デジタルカメラ(デジカメ)やスマートフォン(スマホ)で動画の撮影ができるようになったことで、動画撮影が一般的になりました。
本コーナーで何度も書いているように、私は動画撮影が一部の人に限られていた大昔から、映像には人一倍強い興味を持っています。
その分、最近になって動画撮影を始めた人に比べて、動画に関する知識が深いかというと、そんなこともないです。私も、デジタルの時代になって改めて認識したこともあります。
民生用ビデオカメラが登場する前、普通の個人が映像を撮影出来たのは8ミリ映画です。8ミリ映画用のフィルムが市販されていました。方式は、コダックが開発したスーパー8方式と、富士フイルムが開発し、富士フイルムのみでその方式のカメラを販売していたシングル8方式がありました。
私は、凝った撮影ができそうなシングル8を選び、道楽として楽しみました。
8ミリ映画を撮影する時の撮影コマ数は、通常は毎秒18コマです。
デジタル時代の今は、コマといわずにフレームといい、1秒間に撮影するフレーム数をフレームレート(fps)といったりします。意味するところは同じです。
ちなみに、商業映画の場合は、毎秒24コマで撮影します。
こうしたことは、8ミリ映画を日常的に撮影していたので、常識として知っていました。
しかし、それを愉しんだ当時、シャッター速度はほとんど意識したことがなかったように思います。素人の私は、映像が写っていればよく、その仕組みまでは深く考えなかったからです。
ネットを使うようになって、初めて、映画のシャッター速度に興味を持ち、本コーナーで11年ほど前に取り上げました。
映像に特別興味が強くない人は、オートで動画の撮影をし、シャッター速度は気にしないことが多い(?)かもしれません。気にしなくても、それなりの動画が撮影できてしまいますしね。
ただ、シャッター速度に興味を持ち、自分がそれまでにオートで撮影した動画を見返すと、違和感を持つ動画があることに気がつくこともあるかもしれません。
たとえば、晴れた日の日中、強い太陽光の下で何か動くものを撮影すると、フレームとフレームのつながりが悪く、パラパラ漫画のように見える動画に仕上がりやすいです。そうした現象は、速いシャッター速度で撮影したときに起きます。
速いシャッター速度は、スチル写真の場合は有効です。たとえば、激しい動きをするスポーツ選手を高速シャッターで撮影すれば、動きの一瞬を止められる、といった具合にです。
高速シャッター速度が、動画の撮影では裏目に出てしまいます。一つひとつのフレームに定着した静止画が、動きを止めたように写っていれば、動画として見たとき、フレーム同士のつながりが悪くなり、パラパラと見えてしまうからです。
少し前、次の動画を本サイトで紹介しました。
この動画の趣旨は、シャッター速度ではなく、フレームレートの設定です。しかし、見ていて、疑問を持ちました。
走る電車のように、動きの速い被写体を撮影する場合、遅いフレームレートよりも速いフレームレートの方が滑らかな動画を撮影できると説明しています。それはシャッター速度の設定次第だろう、と私は考えました。
次の動画は、7年ほど前にアップロードされたものです。この動画でも、走る電車を撮影していますが、こちらは、シャッター速度を変えて撮影し、見え方の違いを検証しています。
撮り比べた動画を見ればわかります。速いシャッター速度で撮影した動画ほど、電車の動きがパラパラして見えます。一方、1/30秒で撮影した動画は、電車の動きが滑らかです。そのように写る理由はすでに書きました。
フレームレートの検証をする動画では、フレーム数が多いほど滑らかな映像になると話していますが、結局のところ、シャッター速度をどのように設定するかにかかっていると私は考えます。
フレームレートが、映画の24コマと同じように、24fpsであっても、シャッター速度を1/50秒にしておけば、パラパラ動画にはなりません。
フレームに写る静止画に被写体ブレが起こり、その結果として、人間の眼には残像が残り、動きが滑らかに見えるからです。逆にいえば、フレーム単位の静止画がシャープに写してしまうと、被写体ブレのない静止画が残像として残り、つながりが悪くなります。
フレームレートの検証をするなら、シャッター速度がいくつだったか説明しないと、動画を見た人に誤った知識を提供しかねません。
動画撮影においては、晴れた日の日中光下であっても、遅いシャッター速度が求められるため、レンズに入る光の量を減らすため、NDフィルターがどうしても必要になります。