2012/09/05 尖閣3島を国が購入報道の反応

少し前のニュースになりますが、福島第一原子力発電所事故により、長期間自宅に戻れそうにない地域の土地を個人が転売することを国が制限する旨の報道がありました。私有地であれば、自分の財産ですので、転売は個人の自由のはずです。が、この制限の裏には暴力団の動きがあるらしいことがわかり、納得しました。

暴力団は、少しでもカネになりそうな獲物を見つけると、ハイエナのように集まる習性を持ちます。そうして、ひとしきり獲物を漁り、それを平らげると別の獲物探しを始めます。

そんなハイエナ暴力団が今目をつけているのが、原発事故で国に買い上げられるかもしれない福島の私有地です。それらの土地の権利をあらかじめ手に入れておくことで、あとで国が買い上げるときに高くつり上げて利益を得ようという魂胆があるのでしょう。それを察知した国が先回りし、私有地の転売を防ごうということらしいです。

国が買い入れる私有地として今注目されているのは尖閣諸島の小島です。この島につきましては、本コーナーでも取り上げています。

私は不勉強なもので、前回この島について書くときに調べ、その時になって少し事情を知りましたが、この諸島に含まれる魚釣島と北小島、南小島の3島は、島とは縁もゆかりもなさそうな埼玉県さいたま市に暮らす栗原國起（くりはら・くにおき）氏（70）の私有地だそうです。この諸島には他に小島がいくつあり、その所有権がどうなっているのか私は知りません。

また、これは前回この諸島の島について取り上げたときに書きましたが、はじめに手に入れたのは九州から単身沖縄に渡って島の開拓をした古賀辰四郎で、彼が亡くなったあとは辰四郎の息子夫婦が預かっていました。それが、昭和50年頃、付き合いがあったという栗原國起氏の父親に、当時の貨幣価値の数千万円で権利を譲っています。

これらの島を、石原慎太郎知事が東京都で買い取るといい出したことで、俄然注目を集める展開となりました。

東京都が島を購入するとなれば、当然資金が必要となります。石原都知事は細かいことにはあまり囚われないたちのようで、何の前準備もせず、訪米中に「東京都が尖閣諸島を購入する」と発表してしまいます。

この発表に慌てたのが他ならぬ東京都の職員という話があります。なぜなら、都のお金で島を購入するにしても、そのためには都議会の議決が必要だからです。都知事が発表をする前に、都議会の議決はありません。そもそも、そんな決まりがあることを石原都知事は知らなかったようです(´・ω・｀)

しかし、都職員が困惑している間にも石原発言はあらゆるメディアで大きく報じられ、気がつけば、「東京都が尖閣諸島を購入するそうだ」という既成事実だけができあがってしまいました。そしてもし、購入断念となれば、石原都知事がホラを吹いたことになってしまいます。そこで都幹部は石原知事の意向を実現するため、智恵を搾ります。窮余の策として浮上したのが猪瀬直樹副知事が発案した、「募金を募って購入資金にあてよう」だったのでした。

そんな裏事情も知らず、単なる善意、ばかりからでもない寄付金が約10万人から14億6千万円も集まっています。これを全額、尖閣3島の購入資金に充てるとすれば、3島の価値が【14億6千万円】になってしまいます。

が、沖縄県石垣市が発行している固定資産評価証明書によりますと、昨年1月現在で3島を合わせた評価額は【6018万3525円】だそうです。とすれば、結果的には都が募金を募ったことによって決まってしまった感の強い購入価格と実勢価格との間には【20倍】ほどの開きがあることになります。

ですから、国が購入することになったとしても、評価額に近い価格で購入話がまとまることを個人的には願っています。国民から集めた税金が購入資金に充てられるのでしょうか。

現在、尖閣3島を所有する栗原家の内情や、栗原家と石原都知事のつながりなどにつきましても書いておきたいところですが、一遍に取り上げようとしますと長くなってしまいますので、それらの話は明日以降の本コーナーで取り上げることにします。

尖閣3島の買い上げについて、新たな動きがありました。石原都知事は、どんな思惑があってか、ここに来て、選挙が近いと考えてか、様々な動きを見せていますが、それとは別に国が動き、尖閣3島を国が直接購入する考えがあり、地権者である栗原國起氏がそれに同意したとの報道がありました。

それを最初に報じたのがNHKであったのかどうか私は知りませんが、ネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」に早速スレッドができ、書き込みが盛んに行われています。

私もそのスレッドに昨日目を通しましたが、「2ちゃんねる」は右寄りの考えの人が多く、また、石原都知事を支持する人も多いといわれていますが、それを証明するように、NHKの報道を頭から疑ったり、不快感を示す書き込みが大多数を占めていた印象です（→ 2ちゃんねる：【マスコミ】 NHK「20億5000万円で大筋合意」報道は正しいのか？　尖閣地権者側は「東京都に売却」変えず★3）。

中には、書き込みをした人の願望なのか、NHKの報道を誤報や飛ばし記事と決めつけ、NHKを国賊扱いするものもあります。

しかし、彼らの願望とは裏腹に、今日の朝日新聞の1面のトップ記事が「尖閣、国購入で合意」です。彼らの多くは、朝日の記事も飛ばしや誤報と決めつけるのでしょうか。

NHKと朝日が同じように報じたということから、まったくの飛ばし記事や誤報とは思えません。おそらくは報じられたようなことが現実に動いているのでしょう。朝日の記事によれば、昨日、政府の高官が石原都知事に会い、地権者側と合意したことを伝えたそうです。

石原知事寄りの人が頼りにしているのが、栗原弘行氏であろうと思います。この方は、國起さんの弟にあたる方です。國起氏が表舞台に出ることはなく、代わりに弘行氏が登場し、いろいろとお話しされています。

昨日、私は「2ちゃんねる」のスレッドを確認したあと、「2ちゃんねる」に通じるユーザーを持つ「ニコニコ動画」へ行き、栗原弘行さんが「チャンネル桜」に出演して話される動画を見ました。

そもそも、栗原弘行氏がなぜ「チャンネル桜」に出演されているのかですが、このネット放送局は、つい数日前に創始者が亡くなったと報じられた韓国のカルト教団「統一教会」と関係が深いとされています。

「ニコニコ動画」といいますと、「2ちゃんねる」の動画版といった感じで、動画を見ながらユーザーが書き込んだ書き込みが動画の画面に現れます。ときには、画面を埋め尽くすように書き込みの文字が溢れますが、栗原さんの動画を見ていて印象的だったのは、長く続いた自民党政権時は尖閣諸島を国有化の動きがほとんどなかった、といった話に及んだとき、書き込みがパタッとなくなってしまったことです。こうしたことから、どんな政治信条を持つ者が「ニコニコ動画」のユーザーに多くいるのかが自ずとわかる気がします。同じことが「2ちゃんねる」にも当てはまります。

それはともかく、栗原家が所有してきた尖閣3島を国が購入することになったというNHKや朝日などの報道が事実通りであることが確定した場合、「2ちゃんねる」で頭から否定するような書き込みをしていた人たちがどんな反応をするのか、私は興味深く観察することにします。

途中でも書きましたように、栗原家の内情や、どうして石原都知事が尖閣諸島に執拗に関わろうとしているのかなどについての私なりの推測などは、明日以降の本コーナーで取り上げられればと考えています。

なお、石原都知事が栗原家と30年ほどの付き合いがあるかのように考えている人もいるようですが、これはどうやら事実とは違うようです。