ネオ一眼の望遠で撮る月動画

このところは、月を動画に撮ることを好んでしています。

昨日の明け方の時間、関東南部の当地は薄雲が広がり、それでも月が雲越しに薄ぼんやり見える時間がありました。しかしそのあとは雲に隠れてしまったため、好んでいても、月を動画に収めることはできませんでした。

今日は天気が回復し、朝には快晴となりました。そこで、庭にカメラを持ち出し、月を動画に収めました。

今回使ったのは、「ネオ一眼」などといった呼ばれ方もするコンパクト・デジタルカメラ(コンデジ)です。ソニーHX200Vで月の動画を撮ろう、と昨日のうちに決めておきました。

SONYのネオ一眼 DSC-HX200V

これまで撮影に使ったカメラとレンズの組み合わせより、望遠で月が撮影できそうに考えたからです。

HX200Vについているレンズは、焦点距離の4.8ミリから144ミリをカバーする30倍のズーム機能があります。

搭載されている撮像素子のサイズは、ペンタックスPENTAX Qと同じ1/2.3型です。この撮像素子で、上に書いた焦点距離を35ミリフルサイズに換算すると、27ミリから810ミリまでがカバーされることになります。

これだけで、PENTAX Qにニコンの105ミリレンズをつけることで得られる580ミリよりも望遠効果が得られます。

このカメラで、動画を撮ると、さらに望遠域で撮影することができます。それを実現するには、画面の縦横の比率、アスペクト比を、横長の16:9ではなく、4:3の比率を選ぶ必要があります。

それに加え、手振れ補正を、より強力に補正する「アクティブ」ではなく、補正を幾分弱める「スタンダード」にしなければなりません。

月の動画は三脚に固定して撮影するため、手振れ補正自体をオフにしたいところですが、このカメラは、手振れ補正をオフにできない仕組みです。

上に書いたふたつの条件を満たせば、810ミリよりも望遠の1080ミリで動画の撮影ができます。

ただ、このカメラで、真っ暗な夜空に浮かぶ月を動画で撮影することはできません。いや、撮影することはできても、露出オーバーに撮影されてしまいます。

このカメラは、動画をマニュアル露出で撮影できないからです。

静止画はマニュアル露出で撮影できます。HX200Vで今朝撮影した月の静止画を下に埋め込んでおきます。

月の写真(2023.2.11)

HX200Vにはいろいろと制約があります。レンズの絞りはf/8.0までしかありません。そこで、シャッター速度ISO感度を調節して、ちょうど良い露出にしました。下に、露出設定を載せておきます。

  • ISO感度:ISO200
  • シャッター速度:1/60sec
  • F値:f/8.0

この露出設定は、渡部さとる氏(1961~)のYouTube動画で教わった「感度分の〇〇」の応用になります。

その考え方は、ISO感度とシャッター速度を同じ数字にし、F値をf/16に設定すると、真っ青の空が世界中のどこでも撮影できる、という理屈です。

それを月の動画に当てはめようとしましたが、HX200VはF値がf/8.0までしかないので、F値はそれにしました。

f/8.0は、f/16より2段分明るいため、シャッター速度をはじめは1/50秒にし、ISO感度をISO50より2段分低感度になるISO200にしました。

カメラの液晶モニタで確認すると、さらに若干露出を落とした方が良いように思え、シャッター速度を1/60秒にして、最終的な撮影をしました。

このように、夜空に浮かぶ月を、静止画であればマニュアル露出で撮影することができます。しかし、動画は、すでに書いたように、オート露出になるため、撮影できません。

そこで、空が明るくなるまで待って撮影しました。下に、HX200Vで撮影した月の動画を埋め込んでおきます。

月の動画(2023.2.11)

焦点距離は、すでに書いたように、35ミリフルサイズ換算で1080ミリです。

撮影した動画は、動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioで読み込み、明度コントラスト彩度色相を適正にしています。実際の空はもっと明るいですが、その明度を少し落としています。

月が画面から切れるまで撮影していますが、右下の隅に月が近づくと、オートフォーカスのため、フォーカスが働かなくなっていますので、それが始まる直前でカットしています。

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