ドナルド・トランプ氏(1946~)が20日、米大統領に就任し、第二次トランプ政権がスタートしました。
トランプ氏は仕事が非常に速く、就任したその日に、気候変動対策の枠組みである「パリ協定(気候変動)」からの離脱を命じたことが伝えられました。
同協定を有り難がる人は、学習能力を致命的に欠き、またしても、トランプ大統領の判断を非難する構図が生まれています。トランプ氏が同協定から米国を離脱させることを実行したのは今回が初めてではありません。前回、大統領に就任した時も、すぐさま、離脱の判断を表明しています。
トランプ大統領は、思いつきや気まぐれで離脱の判断をしているわけではありません。
もちろん、トランプ氏もその方面の専門家ではありません。おそらくは、その方面に詳しい人から説明を受けたりしたことで、1988年に国連が始めた地球温暖化対策である脱炭素の「運動」に、直感的に強く疑うことができた結果でしょう。
私も、 CO2(二酸化炭素)を悪者にする「運動」には疑念を持ちます。私も専門的なことはわかりません。それでもそれに疑いを持てたのは、直感に頼るところが大きいです。
本日の朝日新聞と産経新聞にあった記事は、本問題について、対極的な立場を示しています。
例によって朝日は、「脱炭素 原発拡大に懸念」の見出しのもと、脱炭素の「活動」を絶対善視し、返す刀で、脱原発へと話を広げています。
一方、産経は、「正論」の枠で、東京大学名誉教授の渡辺正氏の「『脱炭素』という妄想世界の弊害」の見出しのもと、渡辺氏の本問題へのお考えが披露されています。
産経新聞も、社として見れば、朝日と同じで、脱炭素の運動は是とし、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を判断したことには批判的な立場にあるでしょう。
渡辺氏は、米海洋大気局(NOAA)が毎月5日にネットで更新版を公開する図を基に、渡辺氏のお考えを述べています。
NOAAが、1958年1月から大気中の CO2濃度の観測を始めたのはハワイ島マウナ・ロア山腹だそうです。
以来、毎月5日に1カ月間の結果を更新し、今年で67年となりました。

この長い期間の観測結果からわかることを、渡辺氏は次のように書いています。
季節変動をならした曲線を見比べると、CO2濃度の数値そのものに差はほとんどない。だから(中略)地球上の人里離れた場所ならどこでも同じCO2濃度だと考えてよい。
加えて、67年間の観測結果から、次のような結果がいえると書かれています。
- 大気のCO2濃度は、67年間ずっと勢いよく増え続けた
- (温暖化騒動が始まった1988年の7年後にあたる)1995年(COP1開催年)からの30年間は直線に近い形で増え、増加率は2割に近い
- 直近の10年は直線から情報に外れ、増加傾向を強めている
要するに、温暖化に悪影響を与えるとされたCO2を排出する先進国が、この30年、対策をしてきたにも拘わらず、効果がなかったばかりか、逆に、CO2を増加させる可能性もあるというのです。
それを理解してもらった上で、渡辺氏は次のように疑問を投げかけています。
気候変動について研究者・為政者やメディア人が吐く言葉は通常、国連見解つまり「CO2だけが昇温に効く」を前提にしている。本当にそれでいいのか?
信用度の高いアラバマ大学と米国航空宇宙局(NASA)の大気低層気温の衛星観測データは、1979年から46年にわたる計測結果を持ちます。
それを見ると、昇温傾向にはあるものの、上下動は激しく、単調に増加するCO2濃度だけでは説明がつかないとしています。
地球の歴史を長いスパンで見ると、日本の縄文期以降7千年間、CO2濃度は単調に増えたものの、気温は上下動しつつ、「じわじわと下がって現在に至る」と書かれています。
そして、地球の気温の変動の主因が自然変動なのであれば、人類がそれをどうこうできるものではないといい加減悟るべきだとしています。
結果的に何の効果もなかったことに、地球温暖化対策のためだという名目で、日本政府はこれまで、国民一人あたり60万円超の血税を意味のない運動に投入してきました。
その金は、CO2排出を減らしたとか、こうして減らすなどと語る、渡辺氏にいわせれば「詐欺師」の大学人や企業人にわたっただけで、「巨費をドブに捨てたも同然」だということになります。
トランプ大統領がこの問題をどこまで見通しているかわかりませんが、怪しい運動であることを彼独特の勘でズバリと見抜き、パリ協定からの離脱には躊躇しませんでした。
そのトランプ大統領の判断を批判する人は、本騒動を利用して金儲けに励む「詐欺師」に連なる人か、あるいは、そのおこぼれにあずかろうとしている人だと見なさざるを得ません。