本コーナーで数日前、カメラの広角レンズに小さいF値は必要なのかと書きました。これについては、自分の考えが違っていたことに気がついたので、訂正を含めた更新をします。
私はフィルムの一眼レフカメラの時代から写真を趣味としています。その時代は今のようにズームレンズは一般的ではなく、焦点距離が定まった単焦点レンズで写真を撮りました。
中でも私が好きだったのは50ミリのレンズです。このレンズは標準レンズといわれます。ファインダーに結ばれる画像は、肉眼で見るのとほぼ同じです。被写体との距離感が肉眼に極めて近いということです。
そんなこともあり、私はもっぱら50ミリのレンズで撮影を楽しみ、このレンズさえあれば、たいていのものは撮影できると考え、実際、50ミリのレンズ一本でほとんどの被写体を撮影しました。
当時、私は50ミリの他に、焦点距離が35ミリ、85ミリ、200ミリのレンズを持っていました。
この中の35ミリは50ミリに比べると広角で、人間の視野に近い見え方、写り方をするとされています。しかし、私は35ミリを使った撮影を難しく感じました。
こんなわけですから、35ミリよりも広角のレンズは自分にはうまく扱えないように感じていました。
そのような広角レンズを、今は、多くのメーカーがラインナップに揃えています。しかも、F値をより小さくする傾向です。そうなっている理由のひとつに、私は動画ユーザーがあるのでは、と前回レンズを取り上げた更新で書きました。
ネットの動画共有サイトYouTubeでは、Vloggerと呼ばれるようなYouTuberが、自撮りの動画を上げています。
そんなVloggerが、移動しながら自分で自分の姿を自分で動画に撮ろうと思えば、どうしても広角レンズが必要です。しかも、できれば自分以外の背景はボケて欲しいという希望を持ち、それに応えるようにして、各メーカーがF値の小さい広角レンズを開発・販売する側面があります。
私は自撮り動画を撮ることもなく、既に書いたように、昔から広角レンズはあまり得意としないため、ズームレンズの広角域を使うことは合っても、広角の単焦点レンズを自分で買おうと思ったことはこれまでありませんでした。
そんな私が、広角の単焦点レンズを購入しました。
購入したのは、使い始めて一週間ほどになるキヤノンのミラーレス一眼カメラ、EOS RPで使うためのRF28mm F2.8 STMです。

レンズの価格帯は、ピンからキリまで幅があります。価格が高いほど性能が高く、それだけ良い描写をします。しかし、その分、大きく、重くなります。
私は、35ミリフルサイズの撮像素子を搭載しつつ小型で軽量に設計されたRPの利点を生かすため、できるだけ小さく、軽いレンズの導入を考え、とりあえずといった感じで、本レンズを求めました。
本レンズの重量は120gです。私がはじめ購入を考えたのは、使い慣れた焦点距離の50ミリで、小さく作られたRF50mm F1.8 STMの重量は160gです。
それよりも小型で、重量も軽いということで、本レンズを選びました。選んだ理由はもうひとつあります。それは、キヤノンが夏のキャッシュバックキャンペーンをしていることです。
本レンズもその対象商品に入っています。10月7日までに購入し、10月28日までに必要書類を郵送すれば、本レンズの場合は5000円のキャッシュバックが得られます。
レンズが届いたので、早速RPに装着しました。

いかがですか? かなりコンパクトに見えるでしょう。高級なコンパクトデジタルカメラといっても通用しそうです。
真上から見ると↓こんな感じ

真横からだと↓こんな感じです。

RPは、バッテリーとメモリーカードを含めて485gです。これにRF28mmの120gをプラスしても605gです。これであれば、気軽に外へ持ち出せます。
カメラボディもレンズも存在感を主張しないため、たとえば人物を撮ろうとしたときも、撮られる人に必要以上の圧迫感を与えずに済みそうです。
早速使ってみて、私は広角レンズの可能性がすぐに理解できました。

購入前は、フルサイズで28ミリの焦点距離を使いつつ、その一方で、APS-Cにして、50ミリ相当のレンズとして使うことも考えました。
キヤノンのAPS-Cサイズは、フルサイズの1/1.6です。ちなみに、ニコンなどは1/1.5です。28ミリに1.6をかけると44.8ミリになり、50ミリの焦点距離に近い画角になります。
そんな風に考えていましたが、実際に使ってみて、考え方が変わりました。本レンズは使っていてとても楽しいです。28ミリですから、そのままで、広い範囲を撮影できます。
そして、近づいて撮影することで、50ミリレンズに近い表現ができそうなこともわかりました。私は昔から家で飼っている猫たちが私の被写体になってくれます。
本レンズはわりと近寄って撮影できるため、APS-Cにしなくても、近づくだけで猫を大きく撮影することができます。
これであれば、APS-Cを使わず、常にフルサイズの28ミリレンズとして、広くも、近寄って大きくも撮れそうなことがわかりました。かなり万能に使えそうなレンズです。
もちろん、オートフォーカスですから、フォーカスに神経を使うこともありません。
やっぱりレンズ交換式カメラは、純正のレンズを使って初めて、そのカメラが持つ性能を正しく理解できます。