奇跡的に美しい村の紀行番組

世界には実に様々な土地があり、そこに暮らす人々がいます。

あなたは「チンクエ・テッレ」という地方があることを知っていますか。世界の秘境を好んで旅をする作家の村上春樹1949~)であれば、意外なほど野性的な面を持つ彼ですから、この土地はすでに知っており、もしかしたら実際に訪れたことがある(?)かもしれません。

私は旅行をほとんどせず、未だに日本を脱出したことがありません。今後もこのまま日本に留まって一生を終えそうです。ですから、映像や文章で紹介される土地を、映像で見たり、文章から想像するだけです。

「チンクエ・テッレ」とは、イタリア語で「五つの村」の意味を持つそうです。長靴の形にたとえられるイタリアの北部に位置し、海に面す五つの岬にはそれぞれの村があり、人々がそこで暮らしています。

私は、今週の水曜日の早朝(午前5時から)NHK BSプレミアムで放送された「桃源紀行」という番組を見ることで知りました。

世界の国々や土地を訪れる番組は数多くありますが、今はバラエティ化に毒されたものが多く、期待して見ると、タレントがはしゃぎまわる様子に興醒めさせられるばかりです。

私はこの番組枠は初めて見ましたが、タレントは一切登場せず、現地で撮影してきた映像と現地の音声、それにナレーションだけで構成されており、落ち着いて見ることができます。

その日の番組表を事前に見て、何となく興味を引かれ、いつものように録画して見ました。今回の番組は、2017年7月22日に初回の放送をしたそうです。

この土地は、11世紀頃、ジェノバ共和国の防衛を担う要塞都市の歴史を持つそうです。地中海に面した岬は高い断崖で、海から陸地へたどり着くことは不可能のように見えます。

陸路でこの地に到達するのも困難で、少数の人々が暮らしてきたようです。

現地の案内役として、標高100メートルにあるコルニリア村で50年暮らすという髭面のかっちりした体のグイド・ガレッティという男性が番組のはじめから終わりまで登場します。

グイドは農業と漁業をしてこの村に暮らし、妻と育ち盛りの息子がふたり、それから猫が一緒に暮らしています。

この村の住民は200人ほどで、五つの村の中で最も狭いため、村人はみな顔なじみです。

それにしても、この村は絵になりますね。

高い断崖にへばりつくように、カラフルな家が密集しています。村の中は坂が多く、400段もの階段を上らないとたどり着けないため、外からこの村にやって来る人は限られるようです。

コルニリア村を含め、次の五つの村があります。

私がこの番組を録画して見ようと思ったのは、この土地に興味を持ったことはもちろんです。そのほかに、私は映像に興味がありますので、紀行番組がどのように撮影されているかにも関心を持ったことがあります。

それこそ、昔の「新日本紀行」19631982)の時代であれば、撮影機材は16ミリフィルムを使うカメラに限られていました。その後ビデオカメラが登場しました。

そのカメラは、テレビ局が使う肩に担いで使う大型のものが主であったでしょう。

映像を見ただけでの想像ですが、おそらくはこの番組の撮影は、以前の大型のビデオカメラで撮影したのではないのでは、と思います。

この番組が初めて放送されたのは5年ほど前ですが、その頃には、スチルを撮影するためのカメラでも動画の撮影が行われるようになっています。それらも利用するか、あるいは、ほぼそれだけで撮影しているかもしれません。

紀行番組の撮影であれば、機動性を重視し、民生用に開発されたビデオカメラでも用をなすのではないか、と私は考えたりします。

今は個人でも、映像に凝る人は、撮像素子の大きなミラーレス一眼カメラを使ったりします。私はそんなカメラで撮影することもありますが、今もビデオカメラを愛用しています。

私が使うのは、2013年に中古で手に入れたキヤノンのiVIS HF F41です。このカメラには、35ミリフルサイズに換算すると、約43.6ミリから436ミリ相当の焦点距離をカバーする10倍のズームレンズがついています。

キヤノンのビデオカメラ iVIS-HF-M41

カメラ本体とレンズがコンパクトに収まり、どこへでも気楽に持ち出せ、400ミリ以上の望遠で撮影することができます。同じことを、撮像素子の大きなミラーレス一眼カメラでやろうと思ったら、大掛かりになってしまいます。

撮れる映像は、撮像素子が大きいほど表現力を増すでしょう。しかし、こと、色合いに関しては、編集段階でいくらでも修正できます。

「修正」といいますか、私にはそれが楽しみだったりしますね。

動画の編集には、Blackmagic DesignDavince Resolve Studioを使っていますが、この動画編集ソフトの売りである色の編集が優れており、それが簡単に、自己満足も含め、思うままに行えるように、時に勘違いし、それも含めて楽しんでしまえます。

キヤノンのiVIS HF M41で撮ったままの映像は、色合いの深みと面白味に欠けます。それを、動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioで、「料理」するのが、今の私の愉しみです。

使う素材は、家の庭で撮った我が家の愛猫や周りの風景で、誰に見せるわけでもなく、自分の愉しみのためにしています。楽しみのための色の「料理」ですから、自分で良ければそれでいいのです。

最近の私の愉しみの話に逸れてしまいました。

テレビで放送する番組の映像であれば、個人の愉しみ以外のことが要求され、気ままにというわけにはいきません。それであっても、装備を軽くし、楽しんで、撮影と色編集をすれば、見る人にその雰囲気が伝わりそうな気がします。

私が使うビデオカメラに搭載されている撮像素子は1/3型で、ミラーレス一眼カメラの撮像素子に比べれば、圧倒的に小さいです。

しかし、かつて放送局で使われた大型のビデオカメラに搭載された撮像素子は、だいたいその程度のサイズだったと聞きます。そのカメラで撮られた映像を見て、物足りなく感じたことはないです。

チンクエ・テッレのコルニリア村を訪れた番組は、案内役のグイド家と、息子の友人の家族が野外で食事会をする場面で終わります。もしかしたら、番組の撮影ために開いてもらったのかもしれませんね。

カメラは彼らからズームアウトしますが、そのズーミングが多少ぎくしゃくしているように私は感じられました。

桃源紀行「チンクエ・テッレ」エンディング部分

その場面は、本来はスチル撮影用のズームレンズを使ったのでしょう。レンズには、ビデオカメラのような電動ズームはついておらず、手動でズームさせたのでしょう。

ビデオカメラのズームレンズで撮影すれば、違和感のないスムーズな撮影ができたものと思います。こればかりは、あとで修正のしようがありません。

旅をするのが好きな人であれば、番組で紹介されたチンクエ・テッレを訪れたくなるでしょう。ワイン好きの人には、この土地にしかないという幻のワイン「シャケトラ」が待っています。

ドキュメンタリーVendemmia:Sciacchetraのプロフィール

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