一眼デジタル動画についてのあれこれ

映像好きの私は相も変わらず、デジタルカメラを使って、ああでもないこうでもない、と独りよがりの愉しみをしています。

このところは、YouTubeで関連動画を多数配信されています桜風涼(はるかぜ・すずし)氏(1965~)の動画を本サイトでも紹介しています。

桜風涼って誰だ? その経歴と次回予告『Batis全レンズのテスト実施』。Batis25mm F2のサンプル映像を背景に、色々語ります。巨匠篠田昇キャメラマンとの出会い、その弟子との交流。
本日の豆感想
桜風氏のYouTubeチャンネルですが、チャンネルに使われている画像の文字の配色はもう少し変えたほうがいいように正直なところ感じました。黒板を模した背景に赤い文字を載せていますが、文字がどぎつい色に見えます。白に近い赤に換えれば、ずっと見やすくなるでしょう。

そのきっかけとなった動画を、何度か繰り返し見ました。次の動画がそれです。

ベテラン映画キャメラマンに聞く、本当のシネマルックの秘密。絞りだけで表現する世界を見て学ぼう。

「桜風涼」というのはYouTuberネームで、もちろん、本名は別に持たれています。桜風氏が女性の声優と対談されている動画も見ましたが、その声優が、わざと(?)桜風氏の本名を続けて何度もいい、桜風氏から優しくダメ出しされる場面があったりします。

【面白い人にインタビュー】今回は声優で絵本作家で劇作家の富岡美羽さん。桜風涼のバカトークが炸裂します。女優の富岡さんのかわしぶり、ご堪能あれ。

桜風氏の動画の最後に、桜風氏が書かれた録音に関する本の紹介がいつもあり、気になったので、Amazonの電子書籍で読めるか確認しました。すると、Kindle Unlimitedのサービスを利用する人であれば、追加料金なしで読めることがわかり、私は今年の4月中旬までサービスを利用できる環境にあるため、昨日、早速読み始めました。

桜風氏は、30年ほど映像関係の仕事をされているそうですが、専門は、映画の場合は録音部、テレビであれば音声と呼ばれる仕事を主にされているようです。そのほかに、映画の脚本を書く仕事も並行してされるようです。

そんな桜風氏ですから、映像制作の現場の人とはつながりを持ち、本ページで紹介する動画では、ベテランの映画カメラマンである倉持氏に登場を願い、実際の撮影をデジタル一眼カメラでやってもらい、後半は桜風氏が、倉持氏に話を訊くことをしています。

撮影の実例は、室内と屋外で行っていますが、どちらでも、プロの映画カメラマンである倉持氏が選ぶISO感度に個人的には注目しました。いずれも、ISO160を選んでいるからです。

私は映画で使われるフィルムのISO感度は知りませんが、倉持氏はISO160のフィルムを使い慣れ、デジタル一眼で実例を示すときも、長年の経験でその感度を選んでいるのかもしれないと考えました。

映像づくりに興味を持つ人は、Blackmagic Design社のBlackmagic RAW(BRAW)ファイルで撮影できる一眼カメラを用いたりします。BRAWで撮影すれば、同社の動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioで色調を自分好みに換えることができます。

私はBRAWで撮影をしたことがありませんが、そのファイルの説明を読みますと、ISO感度は最も下げてもISO800だそうです。

私は、ソニーのS-Logで撮影したことはあります。この動画ファイルも、RAWほどではないものの、撮影後に自分で色調を編集できます。ソニーのS-Logの場合は、最も感度を下げてもISO1600でした。

フィルムに置き換えますと、日中のカンカン照りの下でも、ISO1600という高感度フィルムで撮影するようなものです。実際にやってみると、これが厄介でした。

しかも、動画を本格的にやろうとしますと、動画におけるシャッター速度の問題も出てきます。それについては、本サイトでも何度か取り上げました。最初に更新したのは、今から10年ほど前です。当時は、まだ、一眼カメラで動画を本格的に撮る人は今に比べて多くいませんでした。

35ミリのフィルムを使って撮影する映画は、毎秒24コマで撮影します。そのシャッター速度ですが、1/48秒といわれています。

その速度をデジタルの動画撮影にも当てはめ、1/50fpsや1/60fpsといったシャッター速度が好んで使われます。

晴れた日の日向で、最低ISO感度を1600にし、1/50秒で撮影すると、被写体が明るすぎて白く飛んで写ってしまいます。それを補うため、レンズの前にNDフィルターをはめ、レンズから入って来る光量を減らす必要があります。

こんな風に、ISO感度や遅いシャッター速度を強いられるRAWやLogによる動画撮影は、何かと手間がかかります。

しかし、そうした手間をかけてでも手に入れたいのが、デジタルで撮影しながら映画っぽく見える画質です。

途中までは私もそんな思いを持ち、自分なりにソニーのS-Logで真似ごとのようなことをしてみましたが、昨年の4月にそれを止めました。そのときに使うカメラをソニーから今のキヤノンに戻しました。

Blackmagic DesignのBRAWで撮る用途はあるでしょうが、個人が道楽でそれをやるのは、あまりにも非効率に感じたからです。私はソニーのS-Logでしたが、スチル写真の合間に愛猫を動画に収めるだけの私が、Logで撮影するためだけのために、NDフィルターをつけ外しするのが、とても面倒でした。

その結果として得られるLogファイルにしても、結局は、DaVinci Resolve Studioのカラー編集で、より本物らしい色に戻すだけで、それなら、はじめからそれらしい色で撮影した方が手っ取り早いと考えるようになったのです。

また、色の編集には落とし穴があります。

映像における色彩の調整を専門家が仕事としてするのであれば、問題が起きないでしょうが、素人が真似ごとで同じことをしますと、問題が起きやすいように思います。

自分が使うモニターで色彩の編集をすることになります。画面を見ながら、自分で見て良さそうに色合いにしますが、その色が、他の人のモニターで同じように見える保証がありません。自分だけで見ている分には自己満足で終わりますが、色彩の編集をした動画を、動画共有サイトのYouTubeに上げた場合、ある人にとっては、その動画の色調がおかしく見えることが起きかねません。

写真集が出せる写真家、ここが普通の人と違うぞ! 『プロ写真家とは何か』を対談の中で感じた桜風涼の反省と独り言です。

実際問題、長年、映像関係の仕事に携わる桜風氏は、別の動画で、YouTubeには「きったねぇ色の動画」がある、というように正直な感想をもらしたりしています。

そんなあれこれを考えるに、素人が道楽で動画を撮影し、それをたまにYouTubeに上げたりするのであれば、自分で色調の調整を自己判断でするよりも、撮ったままの動画に、せいぜい、明度の調節をするぐらいの方が、失敗が少ないのでは、という考えに私は落ち着きました。

私はスチル写真をRAW画像で撮影しますが、その場合も、明度を調節するだけで、色相彩度は一切変更しません。動画においてと同じ理由からです。

ちなみに、RAW画像を「現像」に使うソフトは、キヤノン純正ソフトの“Digital Photo Professional”だけを使っています。

デジタルカメラで通常の動画を撮影するのであれば、ISO100といった低感度から撮影でき、BRAWやLogのように、いきなりISO800とかISO1600といった、映画のフィルムであれば、光量のすくないところでの撮影に使われるようなフィルムと同じ高い感度の縛りからも解放されます。

あと、動画におけるシャッター速度にしても、1/50fpsや1/60fpsにこだわらなくてもいいように考えたりします。

本ページで紹介しているプロのカメラマンの動画でも、1/500fpsで撮影したりするところがあります。もっとも、それは、絞りを解放のF1.4にするため、便宜的にその速度にしただけかもしれませんが。

私は今朝、庭に出て、シャッター速度を変えて動画を撮ってみました。あるカットでは、ISO感度は160にし、絞りはF5.6とし、シャッター速度を1/800秒にしてみました。

被写体は庭から見える木々で、風で揺れていました。

再生させてみましたが、かくかくしたりするなど、おかしな映像にはなっていませんでした。もっとも、これも、撮る対象によって、見え方が違ってくるでしょうから、いろいろと試してみないと何ともいえませんけれど。

シャッター速度800分の1テスト

埋め込んだ動画は、上で書いた設定で撮影したものです。編集時に、ダイナミックズームの効果を加えています。また、私が作った色フィルターのようなルックアップテーブル(LUT)の”black & wthite”をあてています。

ISO感度とシャッター速度の縛りから解放されれば、動画の撮影が楽になります。

レンズの前には、余計なフィルターがないほうがいいのはわかりきったことですので、NDフィルターがないほうがいいのは明白なことです。

どんなことでも、面倒なことは長続きしません。私の場合は、面倒だから、今の考え方に戻っただけかもしれません。

一旦更新を終えたあと、思いついたことがありますので、追加で書いておきます。それは、撮影時の1フレームの記録サイズです。映画でいう1コマのサイズの話です。

35ミリフィルムで撮影される映画の1コマは、スーパー35といわれるらしいです。

本日の豆追記
最も下位のモデル”Blackmagic Poket Cinema Camera 4k(BMPCC4K)”は、35ミリフルサイズのちょうど半分の大きさになるマイクロフォーサーズ・サイズの撮像素子を搭載しています。

スチル写真における35ミリフルサイズは、スーパー35から見れば、1.5倍、キヤノンの場合は1.6倍大きなサイズです。

今、デジタル一眼カメラ(デジ一)の35ミリフルサイズで動画を撮る人は、映画の1コマより大きなサイズで撮影していることになります。といっても、電子手振れ補正を使っている場合は、補正のために、フルにサイズを利用できませんが。

Blackmagic Designのシネマカメラは、フィルムの時代のシネマカメラを意識してなのか、スーパー35で撮影するようにできています。それを考え、私も自分のデジ一で動画を撮るとき、今までは35ミリフルサイズを使っていましたが、今後はスーパー35にして撮ってみようか、と考えたりしています。すぐに気が変るかもしれませんが。

映画のスーパー35は、スチルのAPS-Cサイズとほぼ同じとされています。そして、私が使っているキヤノンのEOS RPは、動画をスーパー35にクリップしても撮影ができるのです。といいますか、逆にいいますと、4Kで撮影できるのは、APS-Cに限定されているのです。

その場合、フレームレートは23.98fpsになります。59.94fpsと29.97fpsでも撮影できますが、その場合は、記録サイズが1280×720になります。

私は焦点距離が24ミリから105ミリのズームレンズを使っています。

キヤノンの場合は倍率が1.6倍ですから、24ミリが38.4ミリ、25ミリが56ミリ、85ミリが136ミリ、105ミリが168ミリ相当の画角に変化することになります。これに加えて、電子手振れ補正を使うことで、画角はもっと狭くなります。

スーパー35で撮影したほうが、より映画っぽいかも、と考えたりしています。スチルはこれから先も、35ミリフルサイズで撮影します。出なかったら、EOS RPにした意味がないですから。

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