それぞれの人にそれぞれのピアノ

テレビ離れがいわれ、私もテレビ番組を見る時間は限られます。それでも、新聞のテレビ欄を見ると、それまで知らなかった番組を知ることがあります。

今週水曜日(26日)、朝日新聞のテレビ欄で「街角ピアノ 25min.」という番組が「試写室」という、毎日ひとつの番組を紹介するコーナーで紹介していました。

日本国内のさまざまな場所にストリートピアノが置かれています。ピアノが弾ける人であれば、誰でもそのピアノで自由に弾けます。

それらのストリートピアノに定点カメラを設置し、そこを訪れてピアノを弾く人を紹介する番組で、人気シリーズだそうです。私はこれまで、この番組を知りませんでした

今回は、福岡の博多港にある複合商業施設内のストリートピアノが舞台です。

「試写室」でこの番組が紹介され、それを読んだとしても、次の一文がなければ、録画して見ることはなかったかもしれません。そこには次のように書かれていました。

ママ友2人はフォーレの「子守歌」をゆったりと、肩の力を抜いて奏でる。それを訊いていたあるミュージシャンはピアソラの「リベルタンゴ」を独創的に演奏。八代亜紀の専属ピアニストだったというから驚く。

本コーナーでアストラ・ピアソラ19211992)の音楽について書いたことがあります。ピアソラの音楽は独特で、聴くたびに聴き惚れてしまします。

Astor Piazzolla – Rough Dancer And The Cyclical Night – [ 02 ] Milonga for Three

どんな人がピアソラの曲を弾くのか気になり、録画して見ました。

「試写室」で書かれていたのと少し違いました。

ママ友がふたりで連弾したのを、聴いていた男性が拍手し、それに続けて、連弾用に相応しい曲として、その男性がピアノを披露しています。

その人は福岡に住むミュージシャンで、5歳からピアノを習い、大学のピアノ科を出たものの、譜面通りに弾くよりも自由に弾くのが楽しいとして、今はポップスからシャンソンまで弾いているということです。

新聞の紹介にあったように、その人がピアソラの曲を弾いたわけではなかったのでした。

ピアソラを引いた人はその次に登場しました。

その人は丸刈りで、レーシングスーツを着て、抜いだヘルメットをピアノの脇に置いてピアノを弾き始めました。

その人は49歳で、千葉からオートバイで来たそうです。各地でピアノのライブ演奏をしているとのことです。彼も小学校5年からピアノを猛練習して大学のピアノ科で真似んだものの、クラシックに向いていないといわれたとかで、今はタンゴやジャズ、演歌まで幅広く弾くようです。

NHKの番組に「ドキュメント72時間」があります。本番組はそのピアノ版といった感じです。ストリートピアノを演奏するためにやって来る人を通し、さまざまな人がいることを伝えています。

私の印象に残ったのは一番はじめと最後に登場したふたりの男性です。

はじめの人は、ビル管理会社で働く49歳の男性でした。彼も子供の頃からピアノを弾き、さみしさを紛らわせてきたそうです。

15年前に離婚したとかで、2年前に転勤で神戸から福岡に来たそうです。外回りの仕事の合間の休憩時間を利用してピアノを弾き、内面を充実させていたのでしょう。

最後に登場した男性は35歳で、病院へ行く前に母とその場所に立ち寄ったそうです。

彼は、中島みゆき1952~)の「糸」をピアノで弾き、歌詞を熱唱していました。

『糸』ダイジェスト動画 / 中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」初回盤特典(BD・DVD)より

その男性は、子供時代にピアノと手芸に熱中したそうです。大学を卒業したものの、就職活動でつまづいてしまいます。人づきあいが苦手で、25歳の時に自閉症スペクトラムと診断されたそうです。

世の中にはいろいろな人がいて、さまざまな思いを抱えて生きていることを気づかせてくれる番組でした。

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