相変わらず、自分の声をいかに良く録音できるかの実験をしています。
昨日は、下に貼った写真のように、簡易録音システムを作り、試してみました。
録音にはZOOMのフィールドレコーダー、F2を使い、マイクは、カメラ用のマイクとして購入したVM-Q1を使ってみることにしました。
マイクをグリップのようなものに取り付けていますが、このグリップは、その昔、8ミリビデオに小型のビデオライトを取り付けるために購入したものから、グリップ部分を取り外したものです。
グリップ状の部品の底部には、三脚に取り付けるためのネジ穴があるので、ミニ三脚に取り付け、マイクスタンドのように使うつもりです。

このマイクを録音に使うときは、強風も防ぐことができそうな風防をつけます。
この実験をして、マイクには、それぞれ特徴があることを、実感しました。
実験をする前は、F2に付属するラベリアマイク(ピンマイク)よりも低音で録れることを予想しました。ところが、録音した声を聴くと、ピンマイクで録った声よりも、低音がカットされ、澄んだ声に聴こえました。
文字で書いただけではわからないと思います。そこで、マイクで録音した声の実験に使っている江戸川乱歩(1894~1965)の随筆の一部分を、それぞれのマイクで録音した音声ファイルを下に埋め込んでおきます。
比較のための朗読に使ったのは、変装について語った次の部分です。
人間 は 心 の 奥 に、 現実 の 自分 と 全 くち が つた もの にな つて 見 たい 願望 を 持つ て ゐる。 古来 の 文学 の 中 に「 変形 譚」 といふ 一つ の 系列 が 存在 する のが、 その 証拠 で ある。
江戸川乱歩. 江戸川乱歩 電子全集19 随筆・評論第4集 (Kindle の位置No.12710-12711). 株式会社小学館. Kindle 版.
それぞれ、F2ろレコーダーに使い、32bit floatで録音しています。
その音声ファイルをPCに取り込み、iZotopeのRX 9で、ラウドネスレベルやノイズ除去など、同じ処理をしています。
ピンマイクを取り付けた位置は、シャツについているボタンの上から2番目あたりです。ピンマイクは無指向性で、どの角度からも同じ感度で音が拾われる構造になっています。
2番目はVM-Q1で録音したものですが、このマイクは、専門的にはスーパーカーディオイドとされるものでしょうか。専門的な話は、桜風涼(はるかぜ・すずし)氏(1965~)に訊くのが一番だと思います。
ともあれ、マイクの先端方向により強い指向性を持つ構造です。
風に吹かれてもボコボコといった音を拾わないよう、動物の毛のように似せたものが密集した風防をつけて使っています。マイクの先端を口に向くようにして、グリップを左手で握って朗読しました。マイクの先端と口との距離は、おおよそ15センチぐらいです。
このマイクの実験をしたあと、もうひとつ試したマイクがあります。それは、F2のマイクジャックに直接挿して使える、audio-technicaのAT9912というマイクです。
マイクの先には、スポンジの風防がついています。

マイクの先端が口元に向くよう、F2を手に持って録音しています。その録音結果の音声ファイルを下に埋め込んでおきます。
このマイクは単一指向性で、先端方向の音を主に拾う構造です。口までの距離は、VM-Q1とほぼ同じ15センチ程度だったと思います。
マイクの風防が、VM-Q1の毛とは違い、スポンジであるためか、息が吹きかかる音を敏感に拾っている感じです。
三つのマイクを試した中では、自分でも意外でしたが、F2に付属するピンマイクを顎の下に取り付けて録音した声が、最も低い声を拾っていて、個人的には良い音に聴こえました。VM-Q1は、私の声をやや高音寄りに変え、すっきりした聴きやすさでは、こちらが勝るかもしれません。
関心のない人にはどうでも良いことを、私は試し、自分なりの判断の材料にしています。