ICCの対応ぶりは相手次第

国際刑事裁判所(ICC)で所長の立場にある赤根智子氏が、トランプ米政権から制裁対象に指定されて以降、朝日新聞など日本のマスメディアが、一斉に、赤根氏を擁護する報道に徹しています。

私はICCについて詳しく知らないので、GoogleのAI Geminiと「対話」し、マスメディアが信じて疑わないICCに問題点がないのかどうか、自分なりに探りました。

まずは、司法の最後の砦と信じて疑わないマスメディアの報道に、なにか見落とされていることはないかとGeminiに訊き、次のような回答を得ました。

一連の報道において、以下のような視点や構造的な問題が見落とされがちであるという指摘があります。

  • 「米国の同盟国・日本」が直面する板挟みの構造とジレンマ 日本政府は公式にはICC支持や「法の支配」の堅持を表明していますが、安全保障をアメリカの抑止力に深く依存している現実があります。超大国である米国が国際司法機関の解体を標榜し、そのトップに制裁を科した際、日本が単なる「遺憾の意」や抽象的な支持表明を超えて、具体的にどのような外交的・実務的コストを払ってICCを守るのかという現実的なジレンマや政策論争が十分に深掘りされていません。
  • 国際人道法・国際法秩序における「米国の例外主義」の根深さ 今回の制裁はトランプ政権特有の強硬な外交手法として扱われがちですが、米国は元々ICCのローマ規程に非加盟であり、自国の軍人や同盟国(イスラエルなど)が国際法廷で裁かれることを一貫して拒絶してきた歴史(「米軍人保護法」の制定など)があります。今回の問題を一政権の暴走としてだけでなく、アメリカの「二重基準」や国際法秩序に対する構造的な不信という文脈で捉える視点が希薄です。
  • グローバル・サウスとの分断という大局的視点 ICCに対しては、これまで「アフリカ諸国偏重の訴追」といった批判がグローバル・サウス側からなされてきた経緯があります。今回、米国という大国が自国や同盟国の利益を守るために国際司法機関のトップを制裁したことで、欧米が主導してきた「国際法・人権外交」の正当性が国際社会全体(特に新興国・途上国)からどのように見られているか、という国際政治のパワーバランスの変化に関する踏み込みが不足しています。
  • 金融・経済制裁が持つ「実質的威力」と波及効果の具体性 米国の制裁により、赤根氏の米国内資産の凍結だけでなく、米ドル決済網や国際的な金融システムを通じて世界の民間金融機関がリスクを恐れ、実質的な取引回避(オーバー・コンプライアンス)に走る危険性が指摘されています。これがICCの日常的な業務運営や職員の安全、国際的な協力体制にどれほどの打撃を与えるかという、実務的・機能的なリスクの検証が一般向けに十分に伝えられていません。

日本のマスメディアは、赤松氏を全面的に擁護する動きを示しています。それはそれでいいでしょうが、ICCそのものは、本当に一点の曇りもない組織なのかとGeminiに訊き、次のような回答を得ました。

国際社会や専門家の間では以下のような批判や限界が指摘されています。

  • 大国・非加盟国に対する「構造的無力感」 ICCのローマ規程に加盟していない国(米国、中国、ロシア、イスラエルなど)の国民や指導者に対しては、国連安全保障理事会の付託がない限り、本来管轄権が及びません。そのため、大国が自国の国益や軍人を守るために協力を拒絶した際、ICCは実効的な強制力(逮捕状の執行など)を持たず、政治的・外交的な圧力の前に無力化しやすいという本質的な限界を抱えています。
  • 「グローバル・サウス」からの不信と二重基準の批判 設立当初からの歴史的経緯において、訴追の対象が長らくアフリカ諸国の紛争(ウガンダ、コンゴ、スーダンなど)に偏っていたことから、アフリカ諸国を中心に「欧米諸国が自らの政治的意図に利用し、大国の犯罪には目をつぶる『二重基準の機関』ではないか」という強い不満や反発を招きました。一時期はアフリカ諸国から集団脱退の動きが起きるなど、全世界的な正当性が常に摩擦に晒されてきました。
  • 「司法の政治化」というジレンマ 重大な戦争犯罪や人道に対する罪を裁くという理念の一方で、国際政治のダイナミクスから完全に独立することは極めて困難です。特定の国家の指導者に対する逮捕状の発行や訴追が、かえって和平交渉を困難にしたり、当事国の内戦を激化させたりするケースもあり、「法的な正義の追求」と「現実的な政治的安定・和平」のどちらを優先すべきかというトレードオフを常に抱えています。
  • 限られた予算と組織的リソースの脆弱さ ICCは常設の国際裁判所であるものの、独自の警察組織や軍事力を持たず、加盟国からの拠出金と協力に全面的に依存しています。事件の捜査や証拠集めには膨大なコストがかかりますが、財政基盤や調査能力は必ずしも十分ではなく、世界中で同時多発する紛争すべてに公平かつ迅速に対処できるだけのキャパシティを持っていません。

ICCが管轄するのは、次の犯罪です。

  • ジェノサイド(集団殺害)の罪
  • 人道に対する罪
  • 戦争犯罪
  • 侵略の罪

ICCは、ロシアがウクライナに「侵攻」したことにより、以下の逮捕状を請求・発行しています。

  • ウラジミール・プーチン大統領および子供権利担当大統領顧問に対し、2023年3月に逮捕状発行
  • ウクライナ国内での戦争犯罪や人道に対する罪を理由に、ロシア軍の交換や元国防相などにたいし、相次いで逮捕状を請求・発行

私は、ロシアがウクライナに一方的に「侵攻」したとは考えていません。それ以前に、ウクライナ東部のドンバス地方で暮らしていたロシア系住民が、ウクライナ政府軍によって迫害を受けています。

これをやめてもらうよう、住民からロシアに助けを求める声がありました。それをすると、軍事的衝突が起きてしまうとして、長年、ロシアは手を出せずにいました。

このあたりのことについて、ジェノサイドや人道の罪を扱うはずのICCはどのように対応していたのかGeminiに訊き、次のような回答を得ました。

ウクライナ東部(ドンバス地域など)におけるロシア系住民をめぐる状況や、2014年の「マイダン革命」以降の衝突・迫害の主張について、国際刑事裁判所(ICC)はこれまで以下のような対応とスタンスをとってきました。

  • 2014年以降の「予備調査」での対象化ICC検察局は、2014年4月以降のウクライナ国内(クリミア半島の併合や東部ドンバス地域での紛争を含む)で発生したとされる犯罪行為について、正式な捜査に移行する前の段階である「予備調査」を2014年から長年実施していました。 この調査の中で、親ロシア派武装勢力による行為だけでなく、ウクライナ政府軍や治安当局側による住民への暴力や人権侵害の allegations(主張・告発)についても情報収集と分析の対象に含まれていました。
  • 「ジェノサイド」の主張に対する司法判断の舞台の違いロシア側や一部のロシア系住民の間では、「ウクライナ政府が東部のロシア系住民に対して迫害やジェノサイド(集団殺害)を行っている」という主張が、軍事介入の正当化理由の一つとして繰り返し主張されてきました。しかし、ウクライナ側はこれを「虚偽の口実である」として、2022年2月の本格侵攻直後に国際司法裁判所(ICJ)にロシアを提訴しています。そのため、国家間の条約違反や「ジェノサイド条約の解釈・適用」をめぐる争いは、刑事責任を問うICCではなく、国連の最高司法機関であるICJの管轄として扱われてきました。
  • 2022年の全面侵攻による捜査の全面拡大ICCは2020年12月にこれまでの予備調査を完了させ、「戦争犯罪や人道に対する罪が存在する合理的な根拠がある」と結論づけていました。そして2022年2月のロシアによる全面侵攻後、日本を含む多数の加盟国からの要請(付託)もあり、ICCはウクライナ全域における事態へと一気に本格捜査を拡大させました。
  • 特定の陣営に偏らない「すべての当事者」への管轄ICCの主任検察官は、ウクライナ東部を含む紛争の文脈において、ロシア側・親ロシア派による国際法違反だけでなく、「ウクライナ国内のすべての当事者によってコミットされた(行われた)管轄内の犯罪」を広く調査対象とする方針を示しています。ただし、これまでに発付された具体的な逮捕状(プーチン大統領やロシア軍高官など)の多くは、住民の強制連行やインフラ攻撃など、ロシア側の組織的・大規模な行為に焦点が当てられています。

私はGeminiの回答を聞き、以下のような疑問を抱きました。

ウクライナのロシア系住民に対する迫害の訴えについては、2014年以降、「予備調査」を盾にして、実質的には何もしていなかったのに等しいのではないのか、と。これで、本当に、赤根所長は胸を張って、自分たちの正当性を貫けるのでしょうか。

ICCは、ウクライナ東部のロシア系住民が自国の政府軍から迫害を受けているという訴えには耳を貸さず、その一方で、ロシアとウクライナとの衝突が始まると、およそ一年後には、ロシア側の罪を問うことをし、実際に、最高責任者であるプーチン大統領に逮捕状を発行しています。

ロシア、ウクライナ双方の訴えを訊き、公平に対応するとしながら、実際にはロシア側だけの非を断定し、裁いています。今に至るまで、ウクライナ側の罪は俎上にすら載せられていません。

これでは、ICCは二重基準だと非難されても仕方がないのでは、とGeminiに問い、次の回答を得ました。

そのように感じられるのは非常に自然なことであり、国際司法の仕組みが抱える構造的なもどかしさや、対応のスピード感に対する不公平感は、多くの専門家や国際社会からも指摘されてきた点です。

ICCの「予備調査」が長くかかったことや、全面侵攻後に急展開した背景には、以下のような実務的・制度的な要因がありました。

  • 証拠集めと「管轄権」の壁ICCには独自の警察組織がないため、犯罪事実や指揮系統のつながりを立証するだけの客観的な証拠をすべて自前で集める必要があります。2014年以降の東部紛争でも調査は進められていましたが、戦線が膠着し現地へのアクセスが制限される中では、最高指導部まで責任を問うだけの証拠固めに膨大な時間がかかっていました。
  • 加盟国からの後押し(資金と人的支援)の有無2022年2月の全面侵攻後、世界各国(特に欧州や日本など30カ国以上)が異例のスピードでICCに事件を「付託」し、巨額の拠出金や専門家の派遣を行いました。これにより、検察局は一気に捜査リソースを集中させることが可能になりました。つまり、「ロシア側の罪を問うことに積極的になった」というよりも、国際社会からの政治的・財政的なバックアップが急増したことで、それまで滞りがちだった実働体制が一気に整ったという側面があります。
  • 「すべての当事者」を対象とする建前と実態の乖離ICCの検察官は一貫して「ウクライナ国内で起きた犯罪は、誰が犯したものであれ(ウクライナ軍側であれ)捜査対象にする」と主張しています。しかし現実には、国家規模の組織的攻撃や民間人への大規模な被害、そして明白な証拠が集中しているロシア側の案件が優先的に捜査され、結果として一方に偏っているように見えるという批判を招いています。

法的な正義の実現を掲げる一方で、国際政治のパワーや支援の有無によって捜査のスピードやリソースが左右されやすい点こそが、ICCが「完全な中立・公平」であるかどうかが常に問われる所以となっています。

赤根氏がご自身の仕事に誇りを持たれていることは認識しています。そのうえで、ご自身が所属するICCが、一点の曇りもない組織なのかどうか、率直なお考えを、マスメディアを通じて届けて欲しいと思っています。

私はどんな組織でも、問題点は必ずあると考えます。ICCにも、ここまで書いてきたように、相手によって対応を変えています。自分たちに近い考えを持つ側にだけ働く「正義」は、「偏った正義」です。「偏った正義」は「正義」でないばかりか、「迷惑な正義」にもなりかねません。

赤根氏は、「正義」を貫くため、自分は決して、米国の圧力には屈しないと会見で述べているようですけれど。赤根氏は、今一度、自分たちが行使している「正義」の中身をよく吟味して欲しいです。

間違っても、「迷惑な正義」を振りかざすようなことだけはお避けください。

赤根所長を庇う報道をするマスメディアも、たとえば、ウクライナ国内のロシア系住民に対して、ウクライナ政府軍が犯した罪をどのように考えるのか、この際ですから、紙面でお伝えください。

ICCの悪いところを真似して、回答の先延ばしといいますか、実質的には「無視」、なんてことはしないように。

赤根氏が報道されるようになったことで、私は赤根氏を初めて知りました。

赤根氏の写真を新聞で初めて見たときから、違和感を持っています。その違和感は、こういってはなんですが、見た目から来ています。

今年70歳になられたのだと思いますが、髪形が年齢にそぐわないように感じます。昔から髪形が変わっていないのでは、と考えてしまいます。

個人の自由ですから、他人の私が口出しをすべきではありません。ただ、髪形というのは、案外、当人の内面を映し出したりします。

もしかしたら、少女のような気持ちを今もお持ちなのではないでしょうか。髪形と同じように。

純粋さは大切です。しかし、年を経れば、不純なものが、良い悪いを別にして、自分の中に取り入れられるものです。

純粋さは「純粋培養」につながりかねません。それが強すぎると、判断が偏るのではありませんか。「法の正義」ばかりになってしまうことは、ある意味、バランスを欠くことになりかねません。

子供だったらスーパーマンやスーパーウーマンに憧れるのもいいでしょう。しかし、年齢を重ねたら、そればかりでないことも知って欲しいです。