米国のドナルド・トランプ大統領(1946~)が、米国の輸入する物品へ強めの関税を課す方針を示しました。示しただけでなく、広く10%の関税が課せられ、中国へは100%を上回る関税をすでに実行しています。
この動きが出て以降、金融の世界は大波に揺らされています。世界の株式市場の値動きが、下へ上へと大きくなっています。また、世界で一番安全な投資先であるはずの米国債が売られ、価格が下がり、それにより利回りが高くなったことが報じられたりもしました。
トランプ氏としては、ジョー・バイデン前米大統領(1942~)時代だけで、総量が倍以上に積み上げられてしまった米国債の利息を少しでも下げる目的で、株価が下がるのもやむを得ないという方策に出たのでしょう。
通常であれば、株式市場が不安定になった場合は、より安全な投資先である国債に資金が移動します。その結果、国債価格が上昇し、利回りは下がります。
それが今回は、株価が下がったうえに、国債価格も下がり、米国が払わなければならない利子が逆に上昇してしまったというわけです。
聞くところによると、トランプ政権で財務長官をするスコット・ベッセント氏(1962~)が、トランプ氏にいろいろと助言をされているようです。
1992年に、英国の通貨ポンドが暴落することが起きました。それを起こしたのはジョージ・ソロス氏(1930~)とされます。しかし、その裏で動いたのがベッセント氏であったということです。
いずれにしろ、今の株式市場の動きになっている今、本日の朝日新聞に次の記事があります。
日本でNISA枠を使い、ドル・コスト平均法を用いた投資信託への長期投資をする人は、金融界の大波を受けてもなお、焦ることなく、淡々と投資を続けている人が多いことを伝えています。
記事では、この分野に詳しいファイナンシャルプランナーに話を訊いています。その人は、今の値動きに対してどのような投資行動を採るべきか、次のように答える部分があります。
短期的な株価の上下に一喜一憂することなく、長期分散投資を続けるべきです。
同じような指摘は、いろいろなところで見聞きします。しかしこの指摘は、過去に起きた暴落とその後の値動きを基にした話です。
投資の世界は、過去に起きたことが将来にも必ず起きるとはいえない難しさがあります。
株価が下がった今が良い買い場だと考える人がいるでしょう。値下がりした個別株を買い増したり、投信に投資する人は、基準価額が下がったところでスポット買いをした人もいるかもしれません。
このあと、株価が元へ戻り、さらに上昇すれば、結果的には正しい投資行動になります。しかし、実際にそうなるかは、将来まで誰にもわかりません。
今年の1月28日に世を去った経済アナリストの森永卓郎氏(1957~2025)は、株価の先行きに対し、晩年は一貫して極めて弱気の姿勢を採られました。
昨年も、日経平均株価は3000円まで下がると繰り返し述べています。森永氏の発言が頭に入っていた私は、本当に暴落のようなことは起きるかもしれないと考え、昨年8月頭に、急落する場面が起きたあと、それまで所有していた個別株などをすべて売却し、現金に換えました。
その後は、日本の株価も、年末に向かって大きく上昇しています。そして、年が明けて以降、今のような状況となりました。
下落しても、株価は適正な株価に戻るという考え方から、長期的には右肩上がりになると考える人が多いでしょう。
森永氏がネットの動画共有サイトYouTubeで語る動画を何本か見ました。下に埋め込んだ動画で、森永氏は、株価というものを経済理論の観点から正しく理解できれば、株価は0円にならざるを得ないというように話されています。
つまり、今ついている株価はバブルのようなもので、それに投資をする人は、投資分野の専門家のいい分に騙され、価値のないものに自分の金を預けてしまっているということです。
森永氏は日経平均が3000円になるといっただけではありません。投資をする人であれば、3000円まで下がることがあれば、それ以上の買い場はないと考えるでしょう。
森永氏の指摘の怖いところは、一旦下がった株価が再び上昇することがないと明言したことです。それが本当に起きれば、株価が下がるたびに買い増しする行為は、一貫して下がり続ける商品に、どんどんお金を注ぎこんでいるのと同じといえましょう。
上場廃止になる株を、下がるたびに買い増すようなものです。廃止になったあとは、注ぎこんだ投資資金はゼロになってしまいます。
私は、世界的に株価が軟調になり始めたあと、全世界の株価インデックスの値動きに連動する投信と、日本の高配当株の値動きに連動する投信のふたつにドルコスト平均法で投資しようと思い、今年の1月と2月の途中から始めました。
米国経済の先行きが不安定であることと、今後、円高になる可能性を考えると、為替リスクがない日本株投信に投資するのが、少しはリスクが少ないのではと考えてみたりします。
私は投資額が少ないので、2、3カ月で、大した投資額にはなっていません。それでも、森永氏が残した指摘が頭をかすめたりして、今は、追加投資を一時的に止め、様子見の状態です。
人気の投信には、オルカンと呼ばれる全世界に投資するものと米国の企業に集中的に投資するS&P500があります。オルカンが全世界に投資するといっても、上位の構成銘柄を見ると、S&Pとほぼ同じです。
米国株に一極集中的に投資することが危ういと感じるのは、今後、米国によって、第二のプラザ合意のようなことが起こされたら、急激な円高になってしまう怖さがあることです。
それが起きたら、投信で米国に投資した人の米ドル資産は、価値が大幅に減ることになります。
そういったことを考えわせると、オルカンやS&P500に、ほったらかしの長期投資できるかといえば、難しい面がなくもないような気がします。
私が利用するネットの証券会社・SBI証券のサイトでファンド検索を見ると、今現在、積立金額増加の第1位は、オルカンからゴールドを積み立てる投信に替わっています。
今までになかった動きです。この動きからどんなことが想像でき、見えてくるでしょう。
このあと、過去の暴落時と同じように、株価が元へ戻り、その後、さらに上昇していくのなら、本日の朝日が記事にしたように、強気の投資家が報われる結果となります。
しかし、将来のことは誰にもわかりません。
将来がわからないことでいえば、各人の余命もわかりません。若い人が高齢の人より余命が必ず長いともいえません。
昨今は、存在しない新コロウイルスのために作られたことにされているワクチン(似非ワクチン)による重大な被害としか思えない急死が増えています。
少しでも名を知られる人が、驚くほど若くして亡くなる例もあります。
そんなことを考えると、若い世代だからといって、この先年十年も積み立て投資ができるという保証がありません。いつか含み損が消えて利益が爆発するだろうと考えたままこの世を去ったら、心残りではありませんか?
自分が信じて長期投資したものが、逆の結果になってしまったら、それらの人にはどんな思いが去来するでしょう。
人生には勝ちも負けもありません。最後はひとり残らず、この世から退場していきます。それまでの期間に、どれほど贅沢できても、それは、そのわずかな期間内のことです。すべては退場とともに無になります。
一番いいのは、投資などせず、預貯金の範囲内で、心穏やかに生きていくことです。