籠池夫妻の不運を思う

人は皆、運命に翻弄されるように生きています。自分の運命であれば、自分の努力で動かせそうに感じます。しかし、それが運命である以上、努力で良い運命に動かすことはできないように感じます。

安倍晋三氏(19542022)によって、運命を揺さぶられた夫婦がいます。その夫婦に、昨日下された判断を、私は気の毒に感じました。

今日の朝日新聞もそれを伝えています。記事の見出しは「籠池夫妻 実刑確定へ」「最高裁 補助金不正 上告を棄却」です。この見出しを見るだけで、学校法人「森友学園」の理事長を今もされているのかわかりませんが、籠池泰典被告(1953~)と妻の諄子被告(1956~)が味わっている不幸な運命を私が気の毒に感じていることがわかるでしょう。

結果的に、詐欺罪の罪人とされることになった籠池氏が関わった事件は、それが発覚した時から興味を持ち、本コーナーで、動きがあれば取り上げました。

しかし、その時に何度も更新した投稿は、今は、自分でも読むことができません。

本コーナーは、本サイトを始めた翌年にあたる2000年4月12日に初めての投稿をしています。その当時の本サイトは、HTMLについて書かれた本で学び、自分でテキストエディタにHTMLを使って書くことで運営をしました。

転機は2016年2月初めです。その時期、WordPressを使ったサイトに切り替えることを考え、実行しています。そのスタイルで3年ほど更新をし、その時期に、籠池氏の事件と、その背景について、本コーナーで取り上げました。

WordPressでの更新が軌道に乗って3年目に、独自ドメインの取得をしています。しかも、一度取得したドメインを今のドメインに変更することをしています。

その際に、私の判断ミスで、WordPressで3年間更新した分を失ってしまう失態をしました。

それが起きていなければ、その時期に盛んに更新した籠池氏の事件とその背景について、自分の書いた文章で確認できたはずです。

そんなわけで、自分の記憶だけでこの事件を振り返りますが、籠池夫妻には、実刑判決を受けなければならないような詐欺を起こす考えは、おそらくなかったのではないかと思います。

昨日、最高裁判所第一小法廷で下された判断のひとつに、小学校建設における工事代金水増しの問題があります。これについても、建設に関する補助金要求は、その方面におそらくは詳しくなかった(?)であろう籠池氏にはできなかったのではないか、と考えます。

籠池氏が理事長の森友学園が、国有地を大幅に値引きされた形で手に入れ、その敷地に、「安倍晋三記念小学院」と名づける噂まであった小学校を建設する話は、籠池氏個人の考えで実現できることではありません。

建設に大きな力を貸したのは、当時、首相をしていた安倍晋三氏です。それだから、籠池氏自身がのちに、当時のことを「神風が吹いたように、とんとん拍子で事が運んだ」というような感想を述べたほど、あれよあれよという間に建設話が進み、用地取得や校舎建築のための費用などが、その「神風」任せで良いような状況になったのです。

「神風」を運命と捉えれば、自分で動かせない運命が、国の大きな力で動かされ、当事者である籠池氏は、その渦の中で、何もしなくても、自分の望む以上の形になっていったのです。

当時の籠池氏は、夢でも見ているような気分だったでしょう。

そして、もしも、国有地取得の背景が取りざたされなかったら、瑞穂の国記念小学院は、予定通り開校され、安倍晋三氏をどこよりも後押しする産経新聞などが、素晴らしい学校が開校した、などと手放しで報じたでしょう。

日本会議の大阪の拠点にするのでは」――破格値の土地購入費に「航空機騒音指定区域」…不自然すぎる立地に豊中・木村真市議が懸念! 〜「極右学校法人の闇」第4弾 2017.2.15

籠池氏を安倍氏と結びつけたのは松井一郎氏(1964~)だといわれています。その当時、安倍氏は失意のどん底にいたようです。

それ以前、安倍氏が一度は首相になったものの、一年ほどでその職を辞しています。その際、突如投げ出すように辞めたことが批判されていました。

当時、私は安倍氏を応援するような気持を持っていたため、本コーナーでは、安倍氏を批判的に報じた朝日新聞などを批判的に書いています。

安倍氏のあとに首相になった麻生太郎氏(1940~)の政権も短命に終わり、自民党は衆院選で大敗し、与党の座を明け渡しました。その責任の一端が安倍氏にもあり、安倍氏は、自分の政治生命さえも危ういように感じ、深く沈んでいたようです。

もともと安倍氏を応援した気持ちを持っていたのであろう松井氏は、安倍氏を剥げます気持ちで大阪に呼び、大阪にはこれこれこういう人がいるから、一緒に、自分たちの考えを教育するような小学校を建設しようと持ち掛け、籠池氏を交えて、大いに盛り上がった、やに聞いています。

その後、自民が与党に復活すると、安倍氏がその長に就いたのですから、話を持ち掛けられた籠池氏は、億千万の味方が自分についたように感じたでしょう。

第2次安倍政権は、独裁政権のように、司法も行政も自由に操り、不正な書類を公正な書類に作り替えることなどは朝飯前です。その勢いで、籠池氏の小学校用地も濡れ手で粟で調達し、建設費用を浮かせるため、補助金取得の悪知恵も、その方面に詳しい人間にさせたでしょう。

当の籠池氏は、お名前のように、ただ、籠に乗っていただけのようなものでしょう。

ところが、不正が発覚し、それが国政の場で追及されると、安倍氏は態度を豹変させ、それまで味方だった籠池氏をあっさり斬り捨て、「籠池など知らない」と今度は司法を使って、邪魔になった籠池氏を罪人にすることをさせました。

籠池氏は、自分の与り知らないところで事が運ばれていたのが、今度は風向きが急に変わり、自分にもの凄い逆風が吹いたように感じたでしょう。

事の張本人の安倍氏の命が昨年7月8日に奪われたことで、籠池氏へ吹いていた強風が収まるかもしれないと考えました。しかし、風は吹き続け、今回の法判断となりました。

籠池夫妻が、法の判断に不満を持ち、上告していましたが、最高裁でそれが棄却され、籠池被告は懲役5年、妻の諄子被告が懲役2年6カ月とされた判決が確定し、保釈中のおふたりは収監されることになる、と新聞の記事にはあります。

この判断を知った籠池夫妻は、連名で次のようなコメントを出したそうです。

国策捜査を司法が安易に追認したもので、到底承服できない。今後も再審請求などの手続きを含め、事実を明らかにするべく闘っていく。

人は運命に翻弄されて生きていくよりほかなさそうです。

安倍氏にしても、それまで犯した罪に対する天の裁きを受けるように、昨夏、命を絶たれました。

梶 芽衣子 – 怨み節 (1973) MEIKO KAJI – URAMI BUSHI

長い目で見れば、どんな人にも、運命は公平なのかもしれません。

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