博士の愛した数式 愛のテーマ(音楽・加古隆)

リクエストカード(253)
リクエストカード(253-2)
リクエストカード(253-3)

山本さん、こんにちは。今回は「読書の秋」で募集するコーナー宛てです。よかったらお願いします。▼小川洋子さんの同名小説を映画化した作品です(博士の愛した数式)。私は小説は読んでいませんが、映画はリバイバル上映されたときに劇場で観ました。▼あらすじはご存じの方も多いと思います。交通事故の後遺症で、事故のあとは記憶が80分ごとにクリアされてしまう障害を持つ中年男の“博士”(=寺尾聰)と、博士の世話に通ってくる若い家政婦(=深津絵里)、そして彼女のひとり息子(=齋藤隆成 ※息子は私生児の交流を描いています。▼初めて博士のもとを訪れた家政婦は面食らってしまいます。出てきた博士は、心ここにあらずといった感じで、彼女に靴のサイズを訪ねます。「24です」と答えると博士は、「4の階乗か。潔い数字だ」といいます。博士が記憶していられるのはきっちり1時間20分。毎日通ってくる彼女は、博士に決まって靴のサイズを訊かれ、そのたびに「実に潔い数字だ」とお褒めの言葉を頂戴してしまうといったあんばいです。 (→ 2枚目のカードに続きます)


【メッセージ2】:(→ 1枚目からの続き)  ところで山本さんは「4の階乗」というのをご存じですか?私は子供の頃から算数が苦手で、さっぱりわかりません。なんでも、1から4までの数字を掛け合わせると「24」になることからそういうそうです。▼博士は他人との交流が得意でないのか(?)、何をしゃべっていいかわからなくなって混乱すると、自分の得意分野の数字を持ち出し、それで安心して相手との交流を続けられるようです。▼そのような博士のため、これまでに何人家政婦がやって来ても、誰ひとりとして長続きしなかったようです。しかし、シングルマザーの彼女は、博士との交流を楽しむようになっていきます。ひとつには、彼女と博士が、めったにない組み合わせで、神の計らいといえる「友愛数」で結ばれているせいかもしれません。▼博士との交流を続けていくことで、家政婦の彼女は数字に興味を持つようになります。そして、彼女のひとり息子も博士に可愛がられて算数が好きになり、成長して中学校の数学教師になります(=吉岡秀隆)。 (→ 3枚目に続きます)


【メッセージ3】:(→ 2枚目からの続き)  この作品で原作者の小川洋子さんが描きたかったのは何でしょうか。それは、小川さんの小説を読んだ人、また、映画化された作品を観た人、それぞれが受け止めることでしょう。▼私は数年前に映画館で観、また、今回のリクエストの前に、録画してあったビデオを観ました。▼主人公の博士のように、短い時間しか記憶が保たない人というのは身の回りに多くいる、ということはあまりない(?)かもしれません。▼しかし、そうした障害を持っていなくても、人と人が交流をするとき、自分にとって相手はいつも自分とは違う未知の部分を持っています。育った環境も考え方も違うからです。それでも相手を受け入れる寛い心を持つことで関係を保っていける。そんなことを描きたかったのではないか、と私は受け取りました。▼ひとり息子の愛称「ルート」には、どんな数字でも嫌がらずに自分の中にかくまってやることができる寛大さが込められています。難しいことですけれども、そんな寛い心を持っていたいものですね(^-^;

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