前回の本コーナーには、今月3日、AmazonのPrime Videoで『オッペンハイマー(2023)を見たことを書きました。
同じ日の夕方、Prime Videoをもう1本見ています。『シャーロックホームズ死の真珠』(1943)という古い作品です。
上映時間が1時間8分と短いことを知り、夕方の時間に見るのにちょうど良いと思って見ました。
私が初めてシャーロック・ホームズシリーズのテレビドラマを見たのは2023年2月です。それまでは、アーサー・コナン・ドイル(1859~1930)が書いたシャーロック・ホームズシリーズ(1887~1927)を一度も読んだことがなく、ドラマも見たことがありませんでした。
2年前のその時期、NHK BSでホームズシリーズの放送が始まりました。そこで、食わず嫌いだったシリーズドラマを見て、ホームズ物にハマりました。
NHK BSで放送されたドラマはすべて見ました。また、原作も多くを読んでいます。そのような体験を経たことで、ホームズのドラマの基となった原作のほとんどが短編であることも知りました。
こんなふうにして、ある程度はホームズ物を理解していると考えていましたが、Prime Videoにあった『シャーロックホームズ死の真珠』というのは見聞きした覚えがありません。そこで、早速見る気になりました。
本作が、ある短編作品を作り替えた作品であろうことに途中で気がつきました。
それに気がついたのは、殺害現場で陶器が滅茶苦茶に割られ、その破片から、ナポレオン(1769~1821)像が出てきたことです。
ホームズシリーズに『六つのナポレオン』(1904)という短編があります。石膏で作られたナポレオンの胸像が、ひとつまたひとつ、何者かによって破壊される珍事が起きるという話です。
私はそのドラマを見たあと、原作も読みました。
AmazonのPrime Videoは、出だしからしてまったく違います。客船の中から話が始まり、ある男が持っていた貴重な真珠が、ある女によって奪われる事件が起きます。
私は本作を見ながら、まだ接したことがなかったホームズシリーズの短編があるのかと思って見ていました。そして、上に書いているように、ナポレオン像の陶器が割られたことを知り、『六つのナポレオン』から改作した作品であろうことに気がついたというわけです。
ホームズとワトスンの関わり方は、ホームズ物にお決まりの描かれ方でした。
本作でおもしろいと思ったのは、真珠の咄嗟の隠し場所に、ワトスンの口の中が使われていることです。ワトスンが、極めて貴重な大きな真珠を、飴玉のように口の中に放り込みます。
誤って飲み込んでしまったら面倒なことになりますね。
ほかにも探せば、番外編のように描かれたホームズ物があるかもしれません。