前回の本コーナーは、夏の高校野球地方大会で起きたあるプレーについて書きました。
それとは別に、夏の大会で起きることへの対応について、私が感じることを書きます。
気温が高い中でプレーすることで、試合中に脚をつるなどして、試合が中断することが起きます。昨今はその頻度が高くなっていると感じます。
脚をつったり、ふくらはぎに違和感を感じると、審判が一旦ゲームを止め、故障した選手に、ふくらはぎを伸ばすような運動をさせたりします。また、ベンチにいる選手が、スポーツドリンクなどを持って選手に駆け寄り、当の選手がそれで水分補給したりします。
それでも違和感が残る場合は、ベンチに引き上げ、治療にあたったり、回復する時間を持ちます。
どうしても元に戻らない場合は、他の選手に交代するしかありません。しかし、故障した選手が投手であったり、チームの主力選手であったりする場合は、監督としても、別の選手に交代することを極力避けたい気持ちは理解します。
そうであっても、回復を待つための時間が必要以上に長い場合は、何らかの別の対応が必要であるように私はテレビの中継を見て感じました。
私が見た中継で解説した人の話によると、社会人野球の試合で同様のことが起きた場合は、5分程度様子を見て回復しない場合は、別の選手に交代するルールになっているというような話でした。
細かい時間は違っているかもしれませんが、だいたい、そのような説明でした。
同じような対応が、高校野球の試合でも取り入れられると良いように感じました。
暑さが原因でそのような故障が起きるということは、他の選手に起きる可能性も高いということです。
たとえば、攻撃する側でそのような故障を起こす選手が出た場合、治療のためにその選手がベンチに戻ったあと、守備についた選手は、暑いグラウンドで待たされることになります。
そのときは異常がなくても、暑い炎天下で待たされることで、守備についている選手にも異常が起きないとも限りません。
治療が長引くと見れば、守備についている選手を一度ベンチに引き下がらせることもします。
攻撃と守備にはリズムのようなものがあります。それが、治療で中断することで、狂いを生じることもあるでしょう。
昨今の暑さに対応し、今は、5回が終わったあとのグラウンド整備のほかに、3回が終わったあとと7回が終わったあとに、両チームの選手がベンチに戻り、5分程度休憩する、給水タイムを設ける大会があります。
それぞれの休憩時間のあと、試合が動くことがよく起こります。それまであった試合の流れが休憩で一旦断たれ、新たな動きが起きるといったような具合です。
同様のことが、治療が終わったあとに起こることも十分にあり得ます。
穿った見方をすれば、本当に故障した選手であっても、一旦ベンチに戻ることで、治療のほかに、休憩し、精気を取り戻すこともあるでしょう。
そのことで、試合の流れが変わり、故障者を出した側に良い流れが生まれることも考えられなくはありません。
それを故意に利用するチームがあるとは思えませんが、その手が使えることがわかった選手が、少しの違和感を少々オーバーに申告し、ベンチに一旦戻るといったことが起きないとも限りません。
そんなもろもろのことを考えると、高校野球にも社会人野球のような対応を取り入れ、5分程度様子を見て、それでも回復しない場合は、別の選手に交代することを選ばせるようなルールが必要ではないかと私は考えます。
来月に始まる甲子園の大会でも、脚の故障を訴える選手がきっと出るでしょう。そのとき、どのような対応をするかも、注目して見ることにします。