野球は「アバウト」なスポーツといえましょう。
一球ごと、一プレーごとの判定をするのは、審判員の眼です。精神が安定しているばかりとはいえない人間の眼で、投手のストライクとボール、セーフとアウト、そして、フェアとファウルなどを判定します。
審判員が人間である以上、百パーセント正しい判断を下せるわけではありません。そのため、ときに、プレーする選手に泣き笑いさせることを起こす判断をします。
今は高校野球の選手権大会の予選が全国各地でたけなわです。22日に実際に行われた試合中に起きたことを振り返り、審判員の判断が確実ではないことを確認しておきます。
プレーする選手や審判員を非難するのが目的ではありません。また、固有名詞は用いず、地区や高校名にはアルファベットを用います。
A県では22日、準々決勝の4試合が行われました。この試合に勝てば準決勝に駒を進めることができ、夢の甲子園がまた一歩大きく近づきます。
4試合のうちの1試合は、B高校とC高校の対戦でした。先攻がB高、後攻がC高です。
試合展開は、8回裏に後攻のC高が3対3の同点に追いつきました。
アクシデントは9回表に起きました。
先攻のB高が、1アウト3塁、2塁のチャンスを作り、打者のカウントは2ボール、2ストライクです。
その場面で投じられた球を打者のバットが弾き、3塁線の微妙なコースへ、鋭いライナー性の打球として飛んんでいきました。テレビカメラはその場面を広い画角で撮影していたため、打球や3塁手の動き、3塁塁審の動きはよくわかりません。
ボールはファウルゾーンへノーバウンドで飛び、3塁塁審は両手を上げてファウルボールのジェスチャーをしました。
3塁塁審の判定に従えば、カウント2-2から試合再開するところです。が、ここで問題が発生します。
球審が試合を止め、審判員全員が内野グラウンドに集まり、直前のプレーと3塁塁審の判定について協議を始めました。そのあと、球審は、バックネット裏の本部席にいる仲間の審判員ら(?)であろう人数人の考えも訊き、判断を下しています。
球審がマイクで、判断の結果を説明しました。
問題の打球を3塁塁審はファウルと判定したものの、打球が3塁手のグラブに触れたあとファウルゾーンへ飛んだようです。
私は試合を録画してあったため、問題の場面を再生して確認しました。
私が見る限り、3塁手のグラブにボールは当たっていないように見えます。もしも当たったのなら、打球の勢いが急激に落ちるはずですが、落ちた様子は見受けられません。
打球はファイルゾーンを飛び、3塁塁審の左足首の少し上のあたりに当たっています。3塁塁審の左脚は、フェアとファウルを分ける白線を踏んでいましたが、当たる直前にファウルゾーンに左足を動かしています。3塁塁審の左脚を直撃した打球は、向きを急激に変え、手前方向に転がっています。
何度再生させても同じように見えます。
球審は、3塁塁審のファウル判定は覆し、2塁打としました。これにより、3塁と2塁にいたランナー2人がホームインし、B高に2点が加点され、5対3のスコアとなりました。
また、打者は2塁までの進塁を認め、1アウト2塁から試合が再開されました。
私は野球規則がわかりません。ですので、審判員の判定訂正に従うよりほかありません。
このプレーと判定が大きな影響を与えたことはわかりますが、私は実は、その直前の球審の判定が、このアクシデントを生んだように感じています。
カウント1ボール・2ストライクで、C高の投手は、内角に鋭いボールを投げ込んでいます。B高の打者は、ホームベースに近いところに立ち、ホームベースに覆いかぶさるような構えをし、内角攻めを防いでいます。
しかも、この打者(左打者)の癖なのか、ボールが近づくと、右脚を一度浮かせ、内角に右足を移動させて踏み込みます。その動作により、内角の球は右脚に当たりやすい傾向が高くなります。
それでも、内角低めを狙い、ほぼ思い通りのコースに投げ込みます。しかし、球審の判定はボールでした。
結果論ですが、この投球を球審がストライクとしていれば、打者を三振にとることができ、問題のプレーは起こらずに終わったことになります。
実は、カウント1ボール・1ストライクから投げ込んだ3球目も、4球目とほぼ同じコースに投げ、その球はストライクになっています。
2球続けて同じコースに投げ、投手にとっては勝負球だった投球を、二度目にはボールにされ、そのあと、ライナーの打球が、両チームの悲喜劇を生んでしまったのです。
球審がストライクと判定したボールと、ボールと判定したボールの映像を比較してみても、素人目にはほとんど違いがない(?)ように見えます。
ストライクと思ったボールを球審にストライクといってもらえず、守っていた遊撃手と二塁手が苦笑いしています。
甲子園の選手権を見ていても、球審の一球のボール判定が、重大な結果につながることが少なくありません。
一球に泣き、一球に笑うのが野球というゲーム、といってしまえばそれまでのことですが。
本更新は、影響を与えないことを確認してから更新することにします。