟は、道路上にぼろ雑巾のように倒れています。
本作は傑作とされ、目覚ましい興行成績を上げました。たしかに傑作ですが、見ていて心地よいかといえば、そうではありません。
コッポラ監督は、描きたい映像をとことんまで描きたい作風なのでしょう。
描き方によっては、たとえば暴力を描くンにしても、それが起きたことを観客に知らせるだけで、暴力そのものを描かない手法もあります。
松本清張は殺人事件を扱い、作品にします。そんな清張作品で、殺人シーンがリアルに描かれることはありません。それが起きたことを読者にわからせるだけです。
同じようにして、映像作品でも、リアルな暴力シーンを描かずに、暴力を描くことはできたはずです。
コッポラ監督はその手法を選ばす、とことんまで描いて観客に見せます。
ドンの三男マイケルを演じるのは、コッポラが強く望みながら、最後まで難航したアル・パチーノです。
マイケルは大学まで進み、途中までは、自分の家の稼業には入らず、別の生き方を考えていたようです。しかし、ドンがライバルのマフィアから命を狙われ、瀕死の重傷を受けたことで、父親との絆が強まってしまいます。
最後には、マイケルが一家を継ぐことになります。マイケルは、彼の知能を活かし、これまでとは違う家族の在り方を模索します。しかし、その過程で解決しなければならないことを、力によって片付けようとします。
そのため、多くの血が流されます。ドンが家族を率いていたときよりも、逆に、血生臭くなってしまった印象です。
私が本作の登場人物でもっとも心をひかれるのは、マイケルと大学で出会い、結婚するケイです。演じているのは、ダイアン・キートンです。
ケイは、マイケルがマフィア一家の人間とは知らずに交際していたのでしょう。ごく普通の過程で育ったお嬢さんです。そんなケイが、マイケルに心を寄せたために、自分の知らない世界に引きずり込まれていってしまいます。
長兄のソニーが、ライバルのマフィアにより、惨殺されます。そのシーンは、本作でも有名なシーンです。車の料金所で待ち構えていた殺し屋数人が、一斉に機関銃をぶっ放し、ソニーの体は、銃弾で蜂の巣のようになってしまいます。
それが起きたとき、マイケルはまだ実家に帰っていませんでした。あとで、それが、妹の夫がライバル・マフィアに協力した結果起きたことを把握したのでしょう。
マイケルは、自分の家族であっても、容赦しませんでした。
ケイは、自分が結婚したマイケルに不信を募らせるようになります。しかし、すでに結婚し、子供が生まれています。ケイは、自分が置かれた立場が逃れられなくなり、孤独を深めていきます。
本作がエンドロールに切り替わる直前のカットをご存じですか。
ケイが自分の不安をマイケルに伝えたのち、次の間に移ったケイの姿をカメラが捉えています。そして、ケイがいる部屋のドアが閉じられ、真っ暗になってエンドロールが始まるのです。
本更新を終えたあと、Prime Videoで『ゴッドファーザー PART II』を見ることになると思います。
