ネットの動画共有サイトYouTubeで、お勧めとして表示される動画のサムネールを見ていて気がついたことがあります。
それがいつからかわからないのですが、お勧めとして表示される動画に「4K」とついたものがひとつもないことです。それがどれぐらい前かわかりませんが、4K動画の場合はタイトルの前に「4K」とついていました。
ということは、また、「4K」とつくようになったのでしょうか? それとも、私が見たのはたまたまでしょうか。今のところは、どちらともいえません。
それがつかなくなった理由は、単に、4K動画を上げる人がいなくなったということでしょうか。それとも、4K動画であっても、「4K」の表示を省略するようになったということでしょうか。どちらなのか、私にはわかりません。
私はテレビ受像機やPCのモニタ、タブレットPCでYouTube動画を見ます。YouTube利用者の多くは、スマートフォンやタブレットPCでYouTubeを見ているのかもしれません。
スマホやタブレットPCで見る人のことを考えれば、ファイルサイズが大きくなる4K動画にする意味は薄れるように思います。ということで、かつて4K動画にしていた人も、実用性を考え、4K動画を作らなくなったのかもしれません。
動画には音は欠かせません。中には無音の動画もあるのかもしれませんが、それは例外的で、無音の動画はごくごく一部に限られましょう。
動画に必要な音ですが、それをステレオにする人の割合はどのくらいでしょう。こんなことを考えたのは、昨日の本コーナーで書いたように、ZOOMのハンディレコーダーのH1 XLRを使い始めたばかりだからです。
私がH1 XLRに興味を持ち、実際に使い始めたのは、XLR端子を持つコンデンサーマイクを使いたかったからです。そのマイクを早速使い、良い音で録れることは確認できました。
そこで、H1 XLRをほかにどんなことで使えるか考えています。
私が使うコンデンサーマイクのV67にしても、当然のことながら、一本のマイクでステレオの録音をすることはできません。同じマイクを二本持っていたらH1 XLRのインプットの1と2にそれぞれ接続し、ステレオの録音はできます。しかし、私はそれをするつもりはありません。
私はZOOMのマイクトラックレコーダーのM3 MicTrakを持っています。これは、マイクのついたレコーダーです。私はこれをフィールドレコーダーとして使っています。
このM3 MicTrakについているマイクはM/S方式のマイクで、一本でステレオの録音ができます。しかも、MS RAWファイルでも記録されるため、録音後に、モノラルから最大150度までステレオ幅を自由に変更できます。
こういうことを考えると、H1 XLR用に新たにステレオ録音用としてマイクを二本手に入れ、それをH1 XLRに接続してステレオの録音をするまでもないと考えています。
もちろん、そのようにしてH1 XLRでステレオ録音したら、M3 MicTrakで録ったステレオ音よりも良い音質で録れそうなことはわかります。ただ、私は元々、音質へのこだわりは強くないため、それをする意欲がわきません。
そんなことを頭の片隅に置き、昨日、録画してあった映画『パットン大戦車軍団』(1970)を見ました。本作は制作費を掛け、豪華に作られています。当然、音声もステレオのはずです。
ただ、テレビ受像機で見ていると、ステレオの効果はさほど感じません。戦車や戦闘機が左から右、右から左、手前から奥、奥から手前へ移動するシーンが多く、その映像につけられた音は、立体的になっているでしょう。
戦闘シーンでは、爆弾がいたるところで爆発します。
一度見終わったあと、確認するため、ラスト近くの場面を再生し、今度は、ヘッドフォンをつけて音の確認をしました。
すると、テレビ受像機のスピーカーで聴いていたのとは違い、音声にきちんとステレオ感を持たせていたことが確認できました。
戦車が画面の右から左へ移動すれば、戦車から発せられる駆動音が右から左へ移動していきます。また、手前から奥へ遠ざかれば、音も遠ざかっていきます。
だからといって、それらの音が、撮影現場でステレオで録音されたとは限りません。もちろん、現場でステレオ録音してもいいですが、あとで音をつけることも少なくないでしょう。
むしろ、現場で録った音よりも、あとでつけた音の方が、よりリアルに感じられることが多いのではないでしょうか。
映画であれば、映像と同様に音にも統一感が持たれなければなりません。現場で録ったバラバラの音よりも、あとでつけた音の方が、統一感を持たせることが容易くなります。
映画やドラマの撮影風景を見ると、音声の係が、ショットガンマイクを長いブームの先につけて、カメラに写らないよう注意しながら、演技をする出演者に近づけているシーンをよく見かけます。
その際、ショットガンマイクを二本つけているのは見たことがありません。ということで、台詞を録音するときは、ステレオの作品であっても、モノラルということです。
モノラルで録った音声が、画面のどの位置から聴こえてくるようにするかは、音の編集段階での仕事になるでしょう。
人物がふたり、離れたところに立ち、相手と会話をするシーンがあったとします。ふたりの台詞は、別々のモノラルマイクで収録します。
あとは、音の編集段階で、それぞれの人物が画面にどの大きさで映るかで、音の位置は決められていきます。ひとりが画面に大きく映っていれば、その人の声は真ん中から聴こえてこなくては不自然です。
カメラが離れた位置からふたりをひとつの画面に収め、左の人が話すときは、その人の音声は画面の左寄りから聴こえた方が自然に聴こえます。右の人は右から聴こえるようにします。
これらの音声は、ステレオマイクで録るのではなく、それぞれの人の声を別々のモノラルマイクで録り、音の編集段階で立体感を表現するということです。
昨日見た『パットン戦車軍団』で聴こえる戦車やジープ、戦闘機、爆弾の破裂音も、現場でステレオマイクで録った音ではなく、モノラルマイクを使って撮影現場で録った音や、あとで作った音を使い、ステレオに聴こえるようにしているように考えます。
個人が趣味で音を収録するのであれば、ここまで難しく考える必要はありません。
私の場合でいえば、気軽に立体的な音を屋外で録りたかったら、M3 MicTrakを使って録れば、それで事足ります。
新しく手に入れたH1 XLRを屋外で使うことは今のところ考えていません。もし使うのであれば、M3 MicTrakをステレオマイクとして使い、H1 XLRでステレオ録音ができそうです。
もっとも、そんな使い方をするのなら、わざわざH1 XLRを使わなくても、M3 MicTrak単体でステレオ録音ができてしまいます。
H1 XLRはマイクの他にライン入力にも対応しているので、それを使った使い方もできそうです。しかし、今のところ、私にはそれを使わなくてはならないことが思いつきません。
YouTubeに動画を頻繁にアップロードするYouTuberにしても、自撮り動画を作る人は、音声はほとんどがモノラルでしょう。カメラやカメラの近くにセットしたショットガンマイクなどに向かってしゃべるだけなので、その音声はモノラルのほうが聴きやすく、ステレオにする意味が薄いこともありそうです。
私が最近見たYouTuberのステレオ音声は、音の専門家の桜風涼氏の動画です。
桜風氏は実験精神が旺盛で、音声収録についても、いろいろな実験結果を見せてくれます。本動画では、イヤホン型のバイノーラルマイクをH1 XLRにつけ、ステレオの録れ具合を検証されています。
ただ、桜風氏が話す声は真ん中から聴こえ、周りの音がステレオで聴こえるといった形です。ともあれ、バイノーラルマイクというものがあるのに気づかせてくれました。
本格的にステレオ録音しているのは、omokage氏のこちらの動画になりましょう。
ただ、H2 XLRで本格的なステレオ録音をしようとすると、マイクを二本使い、どうしても「大がかり」になってしまいます。それらを外に持ち出して収録するのは、目立つこともあり、気が引けそうな気がしないでもありません。
そこまでしても、ステレオで録りたい音源があればそうするかもしれませんが、今のところ、私にはそこまでして録りたい音源が思いつきません。
というわけで、何か思いつくまでは、H1 XLRは室内で、XLR端子のコンデンサーマイクを接続し、自分の声を収録するのに使うことが主となりそうです。