新年になり、三が日が過ぎました。
関東南部の当地は、年末年始の冷え込みが緩んでいます。昨年末から三が日、そして今日と、日課にしている自転車での散歩を日の出と共にしていますが、寒く感じません。
今朝などは、家に戻ったら、ジャンパーの下の身体が汗ばむほどでした。朝の気温が緩む前は、手袋をした指先が寒さで痛いほどでしたが、ここ数日はそんなことがまるでありません。
この調子で行ってくれたら、今の手袋で何も不自由しません。
私は極めて少ない番組しかテレビで見ることはありません。子供の頃は年末年始のテレビ番組を楽しみにしたものですが、今は、その手の番組は見ようとはまったく考えません。
2日と3日は、ネットの動画共有サイトYouTubeにこれといった動画がなかったので、AmazonのPrime Videoで3本の映画を見ました。それを順に本コーナーで取り上げていきましょう。
2日に見たのは、アルフレッド・ヒッチコック監督(1899~1980)の『レベッカ』(1940)という古い作品です。ヒッチコックが英国から米国に渡って最初に撮った作品です。
本作は以前に見たことがあったので、見ているうちに、場面場面を思い出しました。
今から85年前の作品ですから、出ている俳優は知らない人ばかりです。
主演はジョーン・フォンテイン(1917~2013)とローレンス・オリヴィエ(1907~1989)です。見終わったあとに確認し、このふたりであることがわかりました。オリヴィエは名前は聞いたことがありますが、フォンテインのことはわかりません。
ネットの事典ウィキペディアによると、フォンテインは日本とは縁の深い人です。彼女が生まれたとき、英国人の両親は東京に住んでいたからです。
彼女は一度日本を離れたあと、16歳の時に、前妻と別れて日本人と再婚していた父のもとを訪れ、そこから日本にあるインターナショナル・スクールへ通い、卒業しています。
フォンテインが主役を演じるので、彼女がタイトルのレベッカという名の女性だと思われるかもしれません。しかし、本作にレベッカという女性は映像として一度も登場しません。
一年前にボートでひとり海へ漕ぎだし、そこで自殺したとされています。オリヴィエが演じる大富豪のマキシムがレベッカの夫です。
捜索の末、60数キロ離れた海岸に流れ着いたボートから遺体が発見され、マキシムがそれをレベッカだと認めたとされています。
そんな過去を持つマキシムとフォンテインが演じる若い娘が結婚をすることになります。
その娘に名前が付けられていれば、名前を書くだけで済むので助かるのですが、娘の名前が一度も呼ばれることがありません。マキシムが彼女に話しかける時も名前を呼びません。
本作はダフニ・デュ・モーリエ(1907~1989)の同名小説『レベッカ』を脚色した作品です。ヒッチコックの『鳥』(1963)も彼女の小説が原作です。
本作の原作は彼女の一人称で描かれ、彼女は「わたし」とだけ表されているようです。
彼女について書くたびに「フォンテインが演じる若い娘」と書くのは面倒なので、以後は彼女を「彼女」と書きます。
彼女は、モンテカルロを訪れていたマキシムと運命的な出会いをし、互いが一目ぼれし、出会ってすぐに結婚することになります。
もっとも、彼女としては、大富豪のマキシムとは住む世界が違い過ぎるため、自分の身分では結婚なんてとても無理と考えていました。マキシムが積極的であったため、そんな急展開になってしまったのです。
マキシムはマンダレーという「王国」のようなところに住んでいます。彼の家の領地は広大で、自然も豊かで、小路の先には海岸があり、そこから一年前、レベッカはひとりで海へボートを漕ぎだし、自殺したというのです。
マンダレーの広い屋敷には、レベッカを崇拝し、身の周りの世話をしたダンヴァースという女性使用人がいます。ダンヴァースは他人を寄せ付けない雰囲気を漂わせます。彼女には、レベッカ様とは比べ物にならない、と徹底的に見下した態度です。
そんな環境に突然置かれた彼女は、レベッカの「幻影」に押しつぶされそうになっていきます。
彼女が報われることがあるのかは、本作を最後までご覧になって確認してください。