2012/09/09 尖閣の島を所有し続けてきた栗原家の内情

今回も前回に引き続き、今もっとも注目を集めていると思われる尖閣諸島に関連した話です。

尖閣諸島の魚釣島北小島南小島の3島を現在所有しているのは、埼玉県に住む栗原國起(くりはら・くにおき)氏(70)です。また、在日米軍の射爆撃場に使われているという久場島は、國起氏の妹で、戸籍上は國起氏の養女になっている栗原和子氏が所有する形になっているといいます。

一時期、國起氏が「自分に何かあったら困る」ということで、北小島と南小島の2島は弟の弘行(栗原家の三男。次男は既に死亡)に所有権を移したそうです。しかし、2002年、国が島に賃借権を設定する際にひとつにまとめたため、それ以降、三男の弘行氏が所有権を持つ島はなく、国へ売却するにしても、彼は何も権利を持っていないそうです。

ですから、国への売却話が進む尖閣3島の地権者は長兄の國起氏で、三男の弘行氏は売却の契約云々に口を挟める立場ではありません。が、國起氏が表に出るのが好きでないようで、その代わりとして、三男の弘行氏がテレビやネットに引っ張り出されて、あるいは自分から乗り気になって出演し、話をされていることになるようです。

ただ、これまでも役所と様々な契約を取り交わすときは、弘行氏が窓口なってきたということですので、これまでの経緯を一番把握しているのが弘行氏、ということはいえなくもなさそうです。

他人を見てくれだけで判断することはよろしくありませんが、私個人の率直な感想を述べさせていただきますと、ネットにあった動画で弘行氏を初めて拝見したとき、何やら胡散臭いものを感じました。

弘行氏は「チャンネル桜」へも出演されています。その時の様子が動画になっていますが、弘行さんは前々から同局の水島聡社長のファンで、一度会って話をしたいと思っていたそうです。

番組では水島社長の隣りに弘行さんが座り、水島社長の質問に答える形で長時間話をされています。話はスムーズに進み、水島社長が、「栗原弘行さんがしっかりした考えをお持ちの方で安心しました」というような感想を述べていたように記憶しています。

それにしても、一般国民から寄付金を募ってまで交渉していた相手の代理人的な立場だった弘行さんを頭から信用していたことに対し、水島社長としても反省めいたことはないのかと思ってしまいます。同局の一連の番組を見て募金に応じた人もいるでしょうし。

それが、それまでと180度異なる方向へ事態が大きく動いたあとに収録された番組では、その交渉に当たっていた石原慎太郎都知事を真っ向から批判する態度を鮮明にしています。何しろ、つけられたタイトルに「石原都知事の親バカ」とありますから、内容には是非があるでしょうが、水島社長の本気度がわかります。

それはともかく、前回の更新分で、長兄の國起氏と妹の和子氏は、自宅にふたりで暮らしていると書きました。ということは、三男の弘行氏は別のところに暮らしていることになります。現在結婚されているのか、一緒に暮らしている人がいるのかなどはわかりません。

気になるのは、國起氏と弘行氏の関係です。

メディアに登場する機会が多い弘行氏は、國起氏との関係は良好といっているそうですが、栗原家と30年ぐらい家族ぐるみの付き合いをしているという人からは次のような異なる証言があります。

弘行さんは見たこともないし、話題に上ることもない。國起さんも距離を置いている印象を受けます。

30年も付き合いがあって、その間に一度も弘行氏を見たことがないとうのはにわかには信じがたいですが、ほとんど会ったことがないというのであれば嘘ではないかもしれないと思ったりもします。

栗原家でもうひとつ気になるのは、昨日分で書いた國起氏の「カネがない」という口癖です。

これまで、栗原家は資産家と信じられてきましたが、実際の経済状況は異なるのかもしれません。結婚式会場として使った菱屋会館も10年以上前にやめています。國起氏兄妹の父親は、1968年心筋梗塞で亡くなっています。享年は63歳ですから、早死にといえるでしょう。その日を境に國起氏が社長を継ぎ、母は会長となって貸しビル業を続けたことになります。

取材を続けるうちに、栗原家の経済状況に疑問を持って調べると、銀行から莫大なお金を借りていることがわかったといいます。

まず、三菱東京UFJ銀行から、一昨年の3月末に【24億5千万円】借りています。また、地元の埼玉懸信用金庫からも昨年9月29日に【15億円】借りたことが明らかになりました。合わせて約【40億円】です。これだけの借金をこの2年ほどでしていることになります。その間に、栗原家に何が起こったのでしょうか。

調査によって借金をしていることはわかっても、借金の理由まではわかりません。東京都の幹部の話によれば、三男の弘行氏がいろいろな事業に手を出したものの、うまく行かず、それを埋め合わせるために長兄の國起氏がお金を工面している、といった話もあるようです。ただ、それが借金のすべての理由かどうかまではわかりません。

それにしても、40億円というのは、個人で負う借金としては莫大過ぎるでしょう。不思議なのは、それほどの大金を銀行が貸し付けたことです。

私はお金が絡んだこういう契約のことは何もわかりませんが、借り主の財産を担保にして銀行が貸し付けたのでしょうが、たとえば埼玉信金の場合、3億円にも満たない物件を担保にし、約5倍の15億円を融資しています。通常は、担保評価の110%といいますから、3億円の担保であれば、3億3千万円が限度になるのでしょう。

それにしても2つの銀行が栗原家に融資したお金が40億円。これを本当に回収できるのでしょうか。そしてもし、栗原家が返済できなかった場合、どんな罪に問われるのでしょうか。また、貸し手の側も罪になるのでしょうか。

詳しいことはわかりませんが、尖閣の問題とは別に、栗原家の借金返済不能問題がニュースの時間を賑わせるような事態に発展する可能性がないこともないように思う今日この頃であります。

兄・國起氏の莫大な借金について訊かれたスポークスマン的な三男の弘行氏は、次のように答えたそうです。

地主は相続税対策として、ある程度の負債を抱えておくのが常識ですから。

途中でも書きましたように、その負債の原因を作ったのが弘行氏という話もあり、そのために兄の國起氏が「カネがない」が口癖になるほど心労を重ねているのであれば、國起氏と弘行氏との心の行き違いは小さくはないのかな、と赤の他人のσ(^_^) 私は想像してみたりします。

まあ、こればかりは、ご本人の口から直接伺うよりほかにたしかなことを知る手立てはありません。ただ、國起氏は人付き合いがあまり上手ではなく、「何を聞いてもわかるような説明をしてくれない」といった声もあり、記者会見のようなものを開いても、どこまで本心を打ち明けてくれるかわかりませんが。

しかし、報道されている通りであれば、週明けには国との交渉もまとまるわけで、「口下手だから」と会見を逃れてばかりもいられないでしょう。何しろ、国の金、つまり国民の税金で3島を購入することになるわけで、マスメディアに姿をさらし、事の始終やいきさつを直接説明しないことには国民は納得しないと思います。

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