キヤノンのミラーレス一眼カメラ、EOS RPを使い始めて十日です。
もしも未だに、RFマウントのレンズではなく、マウントアダプタを介して、昔にフィルムの一眼レフカメラで使ったレンズをRPにつけて使っていたら、使いにくさから、RPに嫌気が射していたかもしれません。
その嫌な流れ(?)を一気に変えたのは、今週になって使い始めたRFマウント用レンズのRF28mm F2.8 STMです。

ただ、本レンズを使っても、ある設定をしなかったら、今もその真価に気がつかずにいたでしょう。
真価に結び付くのは、RFレンズに標準装備されている「コントロールリング」です。私が使うRF28mmの場合は、レンズの先端部にそのリングがついています。
このコントロールリングには、さまざまな機能を任意に割り当てることができます。
カメラで写真を撮る醍醐味は、自分で露出をコントロールすることです。露出モードには、ほぼオートのプログラム(P)モードをはじめ、絞り優先AEやシャッター速度優先AEがあります。
私は、ISO感度とF値、シャッター速度を自分で設定するマニュアル(M)モードが好きです。これをRPとそれにつけたRF28mmで試しました。

はじめは、RFレンズの最大の特徴であるコントロールリングが私の意識にまったくなかったため、ISO感度の設定が面倒に感じました。
しばらく悩んだあと、RFレンズのコントロールリングにISO感度を変更する機能を割り当てればいいことに気がつきました。
この方法で露出をコントロールすると、非常に使いやすいです。希望のF値とシャッター速度を選び、あとは、電子ビューファインダー(EVF)を見ながら、自分が望む明度になるよう、レンズ先端のコントロールリングでISO感度を調節すればいいだけだからです。
可変NDフィルターで露出を調節しているような感覚です。
私はすべての画像をRAW画像で撮影します。私はRAW画像で撮影しても、「現像」段階では、明度を最小限調節するだけです。
コントロールリングを使ってMモードで撮影すると、「現像」段階で明度を微調整する必要がないことがほとんどです。それでも、「保険」をかけて、RAW画像で撮影しています。
今回手に入れたRF28mmは広角レンズです。私はこれまで、50ミリの焦点距離が好きでした。それが、広角の単焦点レンズを使ってみて、その可能性と、広角レンズを使った撮影の面白さに気がつかされました。
当たり前のように、28ミリのレンズは、同じ位置から撮影しても、50ミリよりも広い範囲が写ります。そして、もっと大きく撮りたいもので、近づけることができれば、近づいて撮るだけで大きく写せます。
このような使い方をすると、一本のレンズで、50ミリのレンズ以上に表現の幅が広がるように感じます。
高性能なコンパクトデジタルカメラとして人気のカメラにリコーのGR IIIがあります。このカメラに搭載されているレンズは単焦点レンズで、その焦点距離は、35ミリフルサイズに換算すると28ミリです。
私が今回便利に感じたRF28mmと同じ焦点距離です。
私はこれまで、その焦点距離のレンズでは、広い範囲は写せても、私が使うには不便のように考えていました。しかし今、考え方が変わり、GR IIIにその焦点距離のレンズが搭載されている意味を初めて理解できた気分です。
RPとRF28mmの組み合わせの良さは、EVFがあることです。私はボディ背面の液晶モニタは使いません。使わないよう、モニタ部分を裏返しにして、モニタが表示されないようにしています。
EVFで確認しながらでなければ、Mモードで撮影できません。そのためのコントロールリングも活かせません。
どんなに高性能なレンズが搭載されていても、晴れた日中に、液晶モニタを頼りにして、正確なMモード撮影は無理です。陽の光がモニタに反射し、構図さえ満足に決められないからです。
スマートフォンからカメラに移行してきた人は、モニタを見ながら写真を撮ることに慣れているでしょう。しかし、きちんと写真を撮ろうとすると、どうしてもEVFがなければならないことに、あるいは、そのうちに気がつくことになるかもしれません。
ともあれ、RPとRF28mmで、EVFを見ながらコントロールリングでISO感度を変更して写真を撮るのは非常に楽しいです。これまで写真を趣味にしてきて、これほど便利なカメラとレンズを手にしたのは初めてのような気がするほどです。
このセットで写真を撮る楽しさを味わうことにします。