今日は、先日(26日)東京・渋谷の渋東シネタワー2で見た映画『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』についてちょっとばかり書いてみることにします。
その日実は他に目的があり、時間潰しのために見たようなところもあります。しかも、上映途中から見始め、途中で出て来てしまったため、全体のストーリーの流れが今ひとつ、よくつかめていなかったりもします。
それはともかく、今回の作品をどうしても見ておきたかったのには理由があります。それは、その撮影において、従来のフィルムによるムービーカメラは一切用いられず、全編デジタルの撮影システムを導入したことを聞いていたからです。
で、実際に劇場の大スクリーンに映し出された“デジタル映像”に対面したわけですが、私はそれを目で追いながら、以前読んだジョージ・ルーカス監督(1944~)の自信たっぷりな言葉を思い出していました。
私は二度とフィルムで映画を撮ることはない。この作品でフィルムを使っていないと気づく人は99パーセントいないだろう。
私は見る前からそのことを知っていたのでその分差し引いて考える必要がありそうですが、全くの予備知識なく見たなら、99パーセントどころか100人中100人全員が、それがデジタルで撮影されたことにはまず気づかないだろう、と確信が持てるほどの出来映えでした。
ただ、今も書きましたように、私は事前の知識を持ちそのつもりで見ていたせいか、明るいシーンで若干映像の粗さのようなものを感じなくもありませんでした。あれが従来のムービーフィルムできっちりと撮影されていたのなら、さらに緻密な映像になっていたのではないでしょうか。
ここで断っておきますが、私は「スター・ウォーズ・シリーズ」には特別な思い入れがありません。
ですので、シリーズ全体を包んでいるであろう大きなストーリーの流れも把握出来ていません。そんな私ですので、個々のストーリー展開よりも、次々に展開される最新映像技術を純粋に堪能させてもらいました。
それにしても、いわゆるコンピュータ・グラフィックス(CG)の急激な進歩ぶりには目を見張るものがありますね。実写の映像とCGによって作られた映像が違和感もなく完璧なまでに融合しています。
私自身の嗜好でいえばその制作過程にむしろ関心が強いため、もしかしたら、本編そのものよりも、その撮影の舞台裏をメイキングビデオ、あるいはメイキングムービー風に見せてもらった方が楽しめてしまったりするかもしれません。
ともあれ、過激なアクションシーンの連続で、息つく暇も与えてはくれません。そして、そのデジタル映像にはさらに大音量の効果音やB.G.M.が加わるわけで、そのサービスぶりは過剰なほどです。
そう。この作品を一言でいい表すとしたら、「過剰」という言葉が一番しっくり来るのはないでしょうか。
例えてみれば、観客である私は最新式のジェットコースターの座席に座らされた乗客のようなもので、あとは元の出発地点に辿り着くまノンストップによるスリルの連続でヘトヘトにさせられてしまう、そんな感じです。
以下は私の全くの妄想ですが、映画に限らず世の中全体が「過剰」な今、もしも自分に映像制作の機会が与えられたのなら、思い切り「ゆるゆるな映像」を撮ってみたいと思いました。
もちろん、CGも一切用いません。昔ながらのフィルム式ムービーカメラを三脚にデンと据え、あとは何の小細工もせず、被写体を真正面から切り取っていきたいと思います。
でも、それではやっぱり現代にそぐわない、のでしょうね?
映画を見終わり、夏休み真っ盛りの渋谷の街に出てみると、そこには、今見終えたばかりの作り物の映像にまさるとも劣らないほどの過剰さに溢れた現実風景が広がっていました。