私はテレビ番組をあまり見ません。見る番組は決まっていて、その番組は、録画して見ることが多いです。
そんな番組の一つに、毎週日曜の午前10時30分から正午にかけ、NHK Eテレで放送される「NHk杯テレビ将棋トーナメント」があります。
私は、将棋のルールを知らないまま、なぜか、この番組を見る習慣が昔からあります。将棋のルールを覚えて二十年ぐらいだと思いますが、自分で将棋を指そうとは思いません。
それでも、番組は毎週録画し、見る習慣です。
直近の日曜日(7日)は、1回戦の第10局が指されています。対局されたのは、木村一基九段と勝又清和七段です。
本対局は、いろいろな意味で、興味深い内容となりました。
本対局の解説を担当されたのは、中川大輔八段です。
番組の司会をされる室谷由紀女流三段との会話から、勝又さんの人となりがわかります。中川さんは、同い年です。お二人について書かれたウィキペディアを確認すると、中川さんが1982年、勝又さんが翌83年の、将棋の中学生名人戦で優勝されています。
お二人は1983年に、奨励会(新進棋士奨励会)に入会しています。以来、40年以上の付き合いになるとのことでした。勝又さんをよく知る中川さんが、勝又さんの対局を解説をされたことで、いろいろとおもしろい話を聴くことができました。
将棋は実力の世界です。棋力を向上させ、四段に昇段できなければ、プロ棋士にはなれません。中川さんがプロ棋士になったのは1988年です。
中川さんは中学生名人戦で優勝するほどの実力を持ちながら、プロ棋士の中では、「我々(つまり、自分と勝又さん)は落ちこぼれ」と発言し、室谷さんに「いいえ、そんなことはありません」と笑って否定される場面がありました。
木村さんと勝又さんの対局は、勝又さんがうまい指しまわしをされたようで、終始、リードする形でした。
AIの判定がリアルタイムで表示されるので、何もわからない素人が見ていても、だいたい、どちらがリードしているかがわかります。
もっとも、将棋というのは逆転のゲームといわれるので、数手のやり取りで、簡単に逆転してしまうことがよく起こります。
木村さんと勝又さんの対局でも、逆転する場面が何度もありました。
勝又さんのNHK杯での対局については、本コーナーで一度取り上げたことがあります。勝又さんが、対局中に、非常に激しい動きをしたのが気になったからです。
その勝又さんの動きですが、自分が有利の展開になると動きが大きくなると中川さんが語り、室谷さんの笑いを誘っていました。
また、中川さんによると、勝又さんは、膝と腰があまり強くないそうです。だとすれば、座布団に長時間座らなければならないプロ棋士としては、ハンディになるでしょう。
それもあり、勝又さんは座布団を二枚重ねていました。
胡坐(あぐら)を組むことが多く、途中では、膝を立てたような姿勢をとり、腰をかばっている様子も見受けられました。
手数が進んで、190を超える手数になりました。最後は、どちらが勝ってもおかしくない場面がありました。
中川さんによると、プロ棋士であっても、互いが詰みを見逃すことがあると話されました。
最後の最後、勝又さんが詰みを読み切り、最後の駒を動かしました。そのとき、勝又さんの手がブルブルと震えていました。
勝ったあとも、勝又さんは放心状態で、インタビューに「(勝てたのが)信じられない」と正直に語ったのが印象的です。
勝又さんと四十年以上の付き合いを持つ中川さんが解説されたことで、テレビ観戦が興味深いものになりました。別の解説者であったら、同じ対局でも、違ったものに見えたかもしれません。
