今は放送業界でもデジタル化が進み、どんなシーンであっても、表現が可能となったでしょう。
しかし、それが今ほど進んでいない時代に作られたドラマを見ていて、どのように撮影されたのかわからないシーンに出会いました。
本コーナーでは何度となく登場させている、米国の刑事ドラマ『刑事コロンボ』シリーズのあるエピソードに登場するシーンです。
今現在、NHK BSプレミアムで毎週土曜日の夕方、『刑事コロンボ』シリーズが順に毎週放送されています。これまでに何度も放送され、そのたびに見ていますが、放送が始まると、また見てしまう習慣が働きます。
シリーズは全部で69話あります。このうち、1話と2話は、本放送が始まる前に、パイロット版として制作されたものです。
シリーズの放送も今週土曜日の放送は63話で、終わりが見えてきました。
このシリーズの61話『死者のギャンブル』(米国の初回放送:1992年11月22日|日本の初回放送:1997年10月3日)に、何度見ても撮影方法がわからないシーンが出てきます。私は録画して見ているため、気になるシーンがあったので、消さずに残しています。
このエピソードでは、ギャンブル狂いの甥が、フットボールチームのオーナーをする叔父に借金を断られ、殺すことを企みます。殺害方法は、叔父の愛車に手製のパイプ爆弾を仕掛け、叔父が車に乗ってエンジンをかけると爆発する仕組みです。
深夜に爆弾を仕掛けますが、あくる日の朝、日課のジョギングをしていた叔父が車にひかれ、死んでしまいます。殺そうと思った叔父が思いがけず死んでしまい、自分が爆弾で殺す必要がなくなります。
しかし、コロンボをはじめとする警察が伯父の家で捜査を始めたため、自分が仕掛けた爆弾を外すことができず、焦ります。
そうこうするうち、叔父の車を別の場所に移動する必要が起きます。しかし」、エンジンをかけたら爆発するため、甥は叔父の車のキーを自分が隠し持ち、キーがどこにあるか知らないを決め込みます(だったかな?)。
そうこうするうち、叔父の家に出入りする庭師が、キーを自分が預かっているといい、そのキーで車を移動するといって車に乗り込み、エンジンをかけてしまいます。
その瞬間、叔父の高級車もろとも、庭師が爆死してしまう、という話の展開です。
その場に、叔父のフットボールチームの関連のテレビ局が取材に来ており、爆発するとは思わず撮影していた映像に、爆発の瞬間が記録されます。
はじめに見てもらうのは、番組ではあとに出てくるシーンです。そのシーンの動画を下に埋め込んでおきます。
ニュース映像には、その場にいたコロンボも写っています。関係者に話を訊いているのです。コロンボの向かって右隣りにいるのが、爆弾を仕掛けた甥のハロルドです。
この動画に写る爆発シーンであれば、不思議に思うことはありません。爆死する庭師が車に乗り込んだあと、引いたカットに変わり、車が爆発するからです。
この場合の撮影は、庭師が車に乗り込むところを撮り、そのあと、庭師が車から降り、遠くへ避難したあと、リモートコントロールか何かで、誰も乗っていない車を爆発させ、そのシーンを撮影したでしょう。
それより前に流れるシーンが、何度見てもわからないのです。
本ページで最初に埋め込んだYouTubeの「コロンボ」チャンネルにある動画にも爆発シーンがありますが、その動画も、カットを切り替えています。
爆発があったあと、ニュース映像に車の爆発シーンが残っていることを知ったコロンボが、手がかりを求めて、そのビデオをひとりで繰り返し見ているシーンが出てきます。それが、私には謎なのです。
そのシーンの動画を下に埋め込みます。
いかがですか? このシーンは、庭師が車に乗って爆発するまで、カットを変えずに撮影されています。このカットを見る限り、庭師役の俳優が、爆発させる前に車から外に出たようには見えません。
いったい、どうやって撮影したのだろう? と私には疑問で仕方がないのです。それとも、私が何かを見落としているだけで、私以外の人には謎でも何でもないのでしょうか?