本日の朝日新聞「声」欄に、「シン・〇〇」や「レキジョ(歴史女子)」「理系女子」「大人女子」などと使われる「〇〇女子」など、マスメディアが流行らす流行り言葉にはうんざりする、といった声が載っています。
私もこの手の流行り言葉には「うんざり」しています。自分で使うことはないです。
「シン・〇〇」は、映画の『シン・ゴジラ』(2016)がその元祖といえましょう。私はこの映画は見ていませんが、そもそも、「ゴジラ」の前についた「シン」の意味を知りません。
「シン」は単純に「新」の意味なのでしょうか。「新ゴジラ」ではインパクトにかけるから「シン・ゴジラ」にした(?)、と。
映画の制作者や制作会社、宣伝部などがどのような題をつけてもかまいません。私をもうんざりさせるのは、二番煎じが次々に登場し、そのたびにマスメディアがそれを紹介することです。
それだけでは飽き足らず、マスメディアが独自の記事でも、「シン・〇〇」と使い出すのですから、際限がなくなります。
「〇〇女子」というのも、随分前から使われるようになり、未だにこんないい方や書き方をする人がいるのには呆れます。
成熟した女性が、自分たちを未だに「女子」ということに抵抗感はないものでしょうか。私が傍から見る限り、これは誉め言葉のように勘違いさせて、その実、コケにしているように感じないでもありません。
その昔、「女子供(おんなこども)」といういい方がありました。これを使った例文をつくれば、次のようになりましょうか。
こればかりは、女子供には任せられない。
要するに、女性や子供たちを半人前に見るいい方です。同じ匂いを「〇〇女子」にも私は感じてしまいます。
この手の流行り言葉は、大手広告会社の電通あたりが考え、マスメディアを使って流行らせている(?)のかもしれない、と考えたりします。
今から二十年近く前になりますか。韓国で作られたテレビドラマを日本のテレビ局が競うように放送することがありました。それがブームになったとして、「韓流」といういい方がマスメディアで使われ、一部、庶民も使う人がいました。
そのきっかけは「冬のソナタ」(2002~2003)という韓国ドラマでした。そのドラマを好んで見る人がいてもいいですが、ブームにのせられて見たのでは、その仕掛け人の策略にまんまとはまっただけともいえましょう。
「韓流」といういいかたも、確か、電通が作って流行らせた、と聞いたことがあります。実際のところはわかりませんけれど。
仕掛け人が作りだしたブームということでいえば、スポーツイベントがそうですね。ようやく幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にしても、結局のところは、日本国内の放映権などでは、またしても、電通あたりが大きく関与したのではないか、と私は見ています。
悪評ばかりが目立つ2021年夏に開催された東京オリンピックでは、招致活動の段階から、電通があの手この手で関わり、必要以上に経費を加算させています。
マスメディアはその電通のあり方をようやく批判的に報じましたが、その舌の根の乾かぬ内に、同じく電通が絡むであろうWBCの放送を、テレビ朝日とTBSがしています。
日本という国は、この手のイベントがあると、放映権のないテレビ局や新聞社までもがそのイベントに総乗り状態になってしまいます。
そういうことが毎度繰り返されるため、私は今回のWBCやFIFAワールドカップなどは、その期間が近づいたり、大会の開催中は鬱陶しくて仕方がなくなります。
テレビは見なければそれで済みますが、毎日読む新聞にも、そのイベント関連の記事が所狭しと載るため、新聞に目を通すのが嫌になるほどです。
朝日新聞の土曜版は、WBCが始まる直前にアンケートを採り、その結果を載せています。採られたアンケートは、WBCに関心があるか、ないかの二択です。
その結果は、関心があるが65%、関心がないが35%でした。この数字がそのまま国民の動向につながるかはわかりませんが、おおむねその程度とすれば、国民の3500万人から4000万人程度は、WBCには関心がなく、大会の放送や報道を快く感じていなかったことになります。
私はオリンピックもWBCもFIFAワールドカップもまったく興味がないです。それが一定期間ごとに開催され、始まったら始まったで、それ一色の報道になるというのは、迷惑この上ないです。
このときばかりは、日本を脱出したい気分になります。現実的にはそういうわけにもいきませんから、それらの馬鹿騒ぎイベントが早く終わり、いつもの日常に戻るのを待つだけです。
こんなことを書く私はへそ曲がりに見られるかもしれません。しかし、個々に程度の差はあっても、WBCに関しては、国民の35%程度が関心を持たないのですから、それらの人にも沿うような対応がマスメディアにあっても良さそうに思います。
私のような人間とは逆に、この手のイベントに必ず乗る人がいます。そうした人は、大昔の「韓流」ブーム(実はブームは起きていません。起きたように電通やマスメディアが装っただけです)にも乗ったのかもしれないです。
こんな私が例外的に乗せられているイベントが高校野球です。ただこれにしても、全国大会を見るようになったのはここ五、六年ぐらいです。その前は、地方大会だけ見て、全国大会は見ませんでした。
「ハンカチ王子」が流行語になった頃も、私は高校野球の全国大会は見ていませんでした。それにしても、「ハンカチ王子」というのも、マスメディアか電通が流行らせた流行語でしょう。
その当時、大学に進んだ「ハンカチ王子」が所属する早稲田大学の野球部が優勝すると、それまでは野球に興味のなかった年配の女性が、夜に行われた提灯行列を見に行ったというような記事が新聞に載ったのを憶えています。
どんなブームであっても、必ず煽られる人が誕生します。
ただ、それがその人の生きがいになって、いつまでも好奇心を失わず、楽しい人生を送れるというのであれば、第三者の私がどうこういえることではありません。お好きなように、ブームに自分から乗って、気の済むまでエンジョイしてください。
今後、WBCが新しい展開に入ったら、「シン・WBC」とかいうことになるのでしょうかね。
マスメディアとしては、WBCの人気にあやかって、「野球女子」を増やしたいでしょう。
「野球女子」ではありませんが、おととい(22日)行われた選抜高校野球では、微笑ましい光景がありました。
21世紀枠で出場した徳島の城東高校がその日の第三試合に登場していますが、試合の前のノックを、同野球部でマネージャーをする永野悠菜さん(3年生)が2分間程度(だったかな?)務めたことが話題となりました。
私はその場面をその日の放送では見逃し、翌日の報道で知りました。
昨日の朝日新聞が記事にしましたが、メンバーと同じユニフォームを着て、内野ノックをする永野さんの写真が記事に添えられています。
記事によれば、永野さんは中学時代はオーケストラ部に所属して、スポーツは苦手にされていたようです。永野さんがマネージャーになるきっかけは、幼馴染で、野球部の主将をする同級生に「甲子園に連れていくけん、マネージャーなってくれん?」と誘われたことだそうです。
同校は、卒業生の多くが国公立大学へ進学する進学校のようですね。その高校の野球部が、13人の選手で甲子園に駒を進めたというのは驚きです。
昨秋の徳島県大会は、ベスト4まで勝ち抜いたそうです。
永野さんは、監督が不在の時、選手のひとりがノックをして、その選手が「(自分は)一個もノックをうけられへんかった」とつぶやいたのを聞き、自分がノックをできるようになろうと考えたのだとか。偉いですね。
いきなりボールでノックをすることはできず、新聞紙を丸めて打つことから始めたそうです。その結果、両手に豆を作ってしまったそうです。腕にはいつも筋肉痛があるようですよ。
甲子園での試合のあと、「みんな笑顔でこの日が一番輝いていた。ノックも楽しかったので満足しています」と答えたことが記事で紹介されています。
永野さんを「野球女子」と呼んだら、笑顔を見せてくれないかもしれないです。