映画風味を求めるのもいいけれど…

相変わらず、道楽の動画作りで時間を過ごしています。

デジタル一眼カメラでも動画撮影ができるようになったことで、本格的に動画作りと向き合い、それをネットの動画共有サイトのYouTubeに定期的にアップロードするような人の中には、従来の動画ファイルでは飽き足らず、よりシネマティックに見えるという理由で、Blackmagic DesiginのRAW動画で撮影し、それぞれに色彩調整をしたりします。

私も昔から映像が好きで、一年ほど前から、DaVinci Designの動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioを使い、どうしたらデジタルティックな動画から、映画っぽい映像にできるのか、自分なりに試したりしました。

昨日、本サイトで、YouTubeで見つけた次の動画を紹介しました。

【ソニーαを捨てフジのX-T4に・後編】今回は「映画のプロが求めるシネマルックとは」編。背景ボケよりも重要な要素がFUJIFILMのカメラにはあるんだ!

動画でおしゃべりしているのは桜風涼(はるかぜ・すずし)(1965~)という人で、本動画でも話されていますが、30年ぐらい映像の製作会社を経営されている(?)ようです。ですから、映像作りのプロですね。

桜風氏自身も、デジタルカメラで動画が撮影できるようになると、すぐにそれを仕事に取り入れたそうです。

テレビで昔のテレビドラマを見て、今のドラマと画質が違うのに気がつくことはありませんか。わかっている人は、はじめから違いを知ってしますが、そうでない人も、気をつければ気がつきます。ビデオで撮影されたものと、ムービーフィルムで撮影されたものの画質は、明らかに異なりますから。

ここへきて映像に興味を持ち、デジタルの画質を映画画質に近づけたいと考える人は、どうしたらシネマルックに見えるか、研究したりします。

桜風氏がおっしゃることに、映画が映画らしく見えるのは、どうやらフィルムを現像するときに、ISO感度増感現像したり、減感現像したりすることが関係するのだろうということです。

たとえば、ISO400のフィルムをISO1600に増感したり、逆に、ISO800をISO100に減感したりといった具合にです。

その結果、色合いが自然なものと異なり、それが現実とは違う、映画の色に感じるのは、ということです。一方、ビデオカメラで撮った映像は、ほとんどが撮って出しですから、現実の色に近いです。また、質感もムービーフィルムとビデオでは違います。

私はごく短期間ではありますが、映像好きが高じて、テレビ映画の会社でカメラマンの助手の助手のそのまた下の助手のようなことをしたことがあります。昔々のことですね。そのときに、専門的なことを自分で知っておけばよかった、とあとになって考えたりします。

私は8ミリ映画を個人の趣味として楽しみました。8ミリ映画の場合は、スチル写真のリバーサルフィルムのように、撮影したフィルムを現像に出しますと、連続したスライドのように、そのまま映写機に掛けられるフィルムとなって戻ってきます。

ブルース・リーが主演・監督した作品『ドラゴンへの道』1972)の8ミリ・ダイジェスト版から冒頭シーンの一部を拡大表示しています。

私は商業映画のことは知らないため、商業映画のフィルムも8ミリフィルムのように、ポジフィルムで撮影し、それを映写機にかけて上映するのだと思っていた時期があります。

そんなわけはありませんね。商業映画はいくつもの映画館で上映しなければならず、1本きりのフィルムでは、どうしようもありません。映画の製作に使われるフィルムは、写真のネガフィルムのように、ムービーのネガフィルムで撮影し、編集を経て、作品になったらポジフィルムに焼き付けて、いくつもの映画館で同時期に上映することになるのでしょう。

現場を見たわけではありませんので、その工程は頭で想像するだけですが。

8ミリのフィルムということでいいますと、フィルムにはデイライト・タイプとタングステン・タイプの2種類があります。文字通り、デイライトは日中外で撮るときに使うフィルムで、タングステンは、電灯光での撮影に適しています。

仮に、タングステン・タイプのフィルムを日中外で撮影すると、どんな色に現像されるかわかりますか。全体に青味が強くなります。その原理を利用し、昔の映画やテレビドラマでもそんな使い方をしたでしょうが、日中、タングステン・タイプのフィルムを使って撮影し、夜の雰囲気を出したりします。

フランソワ・トリュフォー監督(19321984)の作品に『映画に愛をこめて アメリカの夜』1973)がありますが、この作品は映画の制作現場の裏側が描かれており、疑似夜景の撮影場面もあったように記憶します。

Day for Night (1973) – Filming “Meet Pamela” Scene (1/10 ) | Movieclips

私は1年ほど前から動画編集ソフトのDaVinci Resolve Studioを使っていますが、それを使うにあたり、それを使って動画作りの研究をしている人のYouTube動画をいくつも見て参考にさせてもらいました。

各人それぞれに色調の研究もしていますが、色作りにも流行のようなものがあるのがわかりました。たとえば、ハリウッドで人気とかいう、暗部に青っぽい色をのせ、明部の肌にはオレンジ色っぽい色にする「ティール&オレンジ」といったルックです。

ただそのルックが、自分が作る映像に合うのかどうかは別の話です。自分が登場して、カメラの前でしゃべるだけのYouTube動画であれば、何もわざわざ流行りのハリウッド色調に似せることはないでしょう。

本ページで紹介している映像の仕事を30年ほどされている桜風氏は、おそらくはYouTubeに上がっている動画を見て、「きったねぇ色」の動画があると正直に感想をもらしています。

このことは本コーナーで書きましたが、私はDaVinci Resolve Studioで色彩の調整をしますが、色の三要素のひとつである色相は変更しないようにしています。これを自分が見るモニターで変更してしまいますと、他の人のモニターでどのように見えるか、わからないからです。

私が調整するのは、色の三要素の残りの明度彩度だけです。これだけであれば、誰が見ても、変な色にはなりにくいです。

映画っぽい画質に見せようとして、色の淡い、スモークがかかったような画質を好む人がいますが、私のモニターでは、眠くて、彩度の低い映像に見えています。もっとも、それを作っている当人がそれを気に入っているのでしょうから、他人がとやかくいう問題ではありませんけれど。

桜風氏が同じ動画の中で話していますが、ムービーカメラの1コマのサイズは、スチルカメラとは違います。それはスチルとムービーで同じ35ミリ幅のフィルムを使うからといって、撮影の構造が同じわけではないからです。

このことも本コーナーで少し前に書いておきました。

スチルで、フィルムに撮影するときは、フィルムを横に移動させます。それがムービーでは、縦に移動します。ということは、ムービーの場合は、スチルのときの短い長さの側が横になって長辺になるということです。

つまりは、35ミリフルサイズの半分まではいかず、1/1.5(キヤノンの場合は1/1.6)程度になり、ちょうど、35ミリフルサイズよりひと回り小さいAPS-Cサイズとほぼ同じになります。

デジタル一眼で動画作りをする人は、35ミリフルサイズのカメラで動画を撮ったりしますが、シネマルックを目指すのであれば、それよりも、APS-Cサイズの方が、本来の1コマサイズに近いのではなかろうか、というわけです。

私は今、キヤノンの一眼カメラのEOS RPを使っています。これは、動画をAPS-Cにクロップして撮影できる機能が搭載されています。EOS RPで4K撮影するのなら、APS-Cでしか撮影できません。その場合のフレームレートは23.98fpsのみです。

35ミリフルサイズようのレンズでAPS-Cモードを選びますと、キヤノンの場合は、同じレンズが1.6倍望遠になったように見えます。たとえば、焦点距離50ミリのレンズが、80ミリのレンズのように見えるといった具合です。

小津安二郎監督(19031963)は50ミリのレンズを好んで使ったことが知られています。映画のスーパー35ミリサイズで50ミリのレンズを使いますと、中望遠になり、扱いにくくなかったのだろうかと考えてみたりします。

桜風氏が他の動画で話していることですが、DaVinci Resolveを使って、撮影後に色合いを変えるのであれば、どんなカメラで撮影するかは関係なくなる、というような疑問を示しています。

私も最近はそれを感じています。

色彩を変更することを前提に撮影するのであれば、何も大きなカメラを使ったり、面倒くさいことをして、RAWやLogで撮影することもあまり考えなくてもいいように考えるようになりました。

私の場合は、2013年に18000円の中古品で手に入れたキヤノンのビデオカメラでも撮影して見たりしますが、DaVinci Resolve Studioで調整してやれば、びっくりするほど良い色合いを得られたりします。

今朝は、そのビデオカメラを使い、プリセットされている映画風に撮影できるモードで試し撮りしました。プリセットのフィルターは全部で8種類あり、今日は、「ノスタルジック」というのを選びました。

撮り終えた映像を確認しますと、彩度が低く、明度が全体的に低くなっています。DaVinci Resolve Studioのカラーで調整してみましたが、明度が低いといっても、極端に暗いわけではなく、一番黒くなるはずのところがグレーっぽい感じです。

DaVinci Resolve Studioで調整すると、映画の表現のひとつである「銀残し」に近いのかな、と思ったりします。

ビデオカメラで撮影するのなら、私が使うカメラでは、オートで撮っておくと融通が利きそうです。

桜風氏の動画をいくつか見たことで、富士フイルムの一眼カメラで動画を撮ってみたくなりました。色作りが、フィルムメーカーらしく、他のメーカーの追随を許さないようです。もしかしたら、そのうちに、富士フイルムのカメラに入れ替えるかもしれません。

富士といえば、その昔、8ミリ映画でお世話になった思い出もありますしね。


本日分の付録として、今朝、ビデオカメラで撮影して作った動画を埋め込んでおきます。本日分で書いた設定で撮影し、DaVinci Resolve Studioのカラーで色彩の調整をしています。なお、Blackmagic DesignのLUTから”Blackmagic 4k Film to Rec709 v3″をあてています。

使用している音楽は、YouTubeのオーディオライブラリーで得た、The Mini Vandalsの”In Memory of Jean Talon”という音楽素材です。ギターの絃の振動が水面に伝わるようなイメージで、この曲に決めました。

YouTubeに上げた動画を再生させて見ますと、水面が風で出来た小さなさざ波の部分が、少しうるさく見えますね。基の動画のファイルサイズは30.0MBです。


DaVinci Resolve StudioにプリセットされているYouTube動画用設定で書き出したところ、水面にできたさざ波にブロックノイズが発生し、それがひどいので書き出し直しました。自分のPCに書き出された時点では、ブロックノイズが目立ちませんので、YouTubeのサーバ上でレンダリングし直された(?)のかもしれません。

ということで、今度はカスタム設定で書き出しました。画質は自動の【中】にしました。それで出来たファイルのサイズは233MBですので、上限の100MBを倍以上オーバーしています。

そこで、最近使い出した「動画圧縮のプロ」というソフトで「やや高画質」に圧縮しました。結果は、37.6MBです。ブロックノイズは目立ちません。これを、本サイトのためのサーバに上げておきます。


再度、同じ基動画をレンダリングし直しました。

試しに、カスタム設定で、画質を自動の【最高】にして書き出しました。できたファイルのサイズは398MBです。それを「動画圧縮のプロ」を使い、今度は「高画質」で圧縮しました。できたファイルのサイズは49.6MBです。

ワンショットムービー「水面」

これをYouTubeにアップロードしたら、YouTubeの方でネット用に最適化されて、さざ波にブロックノイズができてしまう(?)かもしれません。

動きが少ない動画であればYoutubeで問題ないでしょうが、ブロックノイズが出そうな動画の場合は、YouTubeにアップロードするのは考え物です。それを今回のショートムービーで知りました。

ともあれ、毎日のようにミニ動画を作ったりしますと、色編集も身につき、悪くありません。自己満足であることはよく承知しています。

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