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オールド「日々の独り言」

2004/03/08 時代に逆行する現代の画一化教育

今の若者は価値見が多様化しているといわれますが、こと進学に関しては、「有名大学=いい大学」という大人たちによって作り上げられた一つの価値見を未だに信じているように思います。

こうした風潮については、私のサイトからもリンクを張らせてもらっています「立川談誌の世相講談」で談誌さんが面白いいい方をしていたのを思い出しました。

「その224 家元、古賀議員経歴詐称発覚を語る」の回での話ですが、家元ご自身は「中卒」であることを引き合いに出し、「世間で騒がれている学歴てのは、結局のところ、“学校歴”のことなんじゃないの?」と本質をズバッと指摘しています。

さすがうまい表現ですね。なるほど、世間で幅を利かせているのは、何を学んだかという「学歴」ではなく、どこの学校を卒業したのかという「学校歴」というのはいい得て妙だと感心させられました。

それが受験戦争の結果なのだとしたら、随分と“つまらない”ものに多大な時間を費やしていることになります。しかも、その受験戦争の中身がどんどん変わっているという専門家の指摘もあります。

今、私の手元には一つの新聞記事の切抜きがあります。2月23日の日経新聞にあった「インタビュー 領空侵犯」というコーナーで、松本大(まつもと・おおき:1963年生まれ。1987年東大法卒。ゴールドマン・サックス証券などを経て、1999年4月にソニーと共同でマネックスを設立。「ダボス会議」には必ず出かけ、経営者としての感覚を磨いている=2004年2月23日付け日経新聞記事より)松本さんが教育問題についてインタビューに答えています。

その中で、多様化が求められる時代に逆行するような画一的な人間ばかりを生む現代の教育について次のように述べています。

実社会では単品を大量生産する時代は終わりました。証券会社も各社とも経営を差別化して生き残ろうと懸命です。ところが学校では個人の多様性を重視しない。経営上の理由もあるのでしょうが、有名大学への合格者ばかりを競うのは間違いです。

続けて、その弊害について次のように語ります。

教育にはお金がかかるので、有名大学にはもっぱら裕福な家庭の子供たちが入る。真の実力を持った青少年に優れた教育を施さないのは、国にとっても大きな損失です。

この点については、以前からいろいろな人によって指摘され続けてきたことです。そしてこれこそが現代の教育の実態であり、問題点なのだと思います。

松本さんの今回のインタビューの冒頭には、次のような感想が述べられています。

私の母校でも最近は『はみ出し人間』を退学処分にすることが多いと聞きます。なぜ連れ戻して育てようとしないのか疑問です。未熟な人間を社会に通用するようにすることが教育の大きな役割なのに、逆に排除してしまう。これでは画一的な人間ばかりが残ってしまいます。

結局のところ、受験戦争を勝ち抜いて「学校歴」を手に入れた人というのは、大人たちの価値観にのり、ひたすら順応した結果である、といえなくもありません。いわゆる、大人から見れば「いい子ちゃん」です。そんな彼らに「他人と違う発想」を求めても所詮無理な注文というものでしょう。

今日の産経新聞には、そのことを象徴するようなコラムが載っています。書いているのは産経新聞・経済部次長の飯塚浩彦さんで、学生の就職戦線の実情について書いています。

それによれば、就職を間近に控えた学生の中には、自分が進むべき道を自分で決められない者が少なくないといいます。その具体例として紹介されている話によれば、ある大学の就職課に一人の学生が訪れ、「僕にはどんな仕事が向いているでしょうか」と尋ねたそうです。そこで職員が「それは君が考えることだよ」と答えると、「就職課なのに、、、」と当の学生は不満顔を浮かべたといいます。

この一事をもって「万事マニュアル化された現代の学生」と決めつけることはできないと思いますが、学生時代までは親の期待に応えるべきレールが他人によって用意されており、他のことを自ら考えずに済む現代の在り様が全く関係していないとはいえないのではないでしょうか。

教育問題の具体的な解決策はボンクラな私には到底わかりませんが、松本さんは次のような一つの考え方を示しています。

まずは学校が『はみ出し人間』をきちんと育てることです。卒業生を意図的に分散させることも重要。大学ももっと一芸入試などに力を入れるべきです。米国でもプリンストン大学はクラスの中に学問やスポーツや芸術など特定の分野に秀でた学生を必ず混ぜ、互いに刺激し合うことで才能を伸ばしています。

最近は何かと非難の的にされがちなアメリカですが、人種も含めた多様性が日本にはない活力の素になっていることは疑いのないところでしょう。それに対し、日本は良くも悪くも限りなく単一的民族で構成されており、それが回りまわって画一的な価値見へとつながってしまっているのかもしれません。

だとしたら、この問題を一朝一夕に解決することはかなり大変なことになりそうです。

大局的には、国単位で解決策を実行に移すことが求められますが、個人のレベルでいえば、定められた価値見から自ら外れる勇気が何よりの打開策につながるのではないでしょうか。平たくいえば、競争社会から「一抜けた」と飛び出すことのできる“はみ出し人間”として生きる覚悟を持つということです。

私自身のことでいえば、本人の好むと好まざるとに拘わらず現在は“はみ出し人間”となってしまっているわけですが、元来が一つの組織の中で生きていくことは困難な性格であるため、「成るべくして成った」というべきでしょうか(^O^;

ともかくも、私はいわゆる“泡沫人”への共感が強いこともあって、それが現在の私へとつながっているのかもしれません。ま、これはこれで悪くない人生の選択であると思っています。

松本さんのいい方でいえば、私も「教育の現場に連れ戻されなければならない『はみ出し人間』」ということになるのでしょうか。

本日の結論めいたことを書くとすれば、受験生や学生たちが「今、自分たちが目標としていることが、実はごくごく狭い器の中の話かもしれない」という疑いを持つことから問題を考え始めて欲しい、といったことになるでしょうか。

その“器”から飛び出て、「人生を棒に振れるだけの勇気」をあなたは持っていますか?

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