2007/04/14 夫婦の営み

本日は、その立場にない私が、ある意味傍観者的な目線で考えさせられたことを書いてみたいと思います。

今回私が考えさせられたのは、「夫婦の営み」です。

きっかけは、今日の朝日新聞に載っていた「(人生)相談室」です。このコーナーでは、読者から寄せられた相談事に、各界の著名人が交代で答える、というスタイルを採っています。今回、コーナーの回答役を務められるのは、作家の室井佑月さんです。

で、その室井相談員に持ちかけられた相談事というのは、古くて新しい問題、「夫婦生活」です。

相談者は、神奈川県に住むという36歳の主婦です。彼女には、夫と子供がおり、仲が良い3人家族の生活を楽しんでおられるそうです。ならば、新聞の相談室にわざわざ相談することもなかろう、といいたいところですが、端からは幸せそうに見える人でも、その実、他人にはわからない悩みを抱えて生活しているものなんですねぇ。

その彼女の目下の悩みは、夫とのセックスだそうです。

彼女は、妊娠してからというもの、セックスに対する興味を失ってしまったそうです。といって、夫を嫌いになったわけではないといいます。ただ単に、夫との「夫婦生活」が面倒になった、といったところでしょう。

私はこの相談事を読み、主婦である彼女のいい分を、「至極真っ当」に感じました。

そもそも、男と女はなぜセックスをするのでしょう?

究極的な理由は、それによって、ふたりの子孫を後生に残すためです。この夫婦が、もうひとり以上子供を欲しいのかどうか、赤の他人の私が知るわけもありませんが(^m^)、「ひとりで充分」という合意ができているのであれば、セックスに励む理由は見当たりません。すでに、ふたりの子孫は残せたわけですから。

しかし、彼女の夫はそういうわけにもいかないようです。

自分たちの子孫を無事に残せたあとも、その夫は再三、彼女に夜の営みを誘いかけてくるといいます。そのたびに、彼女は「授乳がある」などと理由を見つけては、その場をやり過ごしているようです。一方、断られ続ける夫にしてみれば、「もしかして、自分に愛情を感じなくなってしまったのではないか?」と不安に駆られかねません。

彼女の相談文には、「(夫に)男性的魅力を感じなくなったのが本音です」ともあります。

彼女の相談に対して、今回の相談員をする室井さん、「そりゃあ結婚して6年もたてば夫を見て発情するようなことはなくなるでしょう」と同意を示しています。

彼女は、相談文に「結婚6年」とは書いてはいますが、「妊娠してから興味がなくなりました」とも書いているわけで、「結婚」と「妊娠」と「6年」がイコールで結ばれるかどうかは不明です。て、こんな細かい計算はどうでもいいですねf(^_^)

それは別にして、確かに、結婚後何年も「発情」し続けるのは難しい、と部外者の私も想像できます。一年中「発情」していたのでは、毎日の生活が鬱陶しくて仕方がなさそうですから。

私は、結婚しようと思ったことがなかったため、そうしたシチュエーションを味わうことなくここまで生きてきましたが、実際のところ、既婚者というのは、毎日の生活をどんな感覚で生活しているものなんでしょうね。

たとえば、会社員の家庭であれば、勤め人である夫は、朝、「行ってきます(=゚ω゚)ノ」と家庭を離れ、外で他人と時間を過ごし、夜に「ただいま(´Д`)ノ」と戻ることを繰り返していけばいいのですから、年がら年中家庭に縛られているといった「束縛感」は持たずに済むかもしれません。

ところが、それがもし、外に働きに出ないで済む人であった場合はどうでしょう? まずは、毎日の“息抜きタイム”を持つのが難しくなくなります。この場合は、お互いがお互いの存在を、時に、鬱陶しく思う瞬間もありはしないか、というような余計な想像を私などはしてしまいます。

このことは、勤め人であった人が勤め人でなくなった時、要するに、定年退職以後のかつての“息抜きタイム”保持者(元サラリーマン)の家庭にも当てはまりそうな気がしないでもありません。その環境の変化に直面した時、果たして、「亭主元気で留守がいい」と気楽さを決め込んでいた家庭の主婦、そして、家を留守にできる時間を保有していた世の夫たちの心境には、どんな“化学反応”が起きるものしょうか?

これを書きながら、ハタと思い出し、ちょっと前の新聞の切り抜きを引っ張り出してきました。

4月6日の朝日新聞に載った記事です。「煩 第1部・愛の現場」の4回目で、その特集の一部に、内田樹さんの考えが紹介されています。その冒頭には、内田さんの次のような考えが披露されています。

(未婚者は)結婚は「しない」のではなく、「できない」んです。

「こんな決めつけをしてしまって大丈夫なのかなぁ?」と私は疑問に思い、この記事を切り抜いた記憶があります。中にはそういう人もいるでしょうけれど、自分の意志で結婚を選ばない人も絶対にいるのではないか、という私の思いがあってです。

その内田さん。続けて、次のようなことも述べています。

結婚は他人と共生する高い能力を必要とします。でもピュアな自分らしさや自己実現を追いかけ、自分のペースで生きたい人は他者を生活圏に受け入れにくい。そう、子どもと同じですね。

それを子供と同じ感覚に結論づけるのが適切かどうかは別にして、確かに、私なども、「自分のペースで生きたい」感覚はあったりします。 私の場合、時に親類の3歳になったボクちゃんと遊ぶことがあり、その時間はそれなりに楽しく過ごせたりします。ですから、子供は嫌いではない、といいますか、好きなのですが、それが365日休むことなく続くことを想像すると、果たして、「楽しい」とばかり思っていられるか、途端に自信をなくします。

同じことは、生活を共にしなければならない、妻にも感じてしまうような気がしないでもないですね。もちろん、一緒にいて愉しく感じる瞬間もあるでしょう。が、それが年がら年中となると、ハテ、どんなもんだろうか? と躊躇してしまう自分がいるということです。

そもそもが、私は、「他者と共生する能力」には人並み以上に欠ける人間でした(^m^)

内田さんは、結婚生活の意味を、次のように結論づけていらっしゃいます。

一緒に暮らす相手が何を考えているかわからないし、向こうも私の気持ちがわからない。それでいいんです。結婚とはそういうものだから。それでも言葉を贈り合い、抱きしめ合うことができる。

はあ。そういうものなんですね、結婚生活というものは。もしかして、私にも営むことができる、かなぁ?

これに呼応するような意味合いで、今回、相談員を務められた室井さんは、次のようなアドバイスで回答を締めくくっています。

結局、自分以外のだれかとうまくやっていくには、自分も相手も、納得できる範囲での妥協が大事なんだよね。いや、「妥協」ではなく、「相手の喜びが自分の喜び」、そうであったら最高にすてきなんだと思う。

これを、今回の悩みの主である、夫婦生活を鬱陶しく感じる主婦の彼女に当てはめれば、「夫の性的喜びが自分の喜びと思えるように努力せよ」ということにでもなるのでしょう。でも、そう思えないから彼女は悩みを深めていらっしゃるようなのですが、、、。

でも、努力次第で「すてき」な人生に換えることができる! のかな?

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