道楽の枯れた愉しみ方

ごく一般的な生き方をする人は、特別残しておくべき写真はありません。ましてや、それが動画であればなおさらです。

それだから、デジタルカメラ(デジカメ)やスマートフォン(スマホ)が普及する以前、フィルムの一眼レフカメラや家庭用ビデオカメラを携帯して撮影にいそしむ人は限られました。

世の大多数の人で、その人が妻子のある人であり、写真やビデオに少しでも興味を持っていても、そんな人が写真やビデオに収める対象は、主に自分の子供の成長記録や、ペットを飼っていれば、その様子を収めるぐらいでしょう。

本日の豆ノート
私以外の家族は、写真にも映像にも興味を持たなかったです。義兄は今でも、スマートフォンで年に何枚かの写真を撮るぐらいです。関心を持つ人と持たない人がハッキリと分かれます。そういえば、作家の村上春樹も写真には興味をまったく持たないはずです。

日常的に、何かを写真やビデオに撮ることはないように思います。たまにカメラを持ち出すため、そのたびに使い方に戸惑ったりするかもしれません。

それが今は、スマホでも写真やビデオが撮影できるようになりました。その結果、ふとした時にスマホで写真や動画を撮る人が増えています。

それであっても、多くの人は、写真集や映像作品を作って発表することは稀です。自分で撮った写真さえあまり見返さないかもしれません。

そんな大多数の人の一方で、熱心に動画を作る人がいます。たとえば、ネットの動画共有サイトのYouTubeで定期的に動画を作って配信するYouTuberといわれるような人たちです。

動画の中身よりも見てくれを重視するYouTuberであれば、撮影のための機材にお金を惜しみません。その度合いが強まるほど、動画の画質は向上します。が、内容の深まり具合は、配信者次第です。

これがアンバランスになりますと、画質の向上に内容が追い付かず、ちぐはぐになります。

ちぐはぐであっても、動画作りに熱中する画質重視の人は、今はビデオカメラの代わりに、高精細な動画を撮影できるデジタル一眼カメラ(デジ一)を使い、背景をボカした映像を好んで撮影したりします。

私も写真や動画には昔から強い興味を持っています。

写真はフィルムの時代から撮り続けていますし、動画は、8ミリ映画の時代からムービーカメラを廻しています。とはいっても、それを仕事にするわけではなく、単なる道楽です。いくら撮影しても、一円にもなりません。

それどころか、フィルムの写真や8ミリ映画を撮影すればするほど、フィルム代や現像代が嵩むだけでした。

私の場合は撮る対象が昔からちっとも変化していません。十年一昔どころか、ん十年一昔で、ずっと同じ対象ばかり写真や動画に収めています。

これで、私にも妻子がいれば、子供や妻を被写体にしたでしょうが、独身のまま生きてきてしまったため、そんなこともできません。勢い、カメラは自分以外の家族に向かう以外なくなり、自分の子供の代わりに、姉夫婦の娘を盛んに撮影したりしました。

姪も結婚して今はママさんになっており、被写体になってもらえません。

その代わりではありませんが、こちらも昔から一貫して撮影する我が家の猫たちにモデルになってもらっています。昔から現在まで、時代時代で入れ替わる猫たちに飽きもせずにカメラを向けています。

そのような対象を撮影しているのですから、それらの写真や動画が溜まっても、作品に昇華することはありません。結局は私の道楽で、自分独りで愉しむだけです。

YouTuberといわれるような人で、自分の姿を出して毎日のように新たな動画を配信する人は、デジ一を使って自分の姿をカメラで撮り、自身がカメラの前で何かを話しています。

しかしそれも、私が身の周りの猫たちを飽きずに撮影するようなもので、果てがありません。違うのは、私は撮って自分で満足するだけのなのに対し、YouTuberは動画にしてネットで配信することです。どちらも、どれほど意味のあることなのかはわかりません。

生前、写真を道楽にした人が加齢によって亡くなり、遺品を整理する家族のことがたまに話題になったりします。多くの場合、故人が生涯のほとんどの時間費やして残した写真であっても、それを保存せず、処分したりすると聞きます。

世に認められた写真家や映像作家であれば、残された写真や映像作品は大切に保存されるでしょうが、所詮道楽でした人のそれらは、当人の死と共に存在価値を失います。

そのことを頭でわかっていても、高画質に拘る人であれば、無駄に高価な機材を揃え、より高画質な画像や映像を残そうとします。

YouTubeであれば、そのサービスが続く限り、動画サーバに上げた動画は、YouTube側の都合で削除されない限り、残り続けるかもしれません。それでも時が経てば、誰にも顧みられない動画として忘れられていくでしょう。

結局のところ、それがYouTuberであっても、道楽で撮影する人と変わりなく、行きつくところは自己満足です。

高画質を追及するのも自己満足ですから、他人がとやかくいえるものではありません。いえるのは、どうぞお好きに、です。

私も、道楽を好きにやらせてもらっていますが、私の場合は、これは昔からですが、画質にこだわりがありません。ビデオデッキでテレビ番組を録画していた頃も、標準速度で録画するより画質が3倍劣る(?)3倍速で録画し、不満に感じることもなかったです。

その傾向は、デジタル録画の今も変わりません。今は、5倍速で録画しており、満足しています。

そんな私は今、家庭用ビデオカメラの画質を見直しています。

デジ一で動画を撮ったりもしますが、結局はより画質の良い動画ということだけで、撮る内容が限られることもあり、だからどうなのという気になります。高画質に猫の動画を撮影してもなぁ、と。

そんな考えが自分の頭の中でぐるぐる回り、今、吹っ切れた気分です。写真はデジ一で撮り、動画は家庭用ビデオカメラで撮ればいい、と。画質に拘らない私には、これが一番楽な形態です。

どうせ、どんなに撮影しても、自己満足でしかないのであり、当人が死んだあとはゴミになるだけでしょうし。

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