私は古い世代の人間ですから、新聞は四紙(朝日・日経・産経・地方紙)も取っており、テレビも、自分が見たい番組だけは見ることをしています。
若い世代と一括りにするわけにはいきませんが、若い世代の多くで、しかも、ひとり暮らしをしているような人で新聞を取っている人は少数派かもしれません。
また、テレビを見る時間が年々少なくなり、まったく見ない人もいるでしょう。
そういえば、今では旧い世代の人間になった小説家の村上春樹(1949~)は、若い世代といわれた頃から、今の若い世代と同じように、新聞やテレビから離れた生活をしているとご自分のエッセイで何度も書いています。
私はテレビを見るといっても、ごく限定された番組だけです。主に、米国を中心とする旧い映画、米国や英国の昔のテレビドラマ、NHK杯テレビ将棋トーナメント、カーグラフィックTV、高校野球、マラソン、駅伝が今思いついたテレビ番組です。
スポーツや将棋番組はオンタイム(「放送されている時間」ぐらいの意味で使っています)で見ますが、それ以外は録画し、好きな時間に見ます。
テレビニュースやワイドショー、バラエティ番組は決して見ません。
それでも毎日、朝日新聞のテレビ欄に一応目を通すことをしています。私がそれに目を通す理由は、馬鹿々々しい番組を見つけては、心の中で馬鹿にするのを「趣味」のようにしているからです。
その「趣旨」から離れ、興味を持てそうな番組を見つけることもあります。
今日も何気なく見ていたら、NHK Eテレで午後10時45分から30分間、39年前の1985年7月25日に放送された「きょうの料理」(1957~)の放送があるのに気がつきました。
今夜放送される回では、まだ初々(ういうい)しい感じの小林カツ代さん(1937~2014)が、忙しい人のための参考になりそうな料理作りを披露してくれるようです。番組の聞き手は加賀美幸子さん(1940~)です。
私は昔、テレビの料理番組を見るのが好きでした。NHKの料理番組もよく見ていました。米国で男性の料理人が毎回、おもしろおかしく料理を作る番組があったのも憶えています。
今夜放送される昔の料理番組は、録画して見ることにします。
話を各局のワイドショーに戻します。新聞のテレビ版に並ぶ見出しを見ると、本当に馬鹿にしたくなります。
本日のワイドショーの見出しで目についたのは、富士山が見えるとして大人気だった場所に、富士山が見えなくするための黒い幕が設置されることを伝えるものです。
そんな場所が観光客に人気になっていることを、私は昨日までまったく知りませんでした。
それを伝える記事が昨日の朝日新聞にありました。見出しは「コンビニ越し富士山に幕」です。
その「騒動」が起きていた場所は、山梨県富士河口湖町にあるローソン河口湖駅前店の前です。
ローソンから車道を挟んだこちら側からローソンがある建物の方を見ると、ローソンの建物に富士山が載ったように見えるそうです。
そのことを、2022年秋ごろ、海外のインフルエンサーがSNSで紹介したことがきっかけとなり、日本を訪れる観光客に一躍知られるようになり、幅1メートルほどの歩道が大変に混雑する状態になったそうです。
人々の関心を集めることに強い関心を持つワイドショーは、それを番組で取り上げることをしたでしょう。そのことで、注目度は国内でも一気に高まっただろうと思います。
付近に住んでいる人も、最初の頃は、観光客が訪れるようになり、そのことをむしろ喜んだりしたようです。
ところが、訪れる観光客が増え続けることで弊害が大きくなったそうです。
新聞の記事では、その歩道の前で歯科医院を営む医師が混雑に困っていることが書かれています。医師は、観光客が捨てたゴミが増えたことや、患者が医院に入りくくなったことなどを訴えています。
この医師のように、増え続ける観光客に困る地元の住民が、町にそれを訴える声が多くなっていった模様です。
町としても、観光客が増えることを歓迎しつつも、住民のことを考えると野放しにはできず、本日にも、コンビニから車道を隔てたこちら側の歩道のうち、コンビニの建物越しに富士山が見える位置に、長さ20メートル、高さ2.5メートルの黒いビニール幕を設置する予定だそうです。
どんなことでも悪乗りするワイドショーは、幕を設置する様子を生中継するところもあるようです。
こういうのを「マッチポンプ」というのではありませんか?
「ここに立つと、コンビニ越しに富士山を拝むことができますよ」と人々の耳目を集めることをしてブームを作りだし、そのことで迷惑な観光客が増大すると、今度はその対策のための幕設置を、観光客増大に困る住民の側から報じて恥じ入るところが窺えません。
昨日の朝日は、この幕設置について報じた記事の左隣りに、つばさの党が選挙運動中に迷惑行為をしたとして、団体の代表ら3人が逮捕されたことの続報を伝えています。
朝日はつばさの党の行為を問題だとして連日紙面で取り上げています。しかし、同じようなことを新聞やテレビ番組もひとつの手法として日常的に使っているのではありませんか?
Yahoo!ニュースの目立ったところで自分たちが配信したニュースを取り上げて欲しくて、少しでも多くの人が関心を持つようなことを取材しては、煽るような見出しをつけたりしています。
誰かを車で追い廻し、その様子を映像にすることを一度もしたことがないといえますか? もし、そういうことを過去にしているのであれば、つばさの党が前の車を後ろから追う様子を「カーチェイス」動画にするのと同じになります。
つばさの党への批判と同じようなことを自分たちがしていたのなら、彼らに対する批判は、そのまま、自分たちに跳ね返ってくることをどうか自覚してください。
さしあたっては、今回問題になった場所について、マスメディアが過去に取り上げたことがあるなら、どんな風に取り上げたか、検証して記事にしてください。
旅の恥は掻き捨てとばかり、記事も好き勝手に書き捨てられたら、迷惑を被る人があとを絶たなくなります。