新聞をめくっていましたら、ある見出しが目に飛び込んできました。
「家族ヌード」
「家族ヌード?」と興味を引かれ、記事を読み始めることに。
話題の主は、長島有里枝という女性写真家で、これまでの彼女の活動を総括する個展が開かれている(開かれていた?)という内容の記事でした。
彼女は、1993年に“家族ヌード”で衝撃的なデビューを飾ったことから「“家族ヌード”写真家」などとも呼ばれているようです。私も彼女の名前は聞き覚えがあると思い、重ねた本の小山を捜していましたら、見つかりました。彼女の写真が収められた写真集”Shutter and Love”が。
私は買った本やCDには購入した日付を書き込む癖がありまして、その本の日付を確認すると、1996年8月14日とありました。ちょうどその頃、Hiromix(ヒロミックス)という女性写真家が話題を集めていて、ちょっとした“女性写真家ブーム”が起こり始めていたように記憶しています。
で、その本には、そうした新進気鋭の女性写真家の写真が一人数枚ずつの単位で紹介されています。ちなみに、収録されている写真家は、今回話題にしている長島有里枝(1973年東京生まれ)の他には、辻佐織(1971年札幌市生まれ)、コバヤシアサコ(1974年大阪生まれ)、飯塚三絵(1974年生まれ)、白土恭子(1970年生まれ)、中島古英(1973年東京生まれ)、金子亜矢子(1970年東京生まれ)、中野愛子(1968年神奈川生まれ)、小島ゆかり(1973年金沢市生まれ)、マヤ(1973年熊本生まれ)、高橋万里子(1970年横浜市生まれ)、戸崎美和(1967年名古屋市生まれ)、岡本真菜子(1972年福島生まれ)、岡久美(1973年仙台市生まれ)、藤岡亜弥(1972年生まれ)、蜷川実花(1972年東京生まれ)です。
こうして改めて並べてみると、見事なくらい生まれた年が1970前後で一致していますね。今年2001年で、30歳ちょい手前ぐらいの年齢になるわけで、、、「結婚適齢期」、なんて一括りでいったら叱られるか?
で、本書には、飯沢耕太郎氏の筆で、彼女たちの解説が書かれていたりするのですが、長島有里絵のところには、次のような解説がつけられています。
彼女の登場によって、写真を巡るシーンが大きく変わったことは、誰にも否定できないだろう。衝撃的な“家族ヌード”を軸として語られることが多いが、実は彼女の真骨頂は自分も家族も友だちもひっくるめて、等価で公平(キャンディド)なまなざしで写真の中に抱えこむことのできる能力だと思う。長島の写真を見ていると、ぺしゃんこにつぶれた気持が少しずつ回復し、元気になっていくような気がする。ニューヨークでの充電が終わったら、また東京で暴れて欲しい。
で、最後に書かれている「ニューヨークでの充電」が1999年に終わり、それらをひっくるめた総括的な個展が今回の「PASTIME PARADISE」(東京・谷中)であるわけです。
さきほど取り上げた写真集に載せられている写真は、どれもがそれまでのプロ写真家の手によって生み出されてきた写真とは全く違ったニュアンスを備えています。誤解を恐れずにいってしまえば、素人が撮ったような写真です。しかし、それが新感覚として新鮮にとらえられ、認められていったのだと思います。
長島は、今回の記事の中のインタビューでは次のような答え方をしています。
シャッターを押すときもそうだけど、人生、勘ですよね。考えてたらその瞬間の写真は撮れないんですから。
彼女の持つ「思い切りの良さ」を私も見習いたい、と思ったりしている2001年私の年頭であります。