秋といえば、美術に関心がある人なら「芸術の秋」。食べ物に関心があれば「食欲の秋」。旅に出たいと思っているなら「行楽の秋」。自分の関心があるものに「秋」を結びつけて楽しめる季節です。
この秋私に訪れたのは「物欲の秋」です。訪れを実感したのは昨日です。
Appleは昨日、日本では今月中に発売予定のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)であるiPodの新ラインナップを一斉に発表しました。
奇遇といえば奇遇ですが、そのiPodは、おとといの本コーナーで触れたばかりです。そこでは、iPodと連携する管理・再生ソフトiTunesにベストマッチの動画編集ソフトについて書き、まだ購入していないiPod classicへの憧れめいた気持ちも書きました。
私はDAPには、元々それほど関心を持っていたわけではありません。外出したときに、音楽を聴く習慣がないからです。
その証拠に、かつてオーディオプレーヤーの代名詞だった「ウォークマン」など、その種のプレーヤーはひとつも持ったことはありませんし、欲しいと思ったこともありませんでした。音楽を聴きたくなったら、家にあるオーディオで聴く。実にシンプルです。
そんな私ですから、iPodにも物欲を刺激されることもありませんでした。ところがです。実物に触れる機会ができ、その時に、iPod classicが持つモノとしての魅力に強烈に魅了されてしまったのでした。
何といっても魅力的に感じたのは、その操作性です。これは、カタログを見ただけでは決してわからない感覚です。
iPod classicには、この種の機器にありがちな出っ張りのあるスイッチ類がひとつもありません。背面は、磨き抜かれた鏡面のようなステンレス製です(日本の技術が活かされていると以前聞きました)。そして、操作面である前面にも出っ張りはありません。スーパー・フラットです。
初めて手に取った私は、どこをどう操作するのか戸惑いましたが、液晶画面の下にあるドーナツ型のホイールを、指を滑らすように操作するのだと知ったとき、「ファンタスティック!」とその芸術的な操作性に、一挙に魅了されてしまったのでした。
そのように魅了されたiPod classicでしたが、私の中の物欲優先順位ゆえ、これまで自分のものにはできずにきました。
そんな昨日、Appleが発表した新ラインナップのiPodは、私の物欲を再び激しく刺激してやまないものとなりました。
今回は、全ての機種を一新するものですが、最大の注目点は、新たに投入するiPod touchとなるのでしょう。
同機種の最大のポイントは、液晶画面の上で指を動かすことで、画像や動画のサイズを自由に操れることです。また、搭載されたWi-Fi機能を活用することでネットに接続でき、小さな液晶画面で、ネット上のサイトを閲覧したり、YouTubeで動画を見たりといったことが可能になります。
また、欲しい楽曲のダウンロードも、PCを介さずに直にできるようになります。いってもれば、PCが掌に収まるアイテムに集約されてしまった、といったところでしょうか。
ただ、ネット接続は、それが利用できる環境に限られ、「どこからでも自由に」というわけにはいかなそうで、注意が必要です。
それらの機能を盛り込んだiPod touchに強い関心を持たされた私でしたが、記憶容量は8GB(¥36,800)と16GB(¥48,800)です。
現在、私がPCでテレビ録画用に使っているハードディスクドライブ(HDD)の容量は320GBです。それでも足りなく感じ始め、500GBに変更しようと考えているところです。それなのに、8GBや16GBと聞いて、単位が間違っているのかと思ってしまいました。
ただ、落ちついて考えてみれば、この程度の記憶容量であっても、DAPでの利用を前提とすれば、極端に少ない容量でもないのかもしれません。
私はiPod classicは未だに導入していませんが、それに連携するiTunesは便利に活用しています。私がそのソフトに登録しているのは、NHK-FMのリクエスト番組「サンセットパーク」宛てにリクエストした曲を中心とした音楽ファイルと、YouTubeからダウンロードした動画ファイルです。
iPodユーザーは、手持ちのCDのほとんど全てを、iTunesを介してiPodに移し替えて音楽を楽しんだりしているようですが、私はそこまでiTunesにのめり込んではいません。
私の場合は、あくまでもリクエスト曲の確認程度のことで、その他の楽曲はこれまで通りCDで聴いています。何しろ、外出先で音楽を楽しむ習慣は全くありませんし、音楽は大きなスピーカーで聴きたいからです。
はじめはiPodに動画を楽しむための液晶画面が付いていることに疑問を持ちました。「こんな小さな画面で動画を楽しめるものか?」と。
Appleがその後に登場するYouTubeを予見していたとすれば、その先見性には驚くべきものがあります。なるほど、YouTubeなどネット上にある動画を楽しむのであれば、小さな液晶画面の方がむしろマッチしています。
iPodの小さな液晶画面を不思議に感じた私も、今ではiTunesの小さな画面で、ダウンロードしたYouTubeの動画を楽しんでいます。おまけに、おとといの本コーナーで書いたように、自前の動画もiTunes動画のラインナップに加わることになりました。ますます、iPodの液晶画面の有用性が高まりそうです。
このように、「iPod」で見ることを前提にした動画ファイルは、PC録画した動画に比べて格段に小さなサイズです。DVDメディア(私の場合はDVD-R)に焼くことを前提にすれば、最大容量は4.7GBの容量が必要になります。反面、YouTubeレベルの動画ファイルの場合、桁違いに少なくて済みます。
試しに、8月3日にNHK総合で放送になった「特報首都圏」をiTunes用に変換してみました。その日取り上げられたのは今大問題になっている「年金記録問題」でした。前後をカットした動画の長さは25分ジャスト。
それを【普通モード】(MPEG-4|24ビット|320×240|14.985fps)で作り替えたところ、ファイル・サイズは96MBです。
YouTubeに投稿される動画は「10分以内/100MB以下」と制限されているため、最大100MBの動画であっても、10本の動画で1GBしか容量を食わない計算になります。
そこで急遽、今現在、私がiTunesで管理している音楽と動画の容量を確認することにしました。
- 音楽ファイル:81曲|5.5時間|307.2MB
- 動画ファイル:66項目|6.5時間|1.58GB
これまで、同ソフトのためにどれほどの容量を食っているかなんて気にも留めていませんでしたが、この機会に確認すると、音楽と動画のファイルを合わせても2GB弱です。途中でも書きましたが、私は同ソフトに手持ちのCD全てを登録することは考えていませんので、音楽ファイルは今後ともそれほど増大することはないでしょう。
問題は動画ファイルです。ファイル自体も、動画は格段にサイズが大きいですしね。それでも、現段階で2GB弱という数字を見ると、8GBという容量でも極端に少ないわけではないと考えることもできそうです。
さて、ある製品を実際に購入するとなると、判断の決め手となるのが価格です。
動画ファイルに対応していないiPod shuffleを除外すると、残るは3タイプ。最も安く手に入るのはiPod nano【4GB】の【¥17,800】。ただ、【4GB】ではやはり、こころもとないということで、同じnanoの【8GB】をと見れば【¥23,800】です。
しかしです。そこまで出すのであれば、もうちょっとプラスした【¥29,800】でiPod classicが手には入ってしまうではありません。しかも、こちらは記憶容量がハードディスクドラブ(HDD)で【80GB】もあります。
一方、今回の新ラインナップの目玉商品といえるiPod touchは【8GB】で【¥36,800】します。
はじめは目新しいtouchに物欲を“タッチ”された私でしたが、気がつけばclassicに俄然、物欲が向かい始めています。ということで、実際に購入するかどうかは別にして、しばらくはclassicへ想いをはせ、物欲を募らせていくことにしましょうか。
物欲といえば、今日、私は別の「物」に「欲」を持ってしまいました。今月発売になるデジタルカメラです。それについては明日以降の本コーナーで取り上げることになるかもしれません。
そうそう。これは物欲というより、必要に迫られて欲しい物ですが、AM(中波放送)ラジオを早急に手に入れなければなりません。これまでは、亡き父が寝たきり状態のときに使っていたラジオを使ってきましたが、チューナーが接触不良になってしまったようで、放送が満足に聴こえなくなってしまいました。
元がそれほど高価なものでないため、今さら修理に出すまでもないでしょうから、早く別のものを買わなければなりません。早朝に目覚めたとき、「ラジオ深夜便」が聴けないのは寂しいですから。
以上、本日は「物欲の秋」ということで書いてみましたが、「芸術の秋」についても書いておきますと、ひとつ、どうしても見ておきたい展覧会が見つかりました。これについても、実際に見てきたなら、本コーナーで書くことにしましょう。
そんなこんなの「○○の秋」ですが、今年の秋、あなたはどんな秋になりそうですか?