昔、何かに、日本人は何もせずにボーッとするのが苦手というようなことが書かれていました。その点、欧米の人は、たとえば長期の休暇が得られると、どこか避暑地へ行き、たとえば海辺で、何もせず、海をただボーッと眺めることができると。
日本人もいろいろなら、欧米人もいろいろでしょう。日本人でボーッとできる人がいたり、欧米人で日本人以上にボーッとできない人もいるでしょう。
ともあれ、「本当に」ボーッとできるのであれば、心身の疲れを取ることができるでしょう。しかし、ボーッとしているつもりが、実は、あれこれといろいろなことに頭を使い、却って脳を疲れさせていることがままあります。
朝日新聞土曜版に「知っ得 なっ得」というコーナーがあります。本日から数回は「瞑想のススメ」についてです。
私は、何もせずにボーッとすることで、頭が休まると考えていました。本当の意味でそれができればそうでしょうが、おそらくは、ボーッとしている間中、何かに頭を使い、却って脳を疲れさせていることがほとんどといえそうです。
ぼんやりとしているつもりで、あれこれに頭を使う状態は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMF)」といわれ、神経回路が活性化にある状態です。
DMFは、次々に送り込まれる情報量を処理しなければならない状態にあり、過剰になれば暴走状態となり、脳が疲れ切ってしまいます。
脳の消費するエネルギーの六割以上はDMFが占めるだろうということです。
だからといって、そうか、それなら今日から務めて何も考えず、脳を休めようというのは、いうほと簡単なことではありません。誰でも、気がつけば、あれやこれやを次々に考えているものです。
そこで実践して欲しいのが「瞑想」となります。
瞑想をすることで、DMFの代わりに、脳の疲れを取るのに有効な「CEM」が活性化されます。
CEMは「セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク」の略で、ひとつのことに集中した状態になると働く脳機能をいいます。
瞑想の具体的なやり方は、本記事の取材に協力した医師で住職でもある川野泰周氏がお書きになった『ずぼら瞑想』などをお読みになるといいでしょう。
やり方を簡単に書いておけば、次のようにするといいそうです。
- 楽な姿勢で椅子に座る
- 一本の糸で吊られているようなイメージを持ち、軽く背筋を伸ばす
- 三回ほど大きく深い呼吸をする
- あとは自然に任せ、自分の呼吸を「観察」することに意識を向ける
- 瞑想で大事なことは頑張りすぎないこと
そういえば、横尾忠則(1936~)は考えない生き方をされているようです。これはある意味で、自分を無にした状態で、心身のためには最も良い状態といえるかもしれません。
それが、横尾をいつまでも若々しく保っている秘訣かもしれません。