縦動画が新時代の要求?

本サイトには、私が毎日クロッキーを描く様子を動画にして紹介するコーナーがあります。それを始めたのは3月13日です。昔、同じコーナーがありましたが、久しぶりに、今度はデジタル機器を使ったコーナーとして再開しています。

そのコーナーに上げる動画を、本日、手直ししました。

ネットにある動画の多くは、画面のアスペクト比が16:9の横長です。テレビ番組が地上波の放送に切り替わってからは、横長の画面がスタンダードとなり、多くの人に馴染んだアスペクト比となりました。

横に広がる風景を写した映像であれば、横長の画面が活きます。しかし、私が先月に始めたクロッキー動画は、立ち姿のモデルを縦長に描くため、横長の画面の両サイドに空間ができ、横長の画面は好ましくありません。

そんなことを考えていたところ、昨日の日経新聞に「縦型動画 スマホに最適化」の見出しで記事が載り、興味を持って読みました。

私はスマートフォン(スマホ)は持っていませんが、それを使う多くの人は、写真や動画を撮影する時、スマホを横長にせず、縦長で撮影します。

昔から写真や映像の撮影を楽しんできた私には、はじめ、そのことが理解できませんでした。

2000年に亡くなった私の姉が残した娘(姪)が、新コロ騒動が始まる前年だと記憶しますが、フランスへ旅行に行きました。帰って来てから、ルーヴル美術館内で彼女がスマホで撮影した動画を見せてもらいました。

姪もスマホを縦長にして撮影していました。

私がスマホで写真や動画を撮るのであれば、より大きな画像や映像に撮れるよう、横長にして撮影するでしょう。

写真や映像を趣味にする人は、スマホでも、横長にして撮影するかもしれません。しかし、その趣味をそれまで持たず、スマホではじめてそれらの撮影をする人は、手に持った縦長のまま撮影してしまうのでしょう。

撮るだけでなく、そんな人たちは、ネットに上がっている動画を見るのも、縦長で見るのが標準(?)のようです。

そうした需要を逆手に取り、はじめから縦長で動画の製作をすることが増えている、と日経は記事で伝えています。

俳優の窪塚洋介1979~)が出演するネット向けのドラマに「知ってるか?このようの中に唯一変わらないことがあるって」があるそうです。これは、LINEが2021年7月から10回にわたって配信しているそうですが、縦長の画面で作ったドラマだそうです。

そのドラマの監督をした映像作家の柿本ケンサク1982~)が、縦型動画を制作することで気づいた魅力を次のように話しています。

縦型は証明写真のように人物がフォーカスされるので主観的な映像になる。(役者の演技から差し迫った空気が強く伝わり)心情を描写するのに、かなり向いているメディアだと感じた。

私は油彩画を描きますが、油彩画用のカンヴァスも、横長と縦長があります。カンヴァスの場合は自分で縦長でも横長でも選べますが、私は縦長の画面が好きです。

今回のクロッキーがそうですが、立っている人間を横長の画面に描くと、人物の左右に空間ができ、カメラのレンズでいえば、広角のレンズを使うのと同じ感覚です。

私は写真撮影でも縦位置構図が好きですが、立っている人間の上半身などに縦位置構図で近づけば、被写体を画面いっぱいに入れることができます。

同じ理屈で、動画の場合も、縦長の画面にすれば、必然的に登場人物を画面いっぱいに入れることが多くなり、その結果、登場人物の心情が、見る人にダイレクトに伝わりやすいという話は頷けます。

前から考えていたところに日経のこの記事を読んだことで、クロッキー動画を縦長にすることを考え、本日の更新から変更しました。

クロッキーを描くのに、私は”Painter”というソフトを使いますが、描くサイズは、縦が18センチ、横が12センチに設定してあります。録画ソフトで描く様子を撮影しますから、撮り終えた動画のサイズも12:18です。

録画した動画にテロップや音楽を入れて動画に書き出せば、そのまま縦型動画になりそうに思われるかもしれませんが、自分で設定しなければ、これまでのクロッキー動画のように、16:9の横動画になってしまいます。

私はこれまで、時間をかけずに動画を作るため、Windows 10にインストールされているビデオエディターというソフトを使ってきました。このソフトで縦動画にレンダリングできればいいのですが、それができません。

そこで今回からは、DaVinci Resolve Studioを使い出すまでメインで使っていたVegas Proで編集し、縦長の動画でレンダリングするよう、昨日、設定しました。

書き出す動画のサイズは、カスタムで設定しています。

1080pの動画は、横が1980、縦が1080です。そこで、縦を1080のままにして、横を720に設定しました。

また、ビデオエディターで使っていたB.G.M.が使えないので、YouTubeのオーディオライブラリーから”Island Dream”という音楽をダウンロードして使っています。アーティストはChris Haugenです。音楽の長さが動画より短くなることがあるため、目立たないようにつなげて、オリジナルの音楽を長くして使っています。

本日は、動画の作り方を替えたことでいつもより時間が長くかかりました。すぐに慣れ、今まで同じように、クロッキー動画を手軽に作れるようになるでしょう。

ネット動画共有サイトのYouTubeも、時代の要求に応え、今後は縦動画が増えたりするのでしょうか。

本日参考にした日経の記事によれば、国内のスマホ動画市場は拡大基調が続き、2020年の推計では、動画市場の全体の規模が2635億円だそうです。しかし、それに占めるPCでの動画視聴は319億円にとどまるとあり、早急な対応が求められる状況にあるともいえましょう(?)。

そう遠くない将来、YouTube動画の主流が縦動画になるのであれば、YouTuberが使う撮影機材にも大きな影響が及びそうです。

それにつれ、縦動画撮影の新たなノウハウが生まれ、これまでにない表現が生まれることになるかもしれません。

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