実写版の限界

朝日新聞のテレビ欄は最終面にあります。

最終面のテレビ欄・関東版は、NHKテレビ・NHK Eテレ・日本テレビ・テレビ朝日・TBSテレビ・テレ東・フジテレビの地上波放送7チャンネルのほか、衛星放送は、NHK BS・NHK BSプレミアム4K・BS日テレ・BS朝日・BS-TBS・BSテレ東・BSフジ・WOWOWプライム・BS11イレブン・BS12トゥエルビ・時代劇専門チャンネルの11チャンネルがあり、ほかに、CS放送が、朝日新聞ですから、テレ朝チャンネル1・テレ朝チャンネル2の2チャンネルが載っています。

紙面の右下隅には全国の当日と3日後までの天気予報があります。

また、「試写室」のコーナーは、毎日ひとつの番組をピックアップして紹介しています。

私が日々のテレビ番組を確認するのは、最終面のテレビ欄です。

朝日新聞はこのほかに、紙面の中程に1ページ、当日の番組を紹介する「きょうの番組」のページがあります。このページには広告がなく、上から下まで、紙面のすべてを使っています。

この紙面で特徴的なことは、当日に放送される番組を、短い文章で多数紹介することです。本日(15日)の紙面で確認すると、11の番組が短文で紹介されています。

また、放送される映画が1本紹介されています。

それとは別に、その日によって、別々のコーナーがあります。本日は「テレビ時評」です。

これらが、上部3分の1ほどのスペースを使っています。

残りの3分の2の左半分弱は、ラジオ番組表です。関東では、NHK 第1・NHK 第2・TBSラジオ・文化・ニッポン・ラジオ日本と中波放送が6波です。超短波放送は、NHK-FM・BAYFM・NACK5・TOKYO FM・J-WAVE・FMヨコハマ・Interfmの7波です。

短波放送として、ラジオNIKKEIが1波あります。

3分の2の右半分強は、最終面のテレビ欄には載せられないテレビ放送の番組表です。衛星放送は、NHK BS8Kほか19チャンネルです。放送大学テレビが2チャンネルと放送大学ラジオは無料で見聴きすることができますが、ほかは大半が有料チャンネルです。

このほかに、UHFテレビ放送として、TOKYO MX・tvk・チバテレビ・テレ玉の4局分の番組表があります。

このような朝日新聞の紙面の中程に組まれている「きょうの番組」のページで、日替わりに登場するコーナーのひとつ「撮影5分前」が本日分で取りあげたいことです。

私は「きょうの番組」に熱心に目を通しているわけではありません。今月13日は、そのコーナーに見覚えがある絵を実写したような写真があったので、そのコーナーに目を通しました。

その日のそのコーナーは、今月30日午後9時から放送される「ドラマプレミアム」として、手塚治虫19281989)の『ブラック・ジャック』をテレビドラマにした「ブラック・ジャック」で、主人公のブラック・ジャックを高橋一生1980~)が演じることについて、テレビ朝日で同番組のプロデューサーをする女性に、ドラマ制作の裏話を訊き、短い文章にまとめています。

【両者の苦しみ】落ち目でも新作にこだわり続けた手塚治虫。ガンダムの続編を描き続けるしかない富野由悠季岡田斗司夫/切り抜き】

私はそこに添えられた高橋一生がブラック・ジャックの特徴的な髪型で写っているのを見て、「こんなことをやっているから漫画のドラマ化はダメなんだけれど」と感じました。

私は漫画を読む習慣がないため、手塚の『ブラック・ジャック』も読んだことがありません。また、そのアニメも見たことがないです。それでも、ブラック・ジャックが、髪型に特徴を持つキャラクターであることは知っています。

この番組をドラマ化したことを伝える記事によると、主役を引き受けた高橋に「髪型も原作通りいきましょう」と提案され、原作を、ビジュアル的にも、忠実に再現することが決まったそうです。

私は、漫画を原作とするドラマで、ビジュアルをそのまま活かすことには賛成できません。特に、ブラック・ジャックの髪型は、実写にすると無理が出てしまうように感じます。

記事に添えられた高橋が演じるブラック・ジャックにしても、どうしても無理な感じが出ています。

漫画や小説はそれぞれの表現によって完結しています。ですから、それらを敢えて映画やドラマで実写として描く必要がないといつも考えています。

手塚治虫が人生のドン底で描いた傑作エピソード全編公開「ブラック・ジャック ミッシング・ピーシズ」解説

特に漫画の場合は、見た目の印象が読者に強く残っています。ですから、それを実写で表現すると、漫画だから成り立ったものが崩れて見えてしまい、それはチープさにつながる危険があります。

新聞でそれを取りあげるのであれば、朝日系列のドラマであっても、記者が自分の感性のようなもので見て、指摘すべきところがあると感じれば、それを指摘してこそ意味を持ちます。

はじめから終わりまで褒めるだけでは、「提灯記事」です。

このような「提灯記事」を喜んで読む人は、そのドラマを見ても何も考えず、「おもしろかった」で終わるのでしょう。ある意味、「平和」な組み合わせですね。

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