あなたは自分の声が好きですか?
自分の声を自分で聴くには、声を録音しなければなりません。今は、スマートフォン(スマホ)で簡単に録音できるでしょうから、確かめるのは簡単です。
私が生まれて初めて自分の声を聴いたのは、ずいぶん昔です。その時代、まだカセットテープがなく、オープンリールに巻かれた録音テープを使う家庭用テープレコーダーを我が家で買いました。レコーダーにはマイクが付属されており、それに向かってしゃべり、自分の声を録音しました。
初めて聴いた自分の声が、自分の声のように聴こえませんでした。それで、自分の声を録音するのが好きになれず、好んで録音するようになったのは、PCを使い出した1999年5月以降です。
私は昔から映像が好きで、8ミリ映画で身の周りのものを撮影しては、映写するのを楽しみにしていました。こんな私でしたから、デジタル技術を使えば、撮影したビデオの映像をPCのソフトで編集ができ、しかも、ネットに自分が作った動画をアップロードできることも知りました。
まだ、YouTubeなどなかった時代です。
その頃から、私は動画を作り、本サイトで紹介するようなことを始めました。
その動画作りの過程で、映像に合わせた語りを自分でしました。そのようにして、自分の声を自分で聴く環境ができ、自分の声に拒否反応を覚えないようになりました。
動画を離れても、声だけで何かを話し、音声ファイルにして本サイトで紹介するようなこともしました。こうして、自分で自分の声を聴く機会が増えるのと同時に、自分の声を録音すること自体に楽しみを覚えるようになりました。
その長い延長線上で、ZOOMのF2というフィールドレコーダーに出会ったことになります。
非常に小さなレコーダーで、付属するラベリアマイク(ピンマイク)を胸元につけて話す私の声が、手軽に録音できます。しかも、このレコーダーには、32bit floatという画期的な技術が搭載されており、私の場合はiZotopeのRX 9 Standardというソフトを使いますが、どんな大きさで録られた音であっても、音の編集段階で、自分が求める大きさに自由に変更できます。
まるで夢のようなレコーダーとマイクです。いろいろ試した結果、F2とF2に付属するピンマイクを使って録るのが、最も手軽に、良好な声を録れることがわかりました。
今はもっぱら、江戸川乱歩(1894~1965)の随筆を朗読し、それを上のコンビで録音し、RX 9 Standardで聴きやすい音声ファイルにすることを一番の楽しみとしています。
本日もまた、乱歩の随筆を朗読して音声ファイルにしましたので、下に埋め込んでおきます。今回の朗読分では、乱歩が自分自身に関することなら何でも蒐集し、それを保存した貼雑年譜(はりまぜねんぷ)について書いています。なお、今回の随筆は、昭和30年(乱歩60歳の年。亡くなったのは70歳)に書かれたものです。
本随筆に登場する単語
- 西鶴
- 浮世草子
- 八文字屋本(はちもじやぼん)
- 好事家(こうずか)
- 主客転倒
- 史下(私は「しか」と読みましたが、正しくは何と読むのかわかりません)
- 引札(ひきふだ)
- 貼雑年譜(はりまぜねんぷ)
- 春陽堂(しゅんようどう)