油絵具でアクリル絵具の技法に再々・・・挑戦

3日前の本コーナーで、油絵具のホワイトについて書きました。本更新はその続きの話です。

本日、自分の頭部を油絵具で描く絵に加筆をしました。実は、昨日に続けて2日続けての加筆です。昨日は、絵具を画溶液で水のように、といいますか、油絵具なので、色が微かについた画溶液を薄く塗りました。

この自画像は、鏡に自分の頭部を映し、それを見ながら描いてきたものです。

昨日と本日は、鏡の中の自分を見ないで絵具をつけています。

西洋絵画の自画像を見るたび、どのように描いたのか、想像を膨らませます。自分の姿を描くので、当然、鏡に自分を映し、描いたと考えるのが普通です。

しかし、自分でやってみればわかりますが、鏡に映るままの形と色を油絵具で表現しようとすると、私に限ったことかもしれませんが、描いていて苦痛に感じます。

そのときどきで色の見え方が、違い、それを油絵具で再現しようとすると、際限なく時間がかかるように感じるからです。絵に接していて疲れてしまいます。

その一方で、何も見ないで、絵に接すると、自由な気分になります。ただ、自分の頭部を描こうとするわけですから、自分の姿からかけ離れるわけにはいきません。

自由に感じるのは、色の扱いが、目に見えた通りでなくてもいい、ことがあります。

最近は使っていませんが、私はアクリル絵具で絵を何枚も描きました。アクリル絵具の扱いは自分である程度習得できたと考えています。

陰の部分は絵具を薄く溶き、それを乾かしながら、何層も重ねます。その一方で、明部は絵具を不透明に重ねます。そして、明部は、塗った層を乾かしたのち、その上に、色を透明にして重ねます。

この描き方が、私のもっとも敬愛する17世紀のオランダの画家、レンブラント後期の描き方に近いのでは、と私は勝手に考えています。

同じことを、油絵具を使った描き方に採用することを過去に何度も試してきました。しかし、これまで、うまくいきませんでした。

油絵具は、顔料と染料を油で練って作られています。油は乾燥するのにとても時間がかかります。結局はいつまでも乾燥ることがなく、時間をかけて固まる性質を持ちます。

こんなふうに、水で溶き、乾くと耐水性を持つアクリル絵具と性質がまるで異なるので、アクリル絵具で実践した描き方の実現が難しいです。

その描き方を最近になってまた試し始めました。

きっかけは、油絵具のホワイトについて更新したとき、レンブラントが描いた自画像のYouTube動画をまた見たことです。本動画はこれまで数えきれないほど見てきました。

Rembrandt, Self-Portrait

本動画の中に、レンブラント独特の描き方を比較する意味で、カラヴァッジォが描いた人物画が紹介されています。二人の作品を並べた場面があります。

それを見ると、印象がまるで違います。

カラヴァッジォは優れた描写力を持ちますが、色の扱いは、レンブラントに軍配が上がります。色の輝きがまるで違うからです。カラヴァッジオが描いた人物は、絵具が不透明に塗られているので、色の輝きがありません。

レンブラントが描いた後期の作品の人物像に色の輝きを感じるのは、ただ単に、絵具をパレットで混色して塗ったからではないからです。

おとといの更新でも簡単に触れたように、絵具を透明な層にして重ねています。これを、グラッシやグレーズといいます。これが、レンブラントの絵画技法の特徴といえましょう。

私はそれをアクリル絵具では実現できたものの、油絵具ではこれまで、うまくいかなかったことはすでに書いた通りです。その技法に今また挑戦し始めたというわけです。

今は、油絵具や画溶液が改良され、短い時間で、いわゆる「乾燥」するものがあります。それを利用して、挑戦してみようというわけです。

これが油絵具の技法でも実現できたら、混色に使う絵具は数色で済みます。十何色も使う必要はありません。

事実、アクリル絵具で描いたとき、混色に通常使う絵具の色は、白を入れて3色でした。私は人物を主に描いたので、この色数になりました。

あとは、混色してつけた色を乾かし、その上に、グラッシで色の層を重ね、複雑な色にします。

本ページでも紹介しているレンブラントの自画像は、使っている絵具の数は少ないのに、実に色彩豊かに感じられます。これこそが、レンブラントの色の魔法のようなものです。

不透明に絵具を使ったカラヴァッジオの絵とはまるで違う印象です。

グラッシすることに、下地となる層を描くため、私はホワイトに、シルバーホワイトではなく、新しいホワイト、パーマネントホワイトを使いました。

このホワイトは、チタニウムホワイトを扱いやすいように改良したホワイトです。チタニウムホワイトよりも被服力を少し落としつつ、シルバーホワイトよりも明度が得られやすく作られています。

最終的には、そのホワイトを使って混色した層に、グラッシで色の輝きを与えるため、ホワイトがパーマネントホワイトでも問題ありません。

本日塗った層が、どの程度で指触乾燥するか、確認する意味合いもあります。それが乾いたら、その上に透明な層を重ね、それを乾かし、さらに、同じことを繰り返す予定です。

微妙な色の重なりが色に深みを与えます。

アクリル絵具でできたことを、油絵具で得ることを始めました。

それを自分のものにできたら、別に考えることがあります。それは、西洋絵画の巨匠たちは、自画像や肖像画をどのようにして描いたのだろうか、ということです。

グラッシを使って描こうとすれば、モデルを前において描くわけにはいきません。画紙にモデルをスケッチしつつ、モデルの姿を自分の頭に記憶し、スケッチを参考にしながら、記憶で、カンヴァスに描いていったのでしょうか。