昨年末にネットで買い物をしました。買った物は、中古のビデオデッキです。多くの人にとっては過去の遺物のような物を今更買ったことになりましょうか。
映像の保存も、DVDやブルーレイディスク(BD)などデジタルに移り、その流れに沿って、過去にビデオに録画した映像をそれらのデジタルに保存し直した人もいるでしょう。
私はその流れに逆らったわけではなく、ただ単に面倒くさいと考え、ビデオテープのまま残しています。
私がビデオデッキを手に入れたのは1980年代初めだったと記憶しています。
このことは、ビデオに関することを取り上げたときに書いていますが、ビデオ録画と再生の方式には、VHSとベータマックスの2方式があり、それらに互換性はありませんでした。
私はVHSを選びましたが、この方式を作ったのは日本ビクターで、同社から発売された民生用のビデオデッキの2号機を手に入れています。
私は蒐集癖を持ち、デッキを使い始めてからは、テレビ番組を録画して蒐集することをしました。画質にはこだわらないため、途中から、120分のテープに360分録画できるようになると、3倍速でばかり録画しています。
そのようにして録画したテープが、最も多い時で2000本ぐらいまで増えました。しかし、保存状態が悪かったため、録画済みのテープにカビが生えるなどして、大量に処分しています。
現在残っているテープは専用ラックに入れて保存しています。引き出し式で、1段に12本のテープが収納でき、それが10段で2列ありますので、それだけでも240本になります。
ほかに、ラックに収まりきらないテープが60本から70本ありますが、これらにもカビの生えたものがあり、結局、10本か20本残し、あとは処分する予定です。
昨年は、テープを再生する肝心要のビデオデッキの状態が悪くなりました。具体的には、テープのローディングに問題が生じ、回転ドラムにテープを巻き付けたり、そこからテープを取り出すときに、障害が発生することが多くなりました。
それが酷い場合は、テープの取り出しが難しくなり、内部にテープがセットされるカセットを力まかせに引っ張り、テープを切断せざるを得ないこともありました。
また、切断しないまでも、テープを傷めることがあり、そのようなテープを再生すると、録画データを読み取る回転ドラムの読み取り部分に、悪影響を及ぼすことを心配するようになりました。
それやこれやで、別のビデオデッキを購入するしかないと考え、手に入れたわけです。
といっても、一世を風靡したビデオの需要はほぼなくなり、新製品を販売するメーカーごく一部を残すのみです。それを求める側も、ビデオで番組を録画する人はなく、再生できれば良いと考える人ばかりでしょう。
そんなことから、私はなるべく安くて状態の良い中古を見つけることをしました。その結果、8000円弱の中古デッキを手に入れることができました。
昨年末に届いた中古は、パナソニックの“NV-HV7G”というタイプです。このデッキの持ち主は、丁寧に扱ったようで、綺麗な状態でした。肝心の駆動状態も、テープはスムーズにローディングされ、再生も安定しています。加えて、リモートコントローラーも付属しており、正常に作動します。
それ以前に使っていたビデオデッキもパナソニック製であったため、過去に録画したテープを再生させても、トラッキングノイズが発生することもありません。
説明書は付属していませんでしたので、メーカーのサイトから、説明書のデータをダウンロードしました。
これで、当面は、録画テープを見て楽しむことができます。
何百本の録画テープが残っているといっても、繰り返して見るテープは限られます。なかでも、20年以上前にNHK教育(NHKEテレ)で放送された油彩の絵画制作シリーズは、1000回以上は再生したのではないかと思います。
空き時間にそれらを再生し、絵具をカンヴァスに塗り込む様子を見ているだけで気持ちがよくなります。
今後も、飽きることなく再生させることでしょう。
ほかに好きな番組は、1988年3月11日午前2時10分からフジテレビで放送された「春の楽しい電車」です。これはおそらく、当日のテレビ欄で偶然見つけ、録画したものです。
東京のJR山手線や東京モノレール、京王井の頭線などの運転席からノンストップで撮影した映像に、B.G.M.を付けただけで、ナレーションは入っていません。
車窓から見える1988年当時の風景が撮影されており、貴重な時代の記録といえるのではないでしょうか。
私は東京モノレールの部分を抜き出し、自分で動画を本サイトのサーバへ上げ、紹介することもしています。
そのあと、井の頭線も、渋谷駅の2つ前の駅ぐらいから動画で紹介することもしました。
この番組が収められたテープにはカビが生えておらず、テープの状態も良いため、今後も気の向いたときに見て楽しむことをしましょう。
全体的には美術番組が多く、NHKの「日曜美術館」や、かつてテレビ東京で放送された「世界・美の旅」などは数多く(「世界・美の旅」は全ての回)を録画して残してあります。
今は番組を送出する側も技術が格段に進歩しているはずですが、20年以上前よりも番組作りは退化していると感じずにはいられません。技術そのものより、番組を作るスタッフの意識や意欲が低下しているのでしょうか。
途中でも書きました「春の楽しい電車」のような番組であれば、制作費も安く抑えられ、企画が通りやすいと思うのですけれどね。
もしもフジテレビが「春の楽しい電車」を再放送するようなことがあれば、BDにバッチリ録画し、永久保存するつもりです。ま、再放送は望めないでしょうけれど。