先月末、一年半ぶりに、ソニーのデジタルミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)のα7 IIを再度使い始め、半月ほど経ちました。
このカメラを再び使いたくなった理由は、本コーナーで書きました。急に、Logで撮影してみたくなったことです。

Logについては、そのカメラを一度手放すまでは、興味をもってやってみました。しかし、なかなか使いこなせず、私自身、動画はスチルの合間にする程度でしたので、撮って出しのビデオ風映像でもいいか、とキヤノンのミラーレス、EOS RPに乗り換えました。
とかく人間というのは、隣の青い芝生が気になる生き物です。Logが撮影できないカメラを使う人間が、Logを愉しむ人を知ると、自分でもやってみたくなったりするものです。今回の私がそうでした。
そんな経緯を経て、再びLogを始めましたが、一年半ぶりにやってみて、自分で簡単に使いこなせた気分になっています。といっても、すぐ上で書いているように、私はスチル撮影の合間に、家の愛猫や庭から見える風景を動画でお手軽撮影する程度の人間ですから、そんな程度の人間が「会得」した話、程度に聞流してください。
今回再びLogに興味を持ち、ネットの動画共有サイトのYouTubeで関連動画を上げている人の動画を見ました。その中に、参考になる動画を上げて下さっている人がいます。
結果的には、北海道にお住まいらしい「ハヤシ・ワタル」氏の動画がとても参考になりました。
特に参考になったのは、下に埋め込んだ動画です。その中でハヤシ氏は、ピクチャープロファイル(PP)の「彩度」設定をあらかじめ上限の【+32】にしておく、というものです。その部分から動画が再生されるように設定しておきます。
Logで撮影しただけの状態では、通常の動画に比べて彩度が非常に低くなっています。そこで、動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioなどで彩度を適正にすることになりますが、その場合、デフォルトで【50】の彩度メーターを最高の【100】程度にして適正になります。
それを、ハヤシ氏が教えて下さったように、あらかじめ【+32】にしておいて撮影すると、編集で彩度を変更しなくても、適正な彩度になってくれています。
また、彩度を【+32】にしておくことで、撮影するとき、ファインダーで見える被写体にも色がのっており、撮影段階から色味の確認もできて便利です。
もしもその設定をせずに撮影すると、被写体の彩度は異常に低く、コントラストが弱いモノクロームやセピアカラーで撮影するような感覚です。
ともあれ、彩度を上限に設定するようになり、撮影も色編集も格段に楽になります。
私はカラーグレーディング(カラグレ)を積極的にするつもりは、今のところありません。私のソニーα7 IIの色味が個人的には好きですから。
私は前にLogに興味を持った頃、YouTubeにはそれ関連の動画が多数上がっていましたが、その頃の流行りなのか、米国の作品の影響を受けた、「ティール&オレンジ(Orenge and Teal Look)」というのが目につきました。
これがどんなものかといえば、人の肌(スキントーン)をオレンジ色気味にし、背景や暗部を青緑色気味にするというものです。オレンジ色と青緑色は補色の関係に近く、それを使って色作りをした映像制作者がいたのでしょう。
個人的には「ティール&オレンジ」がそれほど美しくは感じません。古典絵画の影響を強く受けていますので、陰の部分は伝統的なアンバーを好みます。
本コーナーで何度か、参考の動画として、米国の刑事ドラマ『刑事コロンボ』の動画を紹介し、米国ではどのような色作りをしているのか紹介しながら、自分でもどうしたらそのような色合いになるのか、考えました。
上に埋め込んだのは『刑事コロンボ』シリーズ37作目(パイロット版2作を含む)「さらば提督」(米国の初回放送:1976年5月2日|日本の初回放送:1977年10月8日)です。
本シリーズは本来、はじめに犯人が犯行をするところから描く「倒叙」ですが、本作は違います。ロバート・ヴォーン(1932~2016)が出演しています。
その色味を端的にいえば、どの場面も、色味がしっかりのっていることです。登場人物が赤の服を着ていれば、その赤がしっかりした濃い色の赤に表現されています。
日本の映画と一言では決めつけられませんが、私のイメージでは、あっさりした色味の作品が多いように感じています。逆のいい方をすれば、邦画の作品は、彩度が足りないのでは、と思います。
で、Logで撮影した自分の映像を使い、彩度を高める方法を試しました。やり方はある意味簡単です。
本ページに埋め込んだ例題の動画について説明しておきます。私は画質にこだわらないため、1080p(1920×1080)の24フレーム(23.976fps)で撮影しています。
私のミラーレスは4Kでは撮影できません。できたとしても、私のは日記のような動画ですから、4Kで撮影するまでもありません。
動画を撮影したのは午後2時前後です。この光の状態の下、シャッター速度を1/50秒、ISO感度をISO1600(私のカメラでは、このISO感度が、Log撮影するときの最低ISO感度)で撮影するのはかなり厳しいです。
そこで、ND64(光を1/64に減光)をつけ、レンズの絞りはf/10にしました。
シャッター速度については、もう少し柔軟に考えていいと思うようになりました。動きの少ない被写体であれば、より速いシャッター速度でも、パラパラした感じにはならないでしょう。
であれば、光の強い状態では速いシャッター速度を選ぶことで、NDフィルターの使用を最小限にして撮影できる(?)かもしれません。
このあたりは、テストして確かめてみましょう。
記録方式は、私のミラーレスでもXAVC Sで撮影できますが、一本ごとのデータ量が増えますので、AVCHDで撮影しています。しかも、ビットレートは標準の平均約17Mbps(ビット毎秒)です。
私はDaVinci Resolve Stutioに取り込んだ映像で、変化させるのは明度(映像の場合は「輝度」というべきでしょうか。便宜上、明度を同じ意味合いで使わせてもらいます)だけです。
DaVinci Resolve Studioの場合は、明度の調整は「暗部・中間部・明部」の三つを調整するだけです。それぞれ、「リフト・ガンマ・ゲイン」の名で呼ばれます。
あとは、スコープの「パレード」で白飛びと黒潰れがしていないか確認しながら、明部から暗部まで撮影データを目一杯使うようにするだけで、「平均的な色彩」にすることができます。
ただ、それによって得られた映像と『刑事コロンボ』の映像を見比べると、彩度が足りないように感じます。
全体の明暗差を保持したまま、彩度を上げるには、「中間部のガンマ」を下げていくだけです。下げれば下げるほど彩度といいますか、色の濃さが増し、『刑事コロンボ』の映像に近づきます。
Logで撮影するときは、彩度を上限にし、色編集といいながら、実際には色味は変えず、明度を適正にするだけで、Logの色関係の編集は終わりです。実に簡単です。
その上で、もしも『刑事コロンボ』のように、色を強く出したかったら、明度の中間部のガンマを下げるだけです。
私は人間を使って試していませんので、これがこのまま人の撮影に適しているかどうかはわかりません。機会があれば、実際に撮影と編集をし、問題点があれば、見直すことにします。
以上、映像に関しては素人の私が、私なりに「会得」したつもりになっているLogの扱いについて書いてみました。
私がわざわざミラーレスを使って動画を撮るなら、Log撮影を選びますね。ビデオのような動画で良いなら、ビデオカメラで撮影すればいいです。手軽に扱えますから。

本更新の最後に、私がカラコレとカラグレっぽいことをする様子をキャプチャした画像を作りましたので、下に埋め込んでおきます。