2006/02/20 ホリエモン・メール

本日は、人々の話題の中心であろう「トリノ・オリンピック」ではなく、個人的に興味を持った話題について書きます。

それにしても、ホリエモンこと堀江貴文被告(1972~)は、実に多くの話題を提供してくれる人です。今回は、民主党所属議員の永田寿康氏(19692009)がネタ元の、いわゆる「ホリエモン・メール」について取り上げます。

発端は16日の衆議院予算委員会でした。その場で永田議員が、「ホリエモン・メール」らしきものの存在を明らかにしました。永田氏によれば、そのメールは「信頼の置けるフリー・ジャーナリスト」を介して入手したそうです。

文面は、選挙コンサルティング費として、自民党幹事長、武部勤氏(1941~)の次男の銀行口座に3000万円振り込むよう指示する内容です。

そのメールが正真正銘の「ホリエモン・メール」であるのなら、一夜にして、小泉内閣が吹っ飛ぶ政局へと発展しかねないものです。

しかし、問題がないわけではありません。そのメールが間違いなく本物の「ホリエモン・メール」なのか、確証が持てないことです。

民主党の永田氏の追及を受け、翌17日、本問題について、衆議院予算委員会で集中審議を行い、その模様はテレビで中継されました。

私は、野次馬根性も手伝ってその模様を見ましたが、期待外れに終わりました。

民主党側から二の矢、三の矢が射たれると思いきや、小泉純一郎首相(1942~)に軽くあしらわれ、挙句の果てに、追及者の永田氏が小泉首相にお知恵を請う体たらくぶりです。

しかし、現時点でそのメールを「偽メール」と決め付けるのも時期尚早というべきでしょう。野次馬の私には、そういい切れるだけの自信はありません。

ただ一点、18日の新聞に載ったメールのコピーを見て、個人的には奇妙に感じた部分がありました。それをここに記しておきたいます。

以下が、永田氏によって提供された問題のメールとされるものの本文部分です(黒塗り部分は新聞に掲載されたまま)。

■■へシークレット・至急扱いで処理して欲しいんだけど、遅くても31日できれば、29日朝までに■さん宛てに3000万円を振り込むよう手配してください(前回、振り込んだ口座と同じでOK)。
項目は、選挙コンサルティング費で処理してね。
■■■■■■■■■、宮内の指示を仰いで。■■には、こちらからも伝えておくので心配しないで。
@堀江

気になる箇所はいくつかあり、たとえば「宮内の指示を仰いで」の前の長い塗り潰し部分に何が書かれているのかもそのひとつです。民主党が入手したのと同じものを別ルートで入手した平沢勝栄議員(1945~)によれば、「問題があるようなら」というようなことが書かれているようです。

私が注目したのは次の部分です。

ください(前回、振り込んだ口座と同じでOK)。

これを初めて目にした時、「ホリエモンはヘンなところにキッチリしているんだな」と思いました。

注目して欲しいのは括弧の部分です。それを括弧で囲む必要があったのか、それとも別の新しい行にすべきではなかったのか、というのは別問題として、括弧を閉じたあとにしっかりと「句点」の「。」をつけているのが私には意外でした。

子の書き方が「正解」です。新聞や雑誌を読んでも、必ずこのように括弧を閉じた後に「。」をつけるように統一され、私もこうした句読点のつけかたには注意を払っています。

ただ、一般の人はそこまでこだわる人はそう多くないように思わないでもありません。それが、メールでここまでこだわるホリエモンに意外な面を見た気がしたのです。もしコレが携帯から発信されたものであるのなら、なおさらその神経の細かさには驚かざるを得ません。

それでは、一般的にはどんな書き方が多いのかを以下に示しておきたいと思います。

ください。(前回、振り込んだ口座と同じでOK)

このように、「ください」のすぐあとに「。」をつける人が多いと思います。

細かいことをいい出したら切りがないのですが、たとえば、会話部分などに用いる「かぎ括弧」でも、その中の最後の文章のあとには「。」をつけないのが正解です。例を挙げれば、以下のようになります。

「よろしくお願いします」

しかし、一般の人に多く見られるのは、

「よろしくお願いします。」

さらに、かぎ括弧で文章が終わる場合には、かぎ括弧を閉じたあとに「。」をつけます。

これまでの報道で見る限り、そのメールが発信されたとされる時間、堀江被告は、衆院選挙に立候補している広島の選挙区に行っていたことが客見的な事実として証明されています。

たすきをかけて選挙活動をする彼を追いかけて撮影したテレビ朝日のビデオ・テープには、堀江被告の映像の下に、メールが発信されたとされる時刻が、秒単位・フレーム単位で明確に記録されています。

もっとも、テレビ朝日の見解によると、その種のタイムの記録は時計ほど精度が高いものではなく(ビデオ・カメラ内の時計が多少進むなり遅れるなりすることがあり得るぐらいの意味)、また、肝心の時刻の前後に一旦撮影を止めたために数分の空白が生じ、その間に車の中に入って携帯などからメールを送信した可能性もないことはないという話です。

だからこそと私は思うのですが、その数分間を使ったメール本文の作成&送信作業の中で、「。」の扱いにも堀江容疑者が手を抜かったのだとしたら、その神経の細やかさには、余計に驚かざるを得ないのです。

本問題がこれからどのように動くのかと、騒動の発端となったメールの真相に、関心を持って見守りたいと思っているところです。

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